葉問3 イップ・マン3(ネタバレ:4)@HK-ドニー・イェン 甄子丹

葉問3(邦題 イップ・マン 継承) ネタバレ :香港劇場編

今回香港で観た感想としては、とにかく色んな年代の人が来ていたということ。オールド功夫ファン、夫妻、若いカップル、親子連れ、母と娘、そして若い男性グループや女子高生の友人同士。日本のドニー映画では見かけることのない多種多様な観客にまず嬉しくなりました。

今まで何度か香港でドニーさんの映画を見ていますが、ここまで文字通り老若男女で満席になった作品は初めてです。そして感じたのは、みんな葉師父にすごく親しみを持っており、当然のことながらそれまでの師父の道のりをよく理解している、ということ。

幼い葉正が友人に「遠慮せずに食べて!」と母の言葉を繰り返すと「Kawaii~(日本語)」と女子がボーイフレンドに呟く。アクションが始まれば、「嘩!」と隣の女子高生が女友達の手を握る。そしてその無双ぶりが激しくなればなるほど彼女たちは笑いだす。そう、自分もそうだ。笑わずにはおれない。だってすごく楽しいもの。

そして電球を替えたばかりの電灯をつけて「ほら直ったよ!」と嬉しそうな夫に「もう寝るんだから消して」と、にべもなく妻がかける言葉に客席からどっと笑い声が起こる。みんな彼女のツンデレぶりも承知の上、そしてその妻に頭の上がらない夫を好ましく眺めている。観客にとって葉家は近所に住む「師傅一家」と思ってるようにすら感じてしまいました。

それほど、ウィルソン・イップ版葉問はみんなに愛されている映画なのだと肌で感じることができてとても嬉しかった。

また、この葉問3という映画の魅力として、精いっぱい「香港映画」を作ろうとした心意気がスクリーンに満ちているということもしみじみ感じました。

今作の香港バージョンには普通話を話す人は誰ひとり登場しません。当然大陸系の俳優も出演していますが全員、あのマイク・タイソンですら英語に混じって広東語を話します(タイソンの広東語の部分やリン・ホン以外の大陸俳優は吹き替え、マックス・チャンは香港の声優雷霆が担当)。当時の香港の雰囲気を再現したいという制作側の思いが、観ているこちらにとても心地よかった。

私には到底分りませんでしたが、脚本家のエドモンド・ウォン(黄子桓)によると、台詞も現代とは違う当時香港で使われていた言い回しなどがふんだんに出てくるそうです。(と、一方でわざと最近の言い回しもちょこっと出たりして笑いを取ったり)

おもしろければ声を出して笑い、言いたいことは隣の連れに声をかける。今回何度か劇場で観ましたが、いずれもいい客筋にあたって自分はラッキーだったと思います。

それまで、遠慮なく電話していたオジサンも、斜め前方で何度もスマホをいじっていた兄ちゃんも、永成が癌と分ってからはパッタリいじるのをやめました。

そして葉問と永成の最後の時間を固唾を飲んで見守り、彼女の最後の願いと、最愛の妻を救う事の出来ない夫の無力感をにじませた背中に涙する。男も女も関係なく、劇場のあちこちで多くの人が泣いておりました。

1960年、妻永成は癌のためこの世を去った ――
ひとり武館の椅子に座り、遠くを見つめる師父のショットに川井憲次のマエストロのテーマが重なり、エンドロール。

とたんに、「ハイハイ」とばかりに席を立ち、お喋りしながら出口に向かう人々。
えええ?さっきまで泣いてたじゃーん!あんたらー!

それもまた香港人、なんでしょうな。

川井憲次さんのマエストロのテーマをちゃんと聴いておきたい+エンドロールを色々確認したい自分は、客がいなくなり掃除の人が入ってきて掃除を始めるのも気にせずに最後の最後までずっとその場におりました。

IMDbにはアクションコレオグラファーにドニーさんの名前がありますが、クレジットでは登場しませんでした。反対にそこにはなかったタイのコレオグラファーのクレジットがあったり。が、残念ながら覚えきれなかったのでソフトになったら確認したいと思います。今回IMDb、HKMDBともに虫食いだらけでアテになりません。両者とも今後情報の補充を望みます。

アメリカ公開に合わせて、むこうで精力的にプロモ活動をしたドニーさん、インタビューによるとタイソンとの撮影時にはウーピン師匠とタイソンとの間に入って通訳兼武術指導助手の役割を果たしたとか。

「自分はウーピンのやりたいことがすぐ分るし、それを勝手の違うタイソンに言葉で伝えることもできるから、ずっと間に入ったよ」とのこと。これをもってIMDbにアクションコレオグラファーと書かれたのかも。まぁそれ以外でも、ウーピン師匠とはいえ、ドニーさんの事だから絶対にアイディアは出しているでしょう。想像はつきます。

このヒットにより今後、タイソンを大陸のアクション大作に出そうとする動きがあるやもしれませんが、それが成功するかどうかは恐らくこの映画のようにうまくコミュニケーションがとれるかどうかが鍵になるのかも。なにしろドニーさんは不足なく英語で伝えることができ、かつ優秀なアクション監督ですもん、なかなかそういう人材はいませんよね。

そして、それこそドニーさんの大きなアドバンテージでもあります。このあとアメリカ映画に出ようが、他の国の俳優を自分の作品にゲストで呼ぼうが、バッチコイ。
次は何を撮るんでしょうね、楽しみです。

↓映画館で買い求めた葉問3充電器
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最後に、この葉問3のプロデューサーでもあるレイモンド・ウォン(黄百鳴)は今年春節映画を新たに作らず、1992年の大ヒット春節映画『家有囍事(ハッピー・ブラザー)』のデジタルリマスター版を上映することにしたようです。予告がバンバン流れておりました。思いかけずレスリーの姿を見てグッときたのは言うまでもありません。どうやら彼のをはじめ、10分にも及ぶ未公開シーンを加えたそうで。くわしくはこちらの記事を

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葉問3 イップ・マン3(ネタバレなし2)周辺よもやま話-ドニ-・イェン 甄子丹

頭の中がまだ葉問3でいっぱいなので、よもやま話を残しておく(ネタバレ関係なし)

葉問3、アジアでの大ヒットおめでとうございます。いやぁ、よかったよかった。
最終的な集計はこのずっと後でしょうが、台湾ではわずか10日で1.6億越え、香港ではついに歴代華語映画興行成績のTop10にランクインしました。チャウ・シンチーや成龍やチョウ・ユンファとタイトルを連ねるなんて胸熱です。地味だ、アクション要員だ、ナルシすぎてついて行けない、と過去さんざん言われたあの、ドニー・イェンが、ですよ。
にしても堂々1位の『あの頃、君を追いかけた』はお化け映画だったんですねぇ。あらためて感心。

このヒットで、ネット上でもレビューだのパロディだのが賑やかに踊っております。こういうのが多いというのがメガヒット作品の証。
なかでも劇中で葉師父が言った台詞「最重要的是陪伴在你身邊的人」は「我要打十個」に近い名文句として今後も語られそうな勢いを感じます。

で、そんな中から、いくつかご紹介してみたいと思います。

公開直前に、マレーシアのモバイルプロバイダTune Talkが葉問3とコラボしたCMを制作。序章の空手道場の完コピが、ものすごくよくできております。マレーシアでは公開直後にすぐ歴代華語映画(マレーシア国内映画を除く)の記録を破りました。

その葉問4のラスボスとして名前が挙がっている人がいます(笑)。2に続き、葉問3にもカメオ出演したロー・マン(羅莽)は、どことなくいじりたくなる俳優の1人の様で(とってもよくわかる)「【葉問4:決戰羅莽】製作特輯」と題したこんなのも作られました。

羅莽360°、羅莽280°なーんて技名がイカシてます。で、ドニーさんのインタビューアップの横にある名前クレジットが、宇宙最強Donnie Yen→宇宙最強?Donnie Yen→宇宙第ニ強Donnie Yenと徐々に変化しているとこも芸が細かい(笑)。
この動画が発表されて以来、「葉問4になったら今度は何と戦うんだよ」というコメがあると、速攻「羅莽、羅莽」と突っ込みが入るようになりました。

ちなみに、ロー・マンさんはショウブラザーズ、チャン・チェ監督作1978年『五毒』で主役の1人を演じ、武打星として数々の功夫映画で活躍。のちに『エボラ・シンドローム 悪魔の殺人ウイルス』のようなエログロ系の三級片(18歳未満禁止映画)などでも怪演ぶりを披露。今やTV映画でアクの強いバイプレイヤーとしてしょっちゅう顔を見かける俳優となりました(むしろ、葉問での本格功夫シーンの方が最近では珍しかった)。その存在感は独特で、たとえばシューティング・ゲーム『GEARS OF WAR(ギアーズ・オブ・ウォー)』の香港PRとして作られた5分のムービで、主役のマーカス・フェニックスを哀愁たっぷりに演じていたりもします(これなんだかすごく味わいがあるんですよね、是非ご覧ください)。

そんな彼が「羅莽、羅莽」とちょっとした流行語のように語られるのもむべなるかな。

おまけは、プロモでラジオ番組に出演したドニーさん、香港の人気タレント甄子康さんに詠春連打をおみまいだい。いいなぁうらやましいぞ!
一緒にいる女性は『タイガー刑事』でも共演したドゥドゥ・チェンさん。

パロディ動画は玉石混合、ここにあげたのはほんの一部。今後はもっと作られるかもだし、半年もすればプロの作った映画でも葉問3のパロディが登場するかもしれません。

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葉問3 イップ・マン3(ネタバレ:3)@HK-ドニー・イェン 甄子丹

このイップ・マン3(邦題:イップ・マン 継承)を完璧な完結編だと、私が思う理由

さっきまで谷垣健治さんとラインで真夜中の長話。谷垣さんもこのお正月香港でイップ・マン3を4回ご覧になったらしく、少しそんな話も出来ました。
 
「とってもウィルソン・イップらしい映画でしたね」と感想が一致。ウーピン先生のアクションに関しては「さすが」というのと「これでOKなの?」と思うのとが混在していたかもというご意見。おっしゃる通りでございます。

この大ヒットにより、すわ続編制作か?と早速色々報道されているようですが(プロデューサーのレイモンド・ウォンはすぐにでも撮る気マンマン)、ドニーさんご自身は、武侠物とか現代アクションは当然今後もやるつもりだけど「これを自分の最後の功夫映画にしたい」と宣言しております。理由は「イップ・マンを超える役など考えられないから」。

アクション映画の続編というと「どんどんスケールが大きくなってしまう」という不文律に陥いることが多いなか(それに乗ってしまうと最後には師父が侵略してきた宇宙人と戦うしかなくなってしまいますもんね)、1作目は日本軍、2作目は宗主国のボクサーときて、3作目で大きく舵を切り、地域、家庭、夫婦という実に身近なところを主題に選んだという点は、ウィルソン・イップの大手柄。本当、この人が監督でよかった。

と同時に観ていて感じたのは、あらためて「今功夫映画を撮るって難しいんだなぁ」ということ。
単純にアクションが素晴らしいだけでは、ここまでのヒット作にならないし、幅広い観客に受け入れられるためにはキャラクターストーリーともにデキが良くなくちゃいけません。まして中華圏だけでなく、より多くの文化、国の観客を対象に広げれば(この葉問シリーズはすでにそういうコンテンツになっていると思います)、近代という時代背景も相まって敵の設定がかなり難しくなる。

じゃあ、他の功夫流派と闘えばいいじゃないのといっても、実在する詠春拳葉問派だけに、それはそれで負けた流派の関係者から不満が出るでしょう。闘うためには、敵を敵たらしめる「悪」でなくてはいけませんからね。詠春拳以外の流派の反感を買うのは得策ではありません。

今回ゲストの目玉であったマイク・タイソンが、自分の養女にとってはいい父親であり、また自ら決めた「1ラウンド3分勝負」を守る実はとてもフェアな人間であったことは、スーパースターマイク・タイソンにかなり配慮した立ち位置。

タイソンがその拳で割ったガラスの破片が、階下にいる娘の乗った三輪車についた赤い風船の紐を切り、風船が飛んでいくとこなんかウィルソン・イップでしたねぇ。そこへ3分のベルが鳴り、瞬間にフリーズする葉問とタイソン。なかなか小憎い着地でした。

3分勝負が引き分けに終わり、無言でその場を去る師父。タイソンの方は「風船が飛んで行っちゃったの」と言う娘を抱きあげ「行かせておやり、風船はまた新しいのを買ってあげるから」と答える。これは、葉問に「お前(の守る地域)にはもう手出しはしない」という彼なりの返答。いい役だったよ!タイソンさん。

ただ残念ながらこの点で、アクションは物凄くいいのに、アクションの仕上げに当たる爆発的なカタルシスを得ることは難しかった。そこは同門のマックス・チャンとの闘いでも同じように思いました。ここまで悪人の登場しないアクション映画も珍しいかもしれません。その分、悪役として孤軍奮闘したのがパトリック・タムで、それゆえ彼が今作の陰のMVPだったと自分は言いたい。

葉問という人物を描けば描くほど、敵と、闘いの意味はさらに重要になってくる。葉問という功夫映画はこのパラドックスを常にはらんでいるのだと強く感じた次第です。

妻の死、同門の勝負、武術家として葉問が至った境地。今作はかなり禁じ手を使った感があります。だからこそ制作陣の「これで完結!」という気概が充分に伝わってきました。

この作品をもって功夫映画を最後にしたい、そういうドニーさんの気持ちが痛いほどわかる、それこそ、私がこのイップ・マン3を完璧な完結編だと申し上げる理由でもあります。

と、締めつつも、言う事コロコロ変わるお人なので、舌の根も乾かぬうちにシレッと葉問4や功夫映画に出ても驚かないですけどね(笑)。そういや、ブルース・リーとの本格エピソードもまだ残ってますわ!ネタはあるぞ。今度こそ権利関係をクリアして、今頃は再びCGIブルース・リーをレイモンド・ウォンがやろうと目論んでいるやもしれません。

そういえば、香港では葉問3の特別写真集を売ってました。買いましたよ~。ipman3-12

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↑ARでこんな写真が撮れたりする

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葉問3 イップ・マン3(ネタバレ:2)@HK-ドニー・イェン 甄子丹

これは、本編を観るまでは絶対に読まないことをおすすめします:ドラマ篇

「このまま時が止まって欲しい」人は何度そう願うでしょうか。

この葉問シリーズで、3作目の今回が一番ウィルソン・イップ監督らしい作品に仕上がってる気がする。彼の監督作で好きな映画に『オーバーサマー爆裂刑事』と『ジュリエット・イン・ラブ』がありますが、ご本人が「本当はラブストーリーとか人間ドラマの方が作るの好きなんだよね~」と話してるのを読んだ時も、そうだろうなぁと納得してしまいました。

そんなウィルソン・イップとドニーさんの5年ぶりの新作は、実在した葉問という人物をモデルにしながらも、ショウビズ界において完全にヒーローアイコンと化した「葉問」が主役の、新たに創作された映画。当然のことながら1ミリたりとも実話ではありません、念のため。

なにしろ『序章』『葉問』にいた長男、葉準すらここには登場しない。冒頭のクレジットで「長男準は、故郷佛山に勉学のために戻った。」と一言さらりと説明があるだけ。おいおい、初見でそれを見逃したために「なんでお兄ちゃんがいないんだ????」と私はかなりうろたえましたよ。
今回そのポジションには次男葉正が、前2作の葉準と同じくらいの年齢の姿で登場します。なんだかんだ葉家にはこれ位の子が一番バランスがいいという事なのでしょうね。

オープ二ングは、お約束、葉問が叩く木人樁から。音楽はこれまたお約束、「葉問 マエストロのテーマ」を川井憲次さんが大河ドラマ風にブラッシュアップ。背景はどうやら師父のご自宅のようです。2に比べて暮らし向きは格段によくなったよう。あれからお弟子さんも増え、ちゃんと稽古代ももらえているのが想像できます、よかった!

と、葉問がひとり無心に打つところへ、一匹の蝶が舞いこみ、木人樁のてっぺんで羽を休めます。ふと手を止め、その蝶をじっと見つめる師父。

このオープニングロールは、ファンが何度も映画を観るとわかっていてウィルソン・イップは作ったよね・・・。2度目からはオープニングだけでガン泣き。何度観てもまんまとその策略に乗ってしまうわけですよ、もお。

舞台は1959年、香港で詠春拳は知られるようになり、武術界からも街の人達からも一目置かれるようになった葉師父。ある朝、武館で盆景(盆栽)の手入れをしているところ、ドアを開けて「葉師傅?」と1人の青年が入ってきます。
「覚えてます?俺の事。子供のころ、大きくなったらまた来いと言われたんすよね」

おおおおおおおおお、ブルース・リー !!!!!!

のっけから登場するとは、びっしり席の埋まった香港の劇場でも誰ひとり想像してなかったので、どよめきが起こります。

ここのやり取りの一部はすでにクリップが上がっているので、あの感激はこちらでもう一度どうぞ

煙草の次に師父がカップの水をブルースに向かって放つと、ブルースがこれをキック。しかし水は形あるもののようにはいきません。
そして「さっきの水を君は蹴り返せると思ったか、出来ないと思ったか?」(というような多分感じ)と一言。立ちあがると黙ってドアを開けます。くやしそうな表情でそのドアを出てゆくブルース。それを見送った師父の悟った微笑。

ブルース・リー、水とくればどうしたって

Empty your mind, be formless. Shapeless, like water.

から続く名言を思い出しますよね。まるでその後の彼の哲学を連想させるようなこのシークエンス。ううう、もうね鳥肌が立ちました。

今作のドニーさんの演技としては、ここが一番すごかった。いや、いつもの飄々とした柔和な態度なのですが、決して前面に出すわけではないブルース・リー信者としての自負を内包した演技だった、とでも申しましょうか。
世界広しといえど、陳真と葉問両方を演じた男は彼しかいません。このシーンだけで、ドニーさんが葉問という役に巡り合えて心からよかったという思いを新たにいたしました。いやあ、ウィルソン・イップ、ほんっっっっっとうにグッジョブ!!

続いて、ウィルソン・イップらしいと思ったのは時折混じるユーモア。特に小学校の先生であるカリーナ・ン(吳千語)と葉問の弟子ルイス・チョン(張繼聰)や、葉師父とその妻永成との男女間のやりとりが面白い。1作目2作目と少し上品すぎるきらいもあったこの夫妻が、苦難を乗り越え時間を経てより夫婦らしくなったことを、とても嬉しく眺めました。

さて、お話は、悪いデベロッパー(マイク・タイソン)が息子の通う小学校を地上げしようとしたり、その手下パトリック・タム(譚耀文)が校長(これがチャウ・シンチーの「食神」の夢精大師ことタッツ・ラウ(劉以達)でね、彼の登場アップだけで観客大笑い)や学校を襲ったりそれを阻止した葉問を逆恨みして息子正を誘拐したり、またムエタイ刺客が葉問を狙ったり。

息子の同級生のお父さんがマックス・チャン(張晉)演じる張天志。実は彼、葉問の師である陳華順のこれまた師、梁賛の孫弟子にあたるいわば同門。大陸から香港に来て車夫をしながら男手ひとつで子供を育てている苦労人。息子に自らを「師父」と呼ばせまた自分は息子を「徒弟」と呼ぶ、まさに「武痴(武術バカ)」な男です。腕はあるのに金はなく生活と武館を開く夢のために闇試合で小銭を稼ぐという裏の顔も持っていて・・・というストーリーはまぁ置いといて(置いとくのかよ!)、この映画のキモは、癌に侵された妻永成とそれを知った夫葉問とのベタなラブストーリーにあります。

今回は敵方に明確な悪の基軸がなかった分(ゲストの目玉、タイソンはそれなりにいいポジションにしたという政治的配慮もありーの)正直アクションはすごいのに、残念ながらアクション的カタルシスはさほど強くはありません。が、それを補うべく夫婦の物語を後半のメインに持ってきました。

そうなったら、ウィルソン・イップの本領発揮。なにしろあの観客の涙を絞った『ジュリエット・イン・ラブ』の監督ですよ。永成の病気が発覚してからのこのハンドルの切り替えはびっくらこきました。でもいい、だからいい。

特に、2人のラブストーリーとアクションが混ざり合った対ムエタイ戦はお見事。夫は武館を放ったらかして連日妻に付き添って漢方医や薬屋に通います。脈を取ってもらう彼女を横から見守るしかない葉師父。
処方してもらった薬の包みを持つ2人を乗せたエレベーターのドアが閉まる直前、ムエタイ刺客が乗り込んでくる。男が前を向いたきりサンダルを脱ぐのを見るや、黙ったまま夫の持った包を受け取る妻。

このアクションシーンのなにがいいって、川井憲次さんの音楽が死ぬほど素晴らしいんです!

それまでに、永成のテーマとも言うべき新曲が何度かかかっています。彼女が癌と告知された時、それを地域の安全のため奔走する夫に言いだせないすれ違い、そしてやっと夫に自分は癌であると告白する場面。このアクションシーンではそんな彼女のテーマ曲と、お馴染みマエストロのテーマをアレンジしたファイティングナンバーのメロディが交互に主旋律を奏でるわけです。

曲は今後の流れに黙って身を委ねようと思わせるに充分でした。2人のテーマが絡み合うメロディに気がついた時、このシーンの持つ意味が一層重みを増すという仕掛けです。

小さなエレベーターの中で妻を守りながら刺客に立ち向かい、一瞬扉が開いた隙に敵を蹴り出し、すかさずエレベーターのドアを閉める。彼女は安全、そう思ったらあとは思い切り無双するしかないでしょ。あたらめて敵と対峙する葉問の姿に畳みかけるような師父のメロディ。卒倒しそうなほどかっこいい。戦いながら階段で下に降りてゆく男2人、そして1階でようやっと倒した男を横目に、妻を乗せたエレベーターの位置を確認すると「行け」と男を追いやります。

男が去って行ったのを確め振り返った師父は夫の顔に戻り、着いたエレベーターのドアを何事もなかったように開ける。その時の永成の安堵した表情と、足元に落ちた包を拾い妻の手を握りエレベーターを降りる夫。なんという素敵なラブシーンでしょうか。

先程、明確な敵がこの映画には存在しない、と書きましたが、監督ウィルソン・イップが第1作のテーマを「生存」、2作目「生活」、第3作は「生命」と語った通り、本当の敵は「限りある命」でした。どんなに無双な葉問でも残酷な真理の前にはなすすべもありません。たとえそれが一番愛した人であっても。

妻永成を演じたリン・ホン(熊黛林)は、この作品で女優として素晴らしい存在感を示しました。広東語の台詞も今回は恐らく彼女自身が喋っております。
夫妻が病状を聞く場面では、絶妙な構図になっており、まぁそのショットの麗しいこと。こんな美男美女の夫婦ってどうよ、と突っ込むのも忘れて見惚れてしまいました。

そんな危機をよそに、張天志が、デベロッパーの手先となって稼いだ大金で立派な武館を開き、「どちらが詠春拳の宗師に相応しいか決着をつける」と葉問と公開試合をすることをマスコミに宣言。

しかし葉問にとってそんなことはすでにどうでもいいことでした。彼は妻のためにダンス、チャチャを習いに出かけます。そしてそのダンス教室でブルース・リーと再会(彼は実際ダンスが得意でチャチャコンテストで優勝したこともある名手)。
「なんで、あの時俺を弟子にしてくれなかったんだ?」という問いに、師父は「私は弟子にしないと言った覚えはない、ただドアを開けただけだ。出て行ったのは君の方だろ?」と答えます。

そこへ「あのダンス教師より俺の方がずっとうまい。教えるから、俺を弟子にしてくれ」というブルース。かくしてここで伝説的師弟の誕生と相成りました。このあたりのいきさつも、葉問と李小龍との微妙な本来の関係性を、誰のイメージも壊すことなく表現していて「うまい!」と唸りました。

いよいよ公開試合の日、真新しい武館では張天志をはじめ武術関係者新聞記者たちが葉問の到着を今かと待ち受けています。そして現れない葉問に張天志の勝利が宣言されるわけですね。
同じ時、葉問は妻とダンス教室でチャチャを踊っていました。この2人のダンスがほんとう可愛くって可愛くって。私はあやうく萌え死ぬところでしたよ。

しかし病魔は2人の楽しい時間を無残にも切り裂き、永成はその場で倒れ病院に入院。日に日に弱ってゆくなかで「あなたと写真を撮りたい」という言葉に、それまでどんなに失意の中にあっても決して流すことのなかった葉問が思わずこぼす涙。

もうね、ここで私の涙腺も決壊です。ウィルソン・イップめぇぇ、ジャン・ユーといいサイモン・ヤムといい、なんでそんなに不治の病が好きなんだよ!

写真を撮るシーンでは、ラフマニノフのパガニーニのラプソディーを聴いただけでグッとくる条件反射を私に刻み込んだ恋愛映画の傑作、『ある日どこかで』を彷彿とさせるショット。反・則(涙)。

写真を撮り終えた夫妻は、妻の願いで武館へとやってきます。
木人樁を前にたたずむ永成。「久しぶりにあなたの打つ木人樁の音を聞かせて・・・」と言う妻に(涙)ゆっくり立ち上がって木人樁を打つ師父の手が、途中で止まるんですよね。その背中が(涙)。

人は人生で何度「このまま時が止まって欲しい」と切望するでしょう。この時2人は心からそう願っていたに違いありません。

「 もし、私が病気でなかったら、あなたは張天志の挑戦を受けたかしら?」
長い間合いの後、絞り出すような声で葉問は答えます。
「・・・ああ」
「それでこそ、私の愛した葉問よ。
ごめんなさい、あなた。私、勝手に張天志に試合をもう一度してもらえるように手紙を出したの・・・行きましょう」

そして永成を連れ、張天志の武館に赴いた葉問。妻は2人きりの勝負を壁の向こうで聞いています。それはかつて道場破りが乗り込んできた佛山の自宅でしたみたいに。

勝負は、六點半棍、八斬刀でも決着はつかず、いよいよ徒手に雪崩込みます。
そして薄氷の勝利をものにした葉問が踵を返したところで、張天志が「詠春正宗(正統派詠春)」と書かれた自らの看板を叩き落とし「俺は敗北を認めない恥知らずじゃない」と自らに言い聞かせるように語りました。
それを見た師父は一言だけ声をかけるのです。
「あなたのそばにいる人こそが、最も大切にすべきものだ」
その言葉を聞いて、壁の向こうで嬉しそうに微笑む永成。
そして父親の勝負を陰から見ていた次世代を担う互いの子供たち。

これが、ドニー・イェンの葉問シリーズの完結編になったとしても私は何の文句もありません。
完璧です。

1960年、妻永成は癌のためこの世を去りました。あの日「時よ止まれ」と強く願った武館の椅子に腰をかけ師父はひとりゆっくりお茶を飲みます。隣には座る人のいない、もう一脚の椅子が残されたままで。

さて次回は、総評になる・・・のか。続く、つもり。

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葉問3 イップ・マン3(ネタバレ:1)@HK-ドニー・イェン 甄子丹

実にウーピン師匠でした。アクション篇

葉問シリーズの名にたがわず、3作目もアクションシーンはテンコ盛り。

私が一番気に入ったのは、タイソンの送りこんだムエタイの刺客とのエレベーターから階段の戦い。相手は、トニー・ジャーに似てるなぁと思ったら本当にトニーのスタントダブルを演じていたSarut Khanwilai というお方。こんな瓜二つの人がスタントダブルだなんて、トニーはなんてうらやましい。

妻も一緒のエレベーターという狭い空間では、妻ウィンシンを守りつつ刺客と戦うという設定がしびれます。男を外に蹴り出し、すかさず妻の乗ったエレベーターのドアを閉める師父。そこから階段へと移動しながらのアクションは、美しくてとてもスリリング。にしてもウーピンさん、足のアップすっきゃねー!  ↓彼は特に斜め後ろの顔とかそっくり!

しかもその男を蹴散らした後、妻の乗ったエレベーターを迎えるイップ師父の夫に戻る表情がいい。何事もなかったようにドアを開け、床に落ちた荷物を拾いウィンシンの手を取る。
イップ師父!なんていい男なんだ。

マイク・タイソンはまるでラストファイトを戦うかのような宣伝の仕方でしたが、案の定中盤のハイライト。『イップ・マン 葉問』におけるサモ・ハンとの円卓の戦いのような位置づけ。

最初このカードがあると知った時「うわあ」と期待とも不安ともつかない気持ちになったことを覚えています。しかし実際は自分なんかの予想を遥かに超えたデキでうれしゅうございました。

そういえば途中で師父がしゃがんで人間業とは思えないようなものすごく高度なポーズをとっていましたが、あれは詠春のなにか動きなのでしょうか?それともオリジナル?音楽も合わさってまるで必殺技のような提供の仕方だったので、ドキドキしましたよ。

記事で読みましたが、ドニーさんは相手が映画慣れしていないということもあって、毎晩タイソンの試合の動画を見てはその足の動きと癖を頭に叩き込んだというじゃありませんか。案の定、タイソンさん振り付けを忘れちゃって勝手にパンチを出してきて、あわや脳天にヒットしそうになりスタジオが凍りつく瞬間もあったとか。

そうだ、短いながらあのレオン・カーヤン(梁家仁)のアクションシーンもありますよ!
70年代からここまでずっと一線で頑張っているかつての超アクションスター。武術経験がないながらも、サモ・ハンの映画でしごかれまくってその地位を築きました。現在もドラマ映画のバイプレイヤーとして活躍する彼の久しぶりの本格アクションではないでしょうか。

狭い蝙蝠傘店でのファイトは、傘が舞い埃が舞い非常に楽しかった。見ながら「アクション監督って、どこ行っても”ここで戦ったらどうなるのか”って考えるんだろうなぁ」とふと思ってしまいました。

彼以外も師傅役のカメオ出演が目白押し。

毎度おなじみ甄家班のユー・カン(喻亢)と、『イップ・マン序章』では武術指導も務め、青龍武館館主としてルイス・ファンにしてやられたトニー・リャン(梁小熊)、また『イップ・マン 葉問』でイップ・マンと円卓で戦った猴拳師傅のロー・マン(羅莽)という顔ぶれ。それぞれ、マックス・チャン(張晉)演じる張天志に見事にやられまくってるお姿は必見もの(笑)。

さて3のラストバトルの相手は、『SPL2』の獄長こと、そのマックス・チャン。

11歳で四川省武術隊に入隊、1998年にウーピンさんのアクションチーム「袁家班」に入り、スタントマンやスタントコーディネーターとしてキャリアを積み、『グリーンデスティニー』でチャン・ツィイーのスタントダブル、『HERO』ではドニーさんのスタントダブルも務めました。

2013年のウォン・カーウァイ監督の『グランド・マスター』においては、監督の「八卦掌はできるか?」の問いかけに、八卦掌の高手であった彼はすぐその場で実演、見事馬三の役を射止め(劇中では形意拳の遣い手)、この作品で香港電影金像奨の助演男優賞を獲得しています

そしてドニーさんもまた、言わずもがな元袁家班。師匠ユエン・ウーピンアクション監督のこの映画で元袁家班同士(しかも俳優と元スタントダブルだった立場の2人)が激突したわけでもあります。

前2作のサモ・ハンのコレオグラフィーとカメラワークが神懸かっていただけにハードルはもんのすごーく高い。さてはて、どんなもんかとワクワクしていたら、マックス・チャンはウーピンさんとの相性が無茶苦茶いい、小学校や造船所での多勢を相手にする姿にはホレボレ。さすがでございます。

詠春拳に関しては今回初めて取り組んだそうですが、とにかく彼の動きはとても見栄えがしてすごくカッコよかった。少なくとも過去私が観た彼のアクションの中で一番でした。ええ男やし若いし、今後のアクション映画を牽引する俳優になることを期待しますよ!

一方のドニーさんは、ぶっちゃけユエン・ウーピンさんとは実は相性はあまりよろしくないのではと感じてしまいました。特にワイヤーワーク。この辺りは好みの範疇かもしれないので、あくまでも個人的意見です。

あと、あらためて観てウーピンさんのアップショットとカメラ、編集は個性が出ますね。それこそ一流の証ということなのでしょうか?『グランド・マスター』ではウォン・カーウァイ監督の趣味が大いに反映してるのではと想像しておりましたが、『悪戦』を観た時に「いや、ひょっとして」と思ったことが確信に変わりました。濃淡こそあれ、すべてはThat’sウーピン師匠だったという。

に、しても、この詠春対詠春、加えて同門という実にミニマムな戦いを、これほど壮大なスケールでこの2015年に観るとは思いませんでした。しかも六點半棍→八斬刀→徒手というフルコース!すげー!こんなマニアックなことをアクションにするのはラウ・カーリョンだけかと思ってましたよ!

最終的には、『イップ・マン 誕生』にも登場した、詠春(中でも特に葉問派)の「目に頼らず感覚を最重要視する」という特徴を活かした流れからのワンインチパンチですよ。

たしかにサモ・ハンとの差別化を図るのはかなり困難だったと想像しますが、なんてマニアックなんだ。ウーピン師匠・・・渾身のコレオグラフ。

と、言うわけでネタバレ:2に続く。

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葉問3 イップ・マン3 イップ・マン 継承(ネタバレなし)@HK‐ドニー・イェン 甄子丹

公開直後の香港で観てきました。空港に着いて、すぐに旺角に直行。

イミグレを通過した時点で4D上映に間に合う事が分ったので、大ぶりバッグひとつの自分はホテルのチェックインもせずに、そのまま映画館に。みるとその後の回のチケットもかなり予約が一杯で、ほとんどの上映回があと残り数席ずつという状態。慌てて同時に別時間のチケットを購入。毎回のごとく「同じ映画っすよ?」という顔をされるも「いいから」という気迫で有無を言わさず。

そこのショップで葉問3のオリジナルホーローカップを発見したところで、日本女性から「イイボシさんですか?」と声をかけられました。聞けばフリーマン筒井さんのお知り合いで、かなりのネットワークをお持ちの香港映画通。うわぁ、こんなところで!「突然すみません」と言って頂きましたが、いえいえめっちゃ嬉しいです!
そこで彼女の指南通り、チケットを見せて「観客割引」でカップをひとつ購入できました。ありがとう、Yさん!本当はほかのチケットも持っていたのでもう一種類も買えたのですが、妙に貧乏性というか自宅でマジ使うつもりだったので本当に欲しい方しか購入せず。帰宅してお茶を早速飲んでます。これは使い倒しまっせー。
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どうやらYさんも同じ回を見るのだとか。ここで会ったが百年目、上映後、ゆっくりお話などしたかったのですが、いかんせん自分は直後の回のチケットも購入してしまったうえに、彼女はその後ケリー・チャンの7年ぶりのコンサートに行く予定があったので結局、上映後劇場の外で立ち話するしかありませんでした。

初見は4D。
イップ・マン3は3Dで撮影すると聞いていたので、てっきりこれは3Dで座席が動く4DXだと思っていたのですが、実は画面は2Dで座席だけが動く4Dという(これもYさんが教えてくれました。じゃなきゃ、訳も分らず自分は3D用のメガネを購入しようと四苦八苦してたはず)。

結論から言うと・・・4Dオンリーなら別に見なくてもいいのじゃないでしょうか。

正直、4Dは座席が結構動く上に、ミストが出たりアクションの度にボコボコ背中を叩かれたりして映画に対する集中力がかなり削がれ、この初見では評価が結構低かったのです。(なんというか、肝心なアクションで座席が揺れる=画面が見にくい、しかも誰だか分らない人の設定した動きというのが自分にはことごとく合わずにかなりイラっとしたうえに、川井憲次さんの音楽もじっくり確認する集中が残されなかった)発つ前は2Dで観てからと思っていたので本当はその方が良かったのでしょう。上映後彼女と話していて残念な評価を下したのは、充分楽しんだだろう方に水を差すことになって大変申し訳なかったと今となっては思います。ごめんなさい。

その後、一切動かずに落ち着いて2Dで観たら評価が100倍くらいあがりました(笑)。
えーととにかく香港台湾マレーシアと大ヒットしてるみたいです。日本でも一日でも早く公開されますように。どこか買ってください、お願いします。

作品をネタバレなしで短く言うなら
アクションはさることながらユーモアにあふれ(お客さんからも結構笑い声が何度も上がってました)、葉問師父と妻永成の深い愛情に3回はマジ泣き。まさしく涙が頬を伝いハンカチで何度もぬぐいましたよ。そして劇場のあちこちでも鼻をすする音が。まさかそっち方面で泣くとは思っていなかったのでこれは嬉しい驚き。Yさんも仰ってましたがウィルソン・イップといえば、あの名作『オーバー・サマー 爆裂刑事』や『ジュリエット・イン・ラブ』を撮った監督でもあったのだと思いだしました。

話題のマイク・タイソンはラスボスではありませんが、香港映画の後先考えない無茶ブリが功を奏しました。お芝居がうまいかどうかは置いといて、最大限良さを引き出しめっぽう興奮させる設定とアクションで、決着の付け方がこれまた心憎い。今後彼がこれ以上の映画に出ることは難しいと思わせるデキ。その本物のボクシングの足の運びだけで目が覚めること間違いなし。

そしてブルース・リーは当初CGIで再現するはずだったのを諸事情により実写でダニー・チャンが扮しました。そのために最初の構想では2人のアクションシーンを予定していたけれど、ひょっとしたら思いきって方向性を変えたのかもしれません。

ティーンエイジャーの彼と師父との再会、そして弟子になるいきさつは、ブルースのプライドの高さや自信満々の性格がよく表現されつつ憎めない微笑ましいキャラとして描かれていて、出番は少ないものの想像以上に印象的。その後のブルースの哲学に繋がるのではと匂わせるエピソードもあったりして、これはウィルソン・イップの手腕に大喝采を送りたい。

そして何と言っても、リン・ホンがよかった!『序章』では娘と父ほどの年齢差に感じた人もいるかもしれませんが、それから時間を経れば夫婦の歳の差なんて、なくなるに等しい、その事実が見事に表現されておりました。彼女が今後どんな作品に出るかは分りませんが、ドニーさんにとって葉問が一世一代の当たり役だとすれば、彼女にとってのこの永成も最大の当たり役です。今回で心から確信。素晴らしかった。

続いて、タイソンの手下役のパトリック・タム。このキャラはさすがウィルソン・イップ監督!と唸る役で、彼がこの映画の陰のMVPと断言してもいいと自分は思います。

そしてラストファイトを戦うマックス・チャンはすばらしくいい役で、アクションも最高。さすが元袁家班。ユエン・ウーピン動作導演との相性抜群だし、間違いなく現時点では香港金像奨の助演男優賞を獲得した『グランド・マスター』より相応しい今までのベストアクト。この若さでこんな役を演じられるなんて本当にうらやましいいい!!!日本で公開したら間違いなくファンが増えるはず。今からその日が待ち遠しいです。

おっと、ファンに朗報として、エンドロールは人気歌手の歌ではなく、みんなが待ち望んだ川井憲次さんの葉問マエストロのテーマのニューアレンジバージョンですよ。

劇場はいつどんな時間に行っても満員御礼ソールドアウトで1列目までお客さんがビッシリ。なかでも若いカップルが多くを占めていました。老若男女、全ての人に愛されるこの映画の偉大さを、あらためて肌で感じた次第でございます。

最後に一言だけ。今後葉問シリーズがこれで終わりになったとしても、完結編として完璧でした。葉問師父は永遠に不滅です、それだけは間違いありません。

知野二郎さんのブログで報告があった通りブルース・リーは当初の予定のCGではなかったという↓
THIS IS 甄子丹(73) 「葉問3」のブルース・リー役が陳國坤に変更されていた!!
葉問3ティザー預告
葉問3ディレクターズカット預告
葉問3終極預告
葉問3劇場マナー篇(これ、劇場で上映前にかかってた。嬉しかったわ!)
Ip Man 3 アメリカ版預告
葉問3メイキング(アクション篇)
葉問3メイキング(ドラマ篇)

次回は恐らくネタバレバレバレのエントリーになる・・・はず。

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ドニーさん勝訴 名誉毀損で大陸監督檀冰に賠償命令

2013年、『スペシャルID 特殊身分』のトラブルをめぐり誹謗中傷を繰り返した中国大陸の監督檀冰(本名:耿卫国)に対し、ドニー・イェンが起こした名誉毀損の訴訟。

2015年11月17日、北京市海淀区人民法院がその一審判決を下し、ドニーさん無事勝訴と相成りました・・・。やれやれ。

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結果、檀冰に対して
一、「南方周末」と「新浪網」に30日以内に甄子丹に対し具体的内容を謝罪した謝罪文の掲載を命じる。不履行の場合は裁判所が判決の主文を各媒体に掲載し、そのかかった費用を耿卫国に請求する。

二、7日以内に甄子丹に対し名誉毀損と精神的苦痛を与えた賠償として5万元の賠償金の支払を命じる。

三、その他の甄子丹の請求に関しては却下(これは裁判費用も檀冰に請求するという要求のこと)。

もし決定した期日内に支払いのない場合は、中華人民共和国民事訴訟法第253条により、利息が発生する。
案件受理費用の2万5千300元のうち、甄子丹が1万5千550元、すでに納付。耿卫国に関しては1万2千750元と4千元の広告費を(行方不明となり公判に出席しなかった檀冰に出廷を促す新聞広告を裁判所が出したため)この判決後7日以内に納めること。

判決に対し不服の場合は、控訴することができる。その場合は判決を受け取った日の翌日から15日以内に本院に控訴状と当事者人数分のコピーを提出し、北京市第一中級人民法院に控訴受理費として2万5千300元を納付すること。控訴手続き後7日以内にこれが支払われない場合は、控訴棄却とする。

多分、そんな感じ。
長かったわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!

主文はムカつくので訳しません。くそう、あのオッサン、嘘八百言いたい放題してくれたよね。あんな汚い言葉、日本語じゃ想像もつかんわ。
原告の請求額500万元に対して結果は5万元と随分少なくなりましたが、代理人の弁護士によると実はこれは名誉毀損罪での最高賠償金額だそうで。まぁ金額じゃありませんよね。
ほんとうに長ごうございましたわ。恭喜,恭喜。

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『タイガー・マウンテン 雪原の死闘 』エグゼクティブ・プロデユーサー、ジェフリー・チャン(陳永雄)さんにお話をうかがう-その1

10月31日から開幕しました「京都ヒストリカ国際映画祭」。今年も及ばずながらナビゲーターとしてお手伝いさせていただきました。

今年のオープニングを飾ったのは、ツイ・ハーク監督の『タイガー・マウンテン 雪原の死闘 』です。そこで本作のプロデューサーのジェフリー・チャン(陳永雄)さんにトークショーでお話をうかがいました。

まずはじめに、このインタビューで衝撃的だったのは、広東語通訳として著名なソフィ(上川智子)さん。彼女には当然広東語の通訳として入って頂いていたのですが、ジェフリーさん、会場を見るや英語圏のオーディエンスがいることに気がついて「英語でQ&Aやってもいい?」と急遽英語で答えだしました。

なんとなんと、そんな信じられないような変更にソフィさん慌てず騒がず、涼しい顔で英語の通訳をやってのけてしまったのです。すごい、素晴らしい!!もうね、今回彼女のこのお仕事っぷりは英雄的ですらありました。ソフィさん本当に本当にありがとうございました、そしてお疲れさまでございました。

さて、エグゼクティブ・プロデユーサーのジェフリーさんは一体いつ休んでいるんだろうと思うほど世界中を股にかけている方です。各国の映画祭や映画市はセールス期間でもありますからね、京都の到着前も大陸、東京と各地を回ったそうで、このあとはLAそして大阪なんだそう。その間、新たな映画の企画の打ち合わせ、制作現場への配慮と、本当に大忙し。そのあまりの飛び回りように、お住まいはどちらなんですか?と委員の1人が尋ねたら「僕の今いるところが家だよ」と、自分がその場にいたらマーヴィン・ゲイの“Wherever I Lay My Hat (That’s My Home)”かーい!と突っ込んでいたかもしれない(笑)洒落た事をおっしゃったとか(こちらは女の子じゃなくビジネスだけど)。

このジェフリーさん、キャリアの始めは、トニー・レオンがテレビに登場したばかりの80年代、無綫電視(TVB)の事務方として働いていたそうです。弁護士さんとやり取りするお仕事だったといいますから制作現場とは無縁の職場でした。

その時に、シー・ナンスン(施南生)さんやツイ・ハーク監督と知り合い、その後、メディア・アジア・グループ(寰亜総芸集団)にゼネラルマネージャーとして移り、2008年にBONAフィルム(博納影業)にプロデューサーとしてヘッドハンティングされました。

期間は短いですが、出資者、プロデューサーとして関わったフィルムは数知れず。
有名なところでも
ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝
桃(タオ)さんのしあわせ
盗聴犯~狙われたブローカー~
ラスト・シャンハイ
大魔術師”X”のダブル・トリック
インフェルノ 大火災脱出
激戦 ハート・オブ・ファイト
『レクイエム 最後の銃弾』
『インターセプション -盗聴戦-』
SPL殺破狼Ⅱ』(原題)
などなど、日本でも公開された大作がいっぱい。そう、彼は名前こそ知られていないかも知れませんが、ご本人いわく「香港の監督でやったことがないのは、チャウ・シンチーだけ」という、香港中国映画界では超大物プロデューサーなわけであります。

おもにどんなお仕事なのかと尋ねたら「セールスマン、あとは現場のトラブル処理、監督が気分よく仕事できるようにするのが仕事、スターといえども不満を爆発させることもあるので、そういう時に出て行く係」と笑っていました。

もちろん、出資人でもあるため、制作に関してもアイディアの段階からその作品に携わり今回のタイガー・マウンテンではもうずーっと前にツイ・ハーク監督が「これいつか撮りたいんだよね」と話した時に同席していたそうです。

大発展を遂げている中国映画産業の中心にいる人物の1人ですし、その話しぶり佇まいはイケイケな勢い。

前日の打ち合わせを兼ねたディナーでは、こちらのひとつの質問に対しそれから派生する話題までも先読みして、決して途切れることなくもう話しまくる。翌日もこの調子なら、通訳を挟む余地がなく、観客の皆さんが困るのではないかと秘かに心配したほどです(しかし、さすがそこはクレバーな方だけあって、前日と本番は人が違ったように短いセンテンスでお話してくださいました、さすが)

ご自身をセールスマンと仰ってましたが、その喋り口は、ご本人のキャラもあるでしょうが、自信に満ちあふれておりましたよ。おお眩しい。

そして当然のことながら、中国での検閲をはじめとするデメリットについては一言も言わず、むしろいかに現在の中国が世界の映画界において重要な位置にあるか、ハリウッドもすでに中国市場抜きでは語れないということを力説していました。そりゃそうなりますわね。

中国大陸ではこうした映画製作会社のみならず、異業種の出資会社や出資人も年を追うごとに増え、年間、大陸だけで800本もの映画が作られているそうです。けれど、その半分は映画としては世に出ず、ネット公開されるもの、テレビコンテンツになるもの、お蔵入りなど。世間でタイトルを目にすることができるのはせいぜいそのうちの100本ほど。

しかし、その制作数の多さに、慢性的な人手不足に陥っているそうで、スターがいない、監督もいない、プロデューサーもいない、スタッフも足りない、映画のポスターをデザインするデザイナーさえ不足している、ということで今は韓流俳優だけでなく韓国の人達がたくさん大陸で(監督も含め)働いているそうです。

「日本人も思い切って大陸に行ったら仕事ができますか?」と聞いたら「中国語が話せればね」というお答え。いやいや、韓国人だって中国語話せる人ばかりじゃないでしょうよ、とも思うので、その気さえあればなんとかなる、というか、むこうで中国語を覚えつつ仕事してる日本人俳優達も沢山いるし、一方で北京電影学院に入学、チャン・イーモウ(張芸謀)監督やルー・チアン(陸川)監督の助監督をつとめた横山伸治さんのような方もいるんですもんね。まして、ゼロからではなく実績をもっていれば通訳を雇ってでも採用したいという勢いはあり、実際たくさんの日本映画人が中国からオファーをもらっています。あとは・・・監督が大陸に乗りこんで中国俳優を使って広く世界向けに大作の映画を是非!

谷垣健治さんが、カーアクション監督のブルース・ロウと「(香港映画において)俺たちは乗り遅れるギリギリのタイミングでなんとか乗れた世代だよね」と話すことがあると聞いたことがあります。「映画を目指すなら、今ここで!」と多くの外国人が様々な役割で中国大陸を目指しても不思議ないのかもしれません。そして彼等もいつか「乗り遅れなかった世代」として、大陸で、またそれぞれの国に戻って第一線で活躍する日が来るのでしょう。そんなことを実感しました。

と、いうわけで次は、映画『タイガー・マウンテン 雪原の死闘』についての具体的なお話です。まだまだ続くよ。

京都ヒストリカ国際映画祭 オープニング作品『タイガー・マウンテン 雪原の死闘』
【インタビュー】中国映画界で活躍する日本人 横山伸治さん(映像ディレクター)

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全力スマッシュ(原題:全力扣殺 FULL STRIKE 2015年、香港)

全力ゲロ度120%!!!

監督、脚本:
デレク・クォック(郭子健)
ヘンリー・ウォン(黄智亨)

プロデューサー:
コンロィ・チャン(陳子聰)
馮煒源
馮煒璋
鄧維弼

音楽:
波多野裕介

動作設計:
ジャック・ウォン(黃偉亮)
陳少華

出演:
ジョシー・ホー(何超儀)
イーキン・チェン(鄭伊健)
スーザン・ショウ(邵音音)
ウィルフレッド・ラウ(劉浩龍)
エドモンド・リョン(梁漢文)
アンドリュー・ラム(林敏驄)
ロナルド・チェン(鄭中基)
キョン・ヒウマン(姜皓文)

カンフー・ジャングル』の半券持っていくと1000円になるサービスって(逆のパターンもOK)初日だけの企画じゃなかったのね!なんてこったーい!知ったのはすでにその後観る予定のカンフー・ジャングルの座席指定した後でした、とほほ。よく調べればよかった・・・。バカバカ私のバカ。

香港電影金像奨の作品賞に輝いた名作『燃えよ!じじぃドラゴン 龍虎激闘』から5年、こっち方面のデレク・クォックが帰って来た。(実はチャウ・シンチーの『西遊記~はじまりのはじまり~』でも共同脚本・監督なのですが、公開時にはなぜかいなかった事にされちゃってるし・・・お気の毒)。共同監督はもともとVFXのスペシャリストとして活動していたヘンリー・ウォン。本編の監督は2作目だそうです。

面白かった。コピーでは「バドミントン版少林サッカー!」という文字が躍っておりました。「んなわきゃあないよね」となぜかそれを全然信用せず観たのですが、その勘は当たったようです。
笑ったわ、笑いたくて笑ったんじゃなくて本当に笑った。粗さ、そっちに全力を注いじゃうわけ?というバランスの悪さ、キャラの立ち具合、やる気のまったくなさそうなエキストラ、エキセントリックなロナルド・チェン、全部含めてとっても香港映画でした。

なかでも酔いどれ師匠がいい。あの師匠ですべてのことはチャラ。今まで観たゲロシーンで一番衝撃的だったのはモンティパイソンの『人生狂騒曲』のクレオソート氏ですが、これはそれに勝るとも劣らぬ破壊力。しかもその後延々芝居が続いちゃうし。

音楽もしびれましたねぇ、クレジット見たら日本の波多野裕介というお方なんだそうです。全編昔の日本テレビドラマみたいな雰囲気が素晴らしかった。今後の活躍も期待いたします!

イーキンもかっこよかった。主人公サウを唯一落ち着かせることができるという役回りが女子のハートをぐっと掴みます。そして安定のスーザン・ショウ。主演のジョシー・ホーは兼制作者。さすがセレブ。この人セルフプロデュースが上手いなぁと毎度感心いたします。
そうそう、『ドラゴン危機一発’97』の現代パートに登場したエドモンド・リョンがまったく変わらぬ姿で登場したのにはビビりました。香港のアンチエイジングは一体どうなっているのでしょうか、まったくけしからん。自分にとってはアーロン・クオック、チョイ・ティンヨー(徐天佑)と同じカテゴリーに入ってる香港男前顔。

そしてなんといってもキモは師匠役のアンドリュー・ラム。どんなジャンルでもキャラのいい師匠の出る映画にハズレなし。本作でまた確信いたしましたよ。香港映画における師匠は永遠に不滅。

テーマ音楽テロップなどなど、とにかく細部に至るまでデレク・クォックのセンスが散りばめられた映画です。合わない人には全く合わない。でも合う人なら大いに笑ってグッと泣ける、そんなデレク節が楽しめること請け合い。彼の作品は日本公開したものしか知らないのですが、これは是非未公開のも観たいと思わせましたよ。新作も楽しみ。

そういえば・・・デレク監督がドニーさんと撮るといってた『九龍塞城』はどうなったんでしょう。ドニー制作予定作品でこれ実は一番楽しみにしてる映画なんですが。

全力スマッシュ公式サイト

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カンフー・ジャングル(2014年、香港・中国)ー ドニー・イェン 甄子丹

映画を観た方々に、役に立つのか立たないのか分らないマニアネタ

いよいよ10月10日から新宿武蔵野館ほかで日本公開です。いやっほー。

まずは基本的なおさらいですよ。
原題は『一個人的武林(一人きりの武林)』。
武林というのは武侠小説用語で、武術家だけの世界を表す言葉です。香港では武林を力技でKung Fu Jungleという英題にしちゃいました♪ なので邦題はそのカタカナ表記。アメリカやイギリスなどでは配給会社がKung Fu Killerというこれまた何の色気もないタイトルに。

実は、7月の段階で試写初号を観ておりまして、プレス&パンフに寄稿しております。機会があったら読んでやって下さい。

香港で観た際にさんざんブログに書き散らかしたので、同じ事じゃ申し訳ないというのと、「あんまりマニアックな事は・・・」と依頼される際に宣伝の筒井さんからいつも言われるので(笑)ひょっとしたら無難な話になっちゃったかなぁなどと後から思ったりしています。しかも知らずに内容一部、プロダクションノートとかぶってるし!(汗

と、いうわけで。
映画を観た人なら、きっとエンディングにかかったやたらと派手な中華楽曲が気になってるはず。しかも終わったかと思ったらそこからまたものすごい圧力で再開するし(笑)。なんという吸引力のありすぎるメロディラインなんだ。ご飯ですよが食べたくなるぞ!
そうでしょうそうでしょう、私も気になって調べましたよん。

パンフには書かなかったこの曲のことなどマニアネタはこちら。
一個人的武林 KUNG FU JUNGLE(2014年、香港)その3- ドニー・イェン 甄子丹

これは、文革時代沢山作られた革命オペラとも違い中国民族管絃合奏曲として作られました。今後もきっと、小刀会組曲 序曲のように武侠、功夫映画に時折かかるテーマソングになったりするんでしょうね。その証拠につい最近作でもこの曲を使っている映画に出くわしたりして。すでにスタンダードの域。

他にもこんなんあります
香港で観た時のレビュー
一個人的武林 KUNG FU JUNGLE(2014年、香港)その1- ドニー・イェン 甄子丹
この映画の功夫ネタ
一個人的武林 KUNG FU JUNGLE(2014年、香港)その2- ドニー・イェン 甄子丹

カンフー・ジャングル予告編
アメリカ版予告KUNG FU KILLER (2015) | Official Trailer
映画「カンフー・ジャングル」公式サイト

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