英国ロイヤル・バレエ 『白鳥の湖』

暑いなか、涼しい会場で観るバレエは最高やで!ということで行ってきました。英国ロイヤル・バレエ団の『白鳥の湖』。
全4幕を観るのは久しぶり。古典を通しで観る時の楽しみの一つにセットの豪華さがありますが、舞台美術がやたらよかった。最高。
オデット、オディールをサラ・ラム、ジークフリート王子をカルロス・アコスタ。

チケットを取ってくれたのはMちゃん。さんきゅー!
彼女は出張の度にロンドンで何度もカルロスを観ようとトライしたそうな。けれど、いずれもチケット瞬殺のためにその願いは叶わず、今回そのリベンジをやっと日本で果たしました。いや、よかったね!てか、その御相伴に預かれたのはラッキー。

自分も生カルロスは初めてです。はら~、ふわっと宙に浮かんだかと思うと、とにかく滞空時間が長い。そして正確で(体操なら絶対にマイナスポイントはつかない)何の音もしない着地はまるで黒豹みたいだ。オディールのグラン・フェッテも含め、やっぱり3幕は盛り上がりますな。

でも私は2幕が好きです。とにかくコール・ドがよくできてる。ざっと数えたところ30人近くはいた白鳥達ですが、これまた何の音もしない。ひぃ~、どこをどうしたら、あんなことができるんですか。

1877年にボリショイで初演されたこのバレエが愛され続ける理由はチャイコフスキーのスコアの見事さと物語のシンプルさとドラマ性、そしてなんといってもやはり振り付けの素晴らしさですよね。2幕はそれをぎゆっと凝縮して感じさせてくれるから大好きです。
グラン・アダージョをはじめ4羽の白鳥や2羽の白鳥の振り付けは普遍。
加えて今回コール・ドのみなさまの衣装が短いチュチュでなく、踊るとふんわり揺れる長めだったのもとても素敵。
に、してもサラオデットのバッチュはなんですか!驚くほど小刻みに一部の隙もない見事なバッチュ。これが同じ人間でしょうか。目が点になりましたよ。

黒鳥のグラン・フェッテは以前映像で見たタマラ・ロホ様のが、あまりにターミネーターちっくに正確無比で壮絶だったので(相手は同じカルロス)その残像が邪魔してしまった感もありましたが、サラさん、今回は非常に多くの出番をこなされたようで。お疲れ様でございました。

いや、ほんとうに素晴らしかった。
今回のオケは東京シティ・フィルハーモニー管弦楽団。音も良かったです。
豪華な美術と衣装に、おしげもなく沢山登場するきらびやかな人物。
いつにもまして戦隊物の怪人のようなロットバルトもあわせて心ゆくまで堪能いたしました。

勢いで、8月のヴィシニョーワのチケットも会場で買っちゃったわ!連番じゃないけど結構いいお席がぽっつりと残っておりました。
マシュー・ボーンの『ドリアン・グレイの肖像』も先日UKキャストを観たのに、どうしても大貫勇輔さんのドリアン・グレイが観たくて当日券を頼んでしまったのことよ。
気がつけばこの夏はバレエ三昧になりそうです。

黒豹カルロスと超絶ロホ様の€グラン・フェッテ(廻り終えた後のドヤ顔に注目)

白鳥の湖のコール・ドが実は想像以上に大変だったというお話

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日本で誰も書かないから書いてみた、大陸監督檀冰の事。

ずっと思ってきたことですが、どこの国でも芸能関係のニュースというのは、め一杯飛ばしまくってるのが多い印象です。
中華マスコミも当然ながら例にもれず、ここ最近まざまざと「中華クオリティ」に出くわして驚いている今日この頃。
そういえば日本の中華明星ファンの方々がブログなどで中華マスコミのあり方について嘆いているのをよくお見受けしておりましたが、いや、本当どころか想像以上だったという。

昨年2012年、チウ・マンチェクが映画『特殊身分』を降板して以来、あちらのマスコミをはじめネットでは最大級の話題を呼び、たくさんのスターや映画人を巻き込んでの大騒動となりました。

で、今回何を書くかというと、あの世界中のドニーファンが心待ちにしている映画『特殊身分』とドニー・イェンに、今なおイチャモンをつけている、「ある人」に関してです。

文中のリンクには微博という中国のtwitterのようなものが含まれています。これは登録しないと見られないもの。ネットで記事になったものに関しては、そちらを選択しましたが、微博にしかないものは、そのままリンクを貼りましたのであらかじめお断りしておきます。

2012年4月5日、マンチェク降板騒動の最中にマスコミへの記者会見をぶちあげたのが、特殊身分の前身である映画『終極解碼』の脚本家でありディレクターを務める予定だった檀冰という大陸の監督。

その檀冰監督に対し名誉棄損で今年2013年2月にドニーさんが訴訟を起こしたことは日本でも報道されました。

6月24日この裁判の第3回公判に、白シャツにレジメタイという「出廷する原告のオレ」を演出したような颯爽とした出で立ちをしたドニーさん自身が出廷したことで、急に複数の映画関係者から「どうなってんの?あれ」訊かれたのと(なぜ私に訊くのかは謎)あるドニーファンの方から人づてに「日本での誤解のされ方はあまりにも甄子丹が不憫」という非常に長いメッセージを戴いたことで、この件について自分なりにまとめてみようかなと、ふと思い立ちました。

まぁ、私もどこまでフォローできているかは確認しようがないし、なにより自分はドニー・イェンファンなのでどうしても贔屓が入ると思います。
なので以下はそのつもりで読んでいただいた方がいい、ということをご了承ください。

そもそも、檀氷監督の『終極解碼』が『特殊身分』に変わったいきさつについてはこう言われています。
彼が『終極解碼』の脚本を書き、大陸歌手楊坤主演で、監督や関係者が持ち寄った資本金1500万元で企画。その過程で楊坤が成龍を監督に紹介したことから成龍参加が濃厚に。

するといきなり資本金が億に跳ね上がってしまいました。成龍さすがです。しかし『ライジング・ドラゴン』の撮影で多忙な成龍はキャストから早々に降板。
そこへかつて『モンキーキング』プロデューサーの1人だった檀冰の奥さん(今は離婚したので正確には元奥さん)がドニー・イェンに交渉し出演が決定。(この時点で成龍が出演を降板したことは対外的にもドニーさんはじめ制作サイドにも伏せていたと谷垣コラムに証言あり)
その後かろうじてプロデューサーとして名前だけは残っていた成龍が、結局それも降りることとなり、代わりにドニー・イェンがプロデューサーも兼任。当然投資会社も新たに参入したりして、資本金も膨らんでゆきました。

準備段階での脚本の打ち合わせなどを通じて、根底からの内容変更を制作側が檀冰監督に提案、しかし監督は「検閲もすでに通っている脚本を変更することはまかりならん」とそれを拒否。
結果、出資者、出演者、スタッフはそのままに監督の変更が決定し、と同時に劇中の人物像、設定や脚本家も別に置き換えられタイトルも『特殊身分』として新たに仕切り直して2012年1月19日に制作発表、2月8日クランクイン。
※谷垣さんの映画秘宝2015年2月号のインタビューによると、スタッフについてはきちんと契約し直して、まったく「新たな映画」として仕切り直したとのこと。

が、撮影数日で、今度はマンチェクの降板を巡って騒動が勃発し、そのトラブルが一気に話題に

そんなマンチェク騒動のさなかの4月5日です。
檀氷前監督がマスコミを呼んでカメラの前で会見を行いました
心血を注いだ『終極解碼』という映画が、ドニー・イェンによってめちゃくちゃにされ、プロデューサーである成龍をその座から引きずり降ろし、映画の全権力を掌握。出演が決まっていた人気アイドルの韓庚を自分より人気があると恐れ嫉妬したためにキャスティングから外した上に、自分が3年間かかって命を削り書きあげた台本を変更して力の弱い大陸の青年監督である自分を、権力に物を言わせてクビにした。
それどころか、彼のドライバーがマンチェクのドライバーを殺害した。亡くなったのはマンチェクと同郷の黒龍江人で素朴な田舎の人間でもある。自分の夢を粉々に打ち砕き、力の弱い人間を踏みつけるような迫害をする行為は断固許さないので、ここにドニー・イェンを告発するという内容でした

かなり荒唐無稽な主張にも思えますが(特にドライバーのくだり、これに関しては谷垣さんも「すぐばれる嘘をなんでつくかな」とコラムに書いておられました)不思議なことに、当時その主張を検証したり、疑問をはさむマスコミはほとんどなく、やみくもにそのインタビュー動画と彼の言い分は、直後にゲスト出演したテレビ番組とともにそのまま公開され拡散され続けていったのです

当時はマンチェク騒動の影響で、彼が言い続けた香港映画人(ドニー・イェン)の横暴さに大陸人がコケにされているという意見に多くの大陸人が同情していたという追い風がありました。

そこに近年社会問題化していた「香港VS大陸」の代理戦争のような過熱ぶりも加わり、大陸人の多くの気分(これにはネット上で暗躍する金で雇われた組織的ネット工作員―中国語では「水軍」と呼ぶ―の存在も指摘されています)は、猛烈なドニーバッシングを生み、最終的にアンチドニー・イェンという大きなうねりに集約される格好になりました。

現場レベルでの檀冰監督への評価は、谷垣さんの新著『アクション映画バカ一代』に委ねるとして、マンチェク騒動の際、ドニー・イェンを援護した映画人の微博がことごとく炎上し次々と閉鎖に追い込まれる流れに、彼を知る人間が表だって擁護することもままならない状況になってしまったことは事実です。(未だに再開していない業界人の方が多い)

すると今度はその檀冰監督を、大陸の映画ブロガー、秋原nrokin(当時は恐兽秋原というネームで、なぜか名前を何度も変える)という人間が後押しを開始。
この人は歯に衣着せぬ映画評論と事情通がウケているのか、当時は「本当は姜文が別名で書いているのではないか」などと噂が出た存在。(さすがに絶対にそれはないと勝手に断言)

その人物が、檀氷がいかに誠実に映画に取り組んでいる「青年監督」であるか、ドニー・イェンに代表される香港の商業主義がどれほど歪な物であるかを発信し続けました。

そんななか、嫉妬され役を下ろされたと引き合いに出されたアイドルの韓庚の事務所が「降板は宣伝期間にコンサートツアーがあり、協力できないことからコチラの判断で降板した」と発表。
同時に檀冰を成龍に紹介した歌手楊坤が微博で檀冰を「嘘をつくな、この恩知らず」と非難。(彼もまたこの件でひどいバッシングを受ける羽目に)投資会社は檀冰に対しそれまでに彼が投資してきた資金については全額保証したと証言→(3つまとめてこちら)。

また『終極解碼』から『特殊身分』に変更された経過を特集した番組や、特殊身分ドライバー殺人事件を調査し、殺人を犯したドライバーはドニー・イェン専属ではなく、制作サイドが雇いアトランダムに振り分けた人員で実は2人ともチウ・マンチェクのドライバーであったことやそもそも酒に酔ったうえでの喧嘩の末の殺人事件であったことなども報道されましたがいずれも点としての報道にしかならず、檀冰の言い分を検証しようと動く他のマスコミも現れずに、多くの批判記事や微博での膨大な中傷とドニー・イェンと妻汪詩詩への個人攻撃、そしてアンチとファンによる罵り合いにかき消されてしまいました。

その後の7月、この騒動のそもそもの発端であったチウ・マンチェク(彼はドニーを訴訟するするとマスコミに言い続けましたが結局しませんでした)が「すべては仏のお導き、今後またドニーとは縁があるかもないかも(超意訳)」という分ったような分らないような言葉を残して矛を収めた矢先の10月18日、檀冰監督が今度は自分自身が監督する新作映画の制作発表の席上にて弁護士を隣に並ばせドニー・イェンを提訴したと発言

「自分はドニー・イェンに対し著作権侵害と横領された数百万の資金の返還、そして特殊身分の公開差し止めを求めて8月北京市海淀区人民法院に提訴した。受理されたので初公判は10月30日」と発表。
そして同時に「ドニー・イェンから受けた迫害を国際執行機関である北京仲裁委員会に訴えて、彼はこの北京仲裁委員会からの出頭命令書を今年6月18日に受け取っているはず。また国家电影局に手紙を送り『特殊身分』の一時発行停止を求めた」と話しました。
こちらも直後にゲスト出演したテレビ番組で同じ主張を繰り返しております。

また11月にはその北京仲裁委員会からドニー・イェンへの正式通知のコピーを微博にアップし、「通知を受け取っているのに出頭命令に従わないのは法律を軽視している」とコメント。

2度目の会見に関して、ドニー・イェンのマネージャーや事務所の代理人が損害賠償や公開差し止めを訴えた北京仲裁委員会というところが強制力のない民間の機関であるとことを元に微博で反論。
しかし普段微博をネタに記事を作ってるはずのマスコミはこのウラを取ることもなく、むしろくだんのブロガーが「あの人は彼の会社の人間じゃないか、給料をもらってる人間がかばうのは当り前」と微博に書くなどして誰も耳を貸そうとはしませんでした。

中国で旧正月の開けた2013年2月21日にドニー・イェンが北京市海淀区人民法院北京市海淀区人民法院に檀冰を名誉棄損で提訴。
とすぐに、それまで反ドニー・イェンの急先鋒であったブロガーが彼に関するすべてのコメントを削除。

3月第一審の初公判前、ドニー・イェンの代理人である何培華弁護士が自らの微博で檀冰の住所本名を出し、公判を前にして行方不明の彼を捜す、そして捜す協力を求めるコメントを数度にわたって掲載。

2013年3月14日、第一審の第1回目の開廷、ここに檀冰はおろか代理人も出廷せず。5月20日、第2回これにも両人とも欠席。(ソースは下記の南都娱乐記事とドニー側の弁護士の微博)

すると、その第2回公判が終了した翌日の5月21日、それまでまったく行方が分らなかった檀冰監督がマスコミを呼び、カンヌで発表された『特殊身分』のポスターへの不満をぶつけドニー・イェンを辛辣に批判
「自分は新作撮影で忙しく、裁判所からの訴状を受け取っていない」としたうえで日本語では想像のつかない罵詈雑言をカメラの前で発言。
その動画では集まった記者からの「今日会見するなら、どうして前日に出廷しなかったのか?」という追求すらなく、そのまま一斉に配信されました

一方でこの会見の席には北京市海淀区人民法院の人間も現れて起訴状を再度今度は本人に直接手渡し(前回は郵送)、受け取りのサインも衆人環視のなかもらったという事実も。

その同日、南都娱乐が「甄子丹状告檀冰 一年后再解四大疑点」という記事を掲載
そこにも檀氷がドニー・イェンを訴えたという事実はなく、彼が原告として訴えたのは『特殊身分』の投資会社、北京宇际星海广告有限公司のCEO辛晓东、しかも提訴した当時はまだ映画の撮影中であり、どうやって『終極解碼』の権利侵害だと証明するつもりだったのか、と書いています。
(てか、今年2月に行われた谷垣さんのトークショウでは、その時点でまだ撮り残しがあり完成してないということだった)

記事によると第一審は檀冰が敗訴、またその投資家辛晓东の言葉として、檀冰にこれほどの規模の映画を監督する技量はないと判断し、また脚本の変更をかたくなに認めなかったので監督を降りてもらい、新たに脚本家を呼び寄せて全く新しい映画にしたと伝えています。

翌22日には、本件に関するドニー・イェンの代理人である何培華弁護士が公式声明を発表
その中で、檀冰監督が北京市海淀区人民法院に起こした訴訟は、ドニー・イェン個人を被告としたものではなく、出資会社である北京星光灿烂影视公司と北京宇际星海广告有限公司を被告としたものであり、現在何一つこの裁判所にはドニー・イェンを被告とする訴訟など存在しないこと。

また、原告と檀冰の間にはいかなる雇用関係もないために、訴えることは不可能であり、マスコミに対しドニー・イェンを訴えたと主張するのは明らかにでっちあげで、訴えられてもないことに反応しようのない彼を誹謗中傷することは許されない、と反論。

同時に、迫害されたと訴え出た「北京仲裁委員会」というところは、法律を知っている人間ならすぐ分る通り、檀冰の主張するように国際判決など出せるものではない民間の調停機関で、出頭命令の強制執行力はおろか互いに任意の上で話し合いを進める場であり、それに応えずとも期間が過ぎれば受理したものも無効になるとされていました。

それまでの報道を細かく見ていれば、過去に何度か出て来た話ではあったのですが、あらためて檀冰の矛盾点をまとめて発表した形です。
しかし、おもしろいことに、ここまで説明しても中華マスコミは未だに「お互いに訴訟しあった」という表現を使うところもあり、日本の報道でもそう誤解を受けるような表現がされていたと思います。

その数日後の5月25日には、あれほど自分の微博で哀れな大陸の青年監督檀冰を擁護しドニー・イェン攻撃の急先鋒として大衆をリードしてきたブロガー、秋原nrokinが、遡ること5月3日に特殊身分の共演者である女優景甜が自分の微博にアップした成龍とドニー・イェンそして彼女との3ショットの写真を転載し、ドニー・イェンに対し謝罪するとともに唐突に友人であるはずの檀冰を批判し始めました。

そして堰を切ったようにいかに檀冰監督が邪悪な人間で、自分が騙されていたかを何度もコメントで訴えました。
内容を読んだところ彼は監督の新作映画に関わっていたのに、正当な報酬を支払われるどころか借りた金も返さないうえ、出演させた女優に対するセクハラを諫めたら今度はそのプロジェクトから追い出されたらしく、そんなことが数日にわたって綿々と綴られることとなりました。

これにはむこうのドニーファンも唖然です。金の話から離婚した妻へのDV、そして下半身事情まで、まるで内ゲバのごときドロドロの内容です。そのドロドロ微博コメとドニーへの謝罪をまとめた記事はコチラ

迎えた第3回公判は6月24日。それにさきがけて海淀区人民法院が新聞に、「耿卫国(檀冰の本名)へ。手続きをふんでね、公判に出廷しないと欠席裁判になっちゃいますよ(超意訳)」と広告をうつ事態

そしてこの日の公判には、よもやのドニー・イェンが登場。精神的苦痛と経済的損失の賠償として請求した賠償金500万元は、貧しい映画を学ぶ学生たちのために全額寄付すると発表。そしてようやっと大陸監督の壇冰も出廷。非公開の公判が行われた後に彼は三たび、マスコミを呼んで会見を決行。

そこでは檀冰監督の代理人である李光昱弁護士から、以下の発表がありました
・自分達が欠席した2度の審理を通じて、すでに司法官はドニー・イェンをえこひいきしている
・この裁判においては専門的な人員が必要なので、3人の司法官の入れ替えを要求する
・この件に関してドニー側の何培華弁護士はネット上にて檀冰の本名や住所、家族などを公表したためにプライバシーの侵害として、しかる場所に訴える準備がある
・この裁判において、証人として成龍、楊坤、景甜、韓庚、チウ・マンチェクなどの芸能人をはじめ、主だった制作スタッフのほとんどを証人として申請する

これを受け、ドニー側の何弁護士もインタビューに応えて「これは司法官への侮辱である、弁護士は裁判における司法官を指名できるわけではない。なんの法的根拠もないこのような要求をするのは弁護士としてあり得ない、まるで素人。また檀冰の氏名住所については本人自身がネットに公表しているものである。よってプライバシーの侵害には当たらないし、そもそもその主張は本件には関係のないことで、単なるごまかしである」

そして芸能人や制作陣の証人申請については「民事の場合は同意がなくては証人として出廷する義務はありません」とし「こちらはすでに大量の証拠を裁判所に提出しており、証人も呼んで原告に対する侮辱と誹謗が計画的な謀略であったことを証明してみせます」と語っています。

やれやれ、駆け足でしたが、2013年7月1日の現在ではそういう状況なわけでありますよ。

判決が出ていないために、今現在も檀冰監督は毎日のように微博でドニーさんを攻撃し続け、彼の脳内では先日自分が出廷した3回目の公判が第1回目とすり変わっていて頻繁に「先日の第1回公判では~」という言葉が登場します。

これに関しては彼の弁護士も彼も、最初に裁判官が「第1回公判を開始する」と宣言した、というのを根拠としていますが、その言い分が本当かどうか、報道もなく中国の法律まで調べてないので現時点ではわかりません。日本の場合は相手に訴状が渡らなければ「公示送達」という手続きをするのですが。

ところで、監督が裁判を起こしたために『特殊身分』の公開が決まらないと考えている人が多いようですけれど、配給会社の決定、カンヌでのポスター発表、上海映画祭での特殊身分組のレッドカーペット、そして景甜ちゃんのアフレコ収録風景写真など、その件に関しては多分とっくの昔に檀氷が公開差し止めの第一審で敗訴した段階でクリアになっているのではと自分は想像しております(あくまでこれは想像)。

あとは、単純にドニーの世間での評判や檀冰のでっち上げをいかにして抑え込むか、そんな算段とタイミングを図っていたのかもしれません。←当然想像

これはソースなしの伝聞でしかありませんが、2011年11月の段階で最初檀冰監督は、特殊身分のプロデューサーでありその後檀冰に代わって監督に就任した霍耀良に対し著作権侵害を訴えたそうです。が、マスコミに一切取りあげられなかったために、マンチェク騒動を利用して今度は対象をドニー・イェンにすり替えたとも言われています。

そういえば、ドニーさんが檀冰監督に対する訴訟を決めた一因に「自分の子供たちへきちんとした形で説明をする義務がある」という一文をどこかの記事で読んだ覚えがあります。
今回、このエントリーを書くにあたり、その記事を確認しようと努力しましたが、どうしても見つかりませんでした、なにしろ「甄子丹 檀冰」でググると94万5千件以上もあるのです。
それほど、この件に関するものは莫大な量にのぼります。しかも、8割近くは大陸人監督檀冰の一方的な主張の垂れ流しと、それに乗じたドニー・イェンへの中傷だったと、ウォッチャーの私はここで申し上げておきます。

もし、自分がマスコミの1人としてあの会見場にいたら、檀冰監督に質問をするだろうし、彼の矛盾も直接問うてみたい、なのに検証どころか双方の主張も同時に取りあげず一方の意見だけを平気で垂れ流したままにする中華マスコミの姿勢に対して自分は相当イライラしています。
結婚10周年なのにラブラブとか、怖い人かと思ってたけど会ったら凄くフレンドリーでいい人、とかいう提灯記事を書くくらいなら、ちょっと調べりゃすぐ分る事もあるんだから少しは取材して検証してやってくれよ。

ドニーさん本人が本来出る必要などない名誉棄損の公判に出廷したのも、恐らく弁護士の文章だけではこちらの主張はニュースにもならないし拡散もしてくれないと判断したうえでの苦肉の策だったのでしょうか。
マンチェクの時もそうでしたが、この件に関して彼自身が発言をしたのはわずか数回しかなく、あとはずっと沈黙を続けています。

そういえば、マンチェク騒動の渦中にあった2012年の4月1日、ドニーさんがコメントした微博では「いま聴いている曲」と一言添えてレスリー・チャン(その日はレスリーの命日でした)の『沉默是金』の歌詞を載せていましたっけ。思えばその日から1年近く彼の微博は更新されませんでした。

本人がわざわざ出廷したお陰で、目論見通り1年以上経ってやっと、やーっと双方の主張が同じ記事に載るようになってきて、上記したような記事が少しは見受けられるようになりました。

ただし「檀冰と甄子丹は互いに訴訟しあっているわけでは決してない、現時点での檀冰に関しての真実は唯一で、それは檀氷が被告であり甄子丹が原告である名誉棄損の裁判がひとつあるだけ。しかも3回行われた公判のうち2回を檀冰は無視した」という当り前のことを、つい、言いたくなるような端折った報道がまだまだ多いのですが。

ただでさえブラック企業のような(谷垣健治的表現)この映画の現場で、懸命に働いた谷垣さんをはじめ、たくさんのスタントマンのみなさんやスタッフの方々のご苦労も相当だったと『アクション映画バカ一代』にありました。

なにしろ現場じゃ騒動の当事者じゃないだけに、訳も分からずかなり振り回されたようです。そんな人達の努力と苦痛が報われるためにも、この作品の正常な状態での公開を切に願います。

ドニーさん本人はこの『特殊身分』を、SPL、導火線に続く三部作としてとらえていて、ポスターのコピーにも “THE HERO RETURNS” “甄子丹 重磅帰來” とあります。甄子丹がハードに帰来ですよ、帰来。

最後に、映画を作る以上にストレスがかかっているのだろうドニーさんには、いや本当に心から、真心希望丹哥工作不要太辛苦ですわ。

追記:ドニ―さんの 7月3日付けのFBに写真とともに、
SPL,Flash Point and now: Special Identity. Coming this Oct.!
というコメントがありました。うわー、本当でありますように。

ダラダラまた追記:
檀冰が出資会社に起こしたという特殊身分公開差し止めの裁判。このエントリー後すぐの元友人ブロガーコメントによると「今も審議中だと?嘘を書くな、嘘を。とっくに訴訟中止が出て、お前その文書を俺に見せたやんけ!」

法律に詳しくないので「訴訟中止」てなんぞや、と調べたら、裁判所が訴訟の継続をすべきでないと判断したら中止にするんだそうです。そうなる理由についてはこちら→诉讼中止
リリース日も決まり宣伝もどんどん始まりいよいよ公開。

皮肉なことに中国大陸で公開される映画テレビのすべてを管理している『国家広播電影電視総局電影事業管理局』が公開を承認したという事実が、間違いなく檀冰の主張が退けられたという証明になりました。

なお、大変遅くなりましたが私に長いメッセージをくださったドニーファンYOUさんの、記事のコピペやまとめてくださった時系列が大変参考になりました。助かりました、ここで改めて感謝申し上げます。

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人としてどうかと思うほど時間が経ってからの追記:

この映画は2013年無事むこうで公開され2015年には『スペシャルID 特殊身分』というタイトルで日本公開されることも決定しました。
そこでひょっとして、検索してこちらを覗かれた方もいらっしゃるかもしれません。こんな無駄な長文を最後まで読んで下さったからには、きっとこの件に興味がおありかもと思い、その後の流れをざっと書いておきます。

香港中国での公開を前にドニーさんが長い沈黙を破り、プロモ―ションの際この件について、最初で最後ぶっちゃけておりました。

映画を降板後マスコミの前でドニーさんへの怒りと悪口を言いたい放題し同情を集めた俳優チウ・マンチェクに対しては、二度と共演することはないと断言。彼はこの件で巻き込まれ傷つけてしまった人達誰ひとりに対しても謝罪すらしていない、というのが理由です。
マンチェクが、家族を含め7人もの無関係な人達を現場に連日連れてきていたこと、またそんな彼を最後までドニーさんが慰留していたことは、その場にいた谷垣健治さんのコラムや著書、映画秘宝2015年2月号のインタビューでも語られています。
共演者のリミッターを外しては後々印象に残るアクションシーンを作ってきたアクション監督ドニー・イェンの力量を考えれば、どういう理由があったにせよ、マンチェクは自分に巡ってきた武打星としての最大級のチャンスを自ら放棄したとしか今となっては言いようがありません。

ドニー・イェンを擁護した人達をネット攻撃しマネージャーに毎晩脅迫電話をかけ続けた「水軍」が本当のマンチェクのファンだとは言いませんが、長い間彼を応援しドニーを憎んでいるファンの人達は多分「あの時我慢して特殊身分に出ていればもっと別のマンチェクが見れたかも」という思いを意識してようがしてまいが、この先ずっと心の隅に抱き続けることでしょう。

檀冰監督に関しての怒りについては「彼は映画界にいてはいけない人間」と言い切りました。キャリア30年以上、黒社会をはじめ有象無象のうごめく映画界にずっといる彼がそういうからには本当に人としてどうかしてる人物なのだと思います。ここに書いた檀冰の言動とそれを取り巻いていた人間の行動でご判断ください。

長い長い沈黙のわけは監督ピーター・チャンが「今は黙って映画を完成させなさい」とアドバイスしたそうで、ドニーさんはそのアドバイスを守って映画を完成させました。しかし反論する機会はここしかないと公開直前に2人に対して公に初めて口を開きました。
「自分までこの映画を放りだしてしまっては、ずっと働いてきた何百人ものスタッフが一瞬で失業してしまうじゃないか」それが映画人ドニー・イェンの発した言葉のひとつだったとお伝えしておきます。

最後の最後:2015年11月、この裁判の一審判決が出ました、ドニーさん勝訴です。くわしくはこちら

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功夫片的巨人、劉家良師傅逝く

2013年、6月25日。
出張先で仕事を終えてホテルに戻ったところ、何本かのメールが入っていました。
「劉家良が亡くなったよ」

御身体の具合が悪いことは知っていました。遺作となった2007年「セブン・ソード」も確かガンを克服して初めての出演作だったはず。その後、2010年の香港金像奨で「終身監督賞」を受賞した時に見せたのが、最後の公の姿だったでしょうか。

なんだかとてもうまく言えません。
ガンだったし、長い間映画界に復帰する様子もないし、まして義弟の劉家輝が病に侵され大変な苦労を強いられているなかでもコメントはおろか影すら感じなかったので、ご本人もひょっとして相当悪いのでは?と薄々予感しておりました。

享年79歳。
この人がいなければ、香港の功夫映画はまったく違ったものになったでしょう。
それほどの発想と影響を後にあたえた映画人です。
香港映画界、いや、世界のアクション映画に多大なる功績を残したお人でありながら、ご本人は終生映画人ではなく「自分は武術家である」と言い続けたと、キングレコードのショウブラシリーズの特典映像インタビューをした中田圭監督や、フリーマンオフィスの筒井さんから伺ったことがあります。

私は師傅の映画が、彼のコレオグラフィーが大好きでした。
あの名匠チャン・チェの映画があれほど光り輝いたのも、武術指導を務めた劉家良師傅の偉業があってこそ。
そもそも、それまでは女性が武術(というか牧歌的な武術)を披露していた香港功夫映画において、1949年に第一作が公開された関徳興の黄飛鴻シリーズが、初めて男を主役に描いた功夫映画だと言われています。
その黄飛鴻シリーズの武術指導をしていた父親の劉湛(ラウ・チャム)を手伝うために映画界に入ったのはわずか16歳の時でした。
まさに功夫映画とともにあった人生とも言えるでしょう。
父親の劉湛は言わずと知れたあのリアル黄飛鴻の直系の孫弟子。なので劉家の長男である師傅も同時にバリバリの武術家でもあるわけで。

ああ、一杯言いたいことがあるのに、うまくまとめられない。

そのうちに時間が出来たらゆっくり書きたいと思います。

今はただ、本当の意味での一代宗師であり、また功夫片的巨人でもある劉家良師傅に心からの哀悼の意を表します。

カンフー映画の巨匠、劉家良が死去
攜女庵堂小住 翁靜晶茹素誦經悼劉家良
刘家良24日出殡 遗孀成立“刘家良电影基金”
劉家良7月23日設靈 靈堂橫蛹セ《一代宗師》

劉家良師傅に関するレビュー
ワンス・アポン・ア・タイム 英雄少林拳 武館激突(1981年・香港)
掌門人(1983年・香港)
マジッククンフー神打拳(1975年・香港)
映画 少林寺VS忍者(1978年・香港)
新・片腕必殺剣(1971年・香港)
阿羅漢 南北少林(1986年・香港、中国)
上海ドラゴン英雄拳(1972年・香港)
飲む前にヘパリーゼ
飲む前にへパリーゼ②
蔵出し功夫映画特集
映画 少林虎鶴拳(1977年・香港)
映画 嵐を呼ぶドラゴン(1974年・香港)
映画 大女侠(68年・香港)
映画 ブラッド・ブラザース 刺馬(1973年・香港)
映画 レディークンフー激闘拳(1980年・香港)&超酔拳(2003年・香港)
映画 秘義・十八武芸拳法(82年・香港)

 

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珍しくアクティブに過ごしてみた。

いやぁ、タイガースの藤波投手がオールスターのファン投票で投手部門第一位だそうで。タイガースファン飛ばしてるなぁ(笑)4勝目の甲子園も行ってきたよ。そう、日ハムとの交流戦。スタメンで5番大谷、の名前が発表されてすんごく興奮したわ!栗山監督GJ!

翌日は大阪に部屋を持ってるMちゃんと女2人ユニバーサルスタジオジャパンへ。SMAPのハリウッド・ドリーム・ザ・ライド、バックドロップに乗ってきやした。ご機嫌さん!
ああいうジェットコースターに乗るのは本当に久しぶり。今まで一番好きだったのは(色んな意味で)花屋敷のコースターだったのですが、こちらはかなりスゴイ。バックドロップも相当だ、でも本当は普通に前向きの方がうんとスリリング。あの一瞬ふわっと無重力的な感覚とでも申しましょうか、内臓から胃がぐぐっと上がってきそうな感覚は病みつきになりますな。

11日はワールドカップ出場を決めたサッカー日本代表のオーストラリア戦のパブリックビューイングに国立競技場へ。
代表の試合は何度かスタジアムで見てますが、PVは初めて。5万人くらい入る国立の約6割(あとの4割は開放してなかった)がびっしり満席。すごいな~、別に選手がいるわけじゃない、あの小さなビジョンをみんなで見るだけですよ、でも臨場感はたっぷり。かなりヒートアップしておりました。
が、いかんせんビジョンは小さすぎる。寄りの絵はいいんですが引きになるとボールがどこにあるのかサッパリ。
一緒に行った友人が「ワンセグ見れないの?」と言うので途中からスマホ片手に中継も見つつ。「テレビをスマホで見る発想は日本人にしかないよ」とi-phone持ちの友人。初めてAndroidで良かったと思った瞬間でした。
やがて目が慣れて来たのか、ビジョンでもボールが見えるようになってきた。
勝ってワールドカップ決めてくれぇ!と願ってましたが、引き分けとしてはこれ以上ない劇的な展開。
終わった瞬間、速攻スタジアムを後に。ユニフォームのままうちの近所のバーで祝杯。
生中継を放送していたそのお店、やはり同じようにユニを着たお客さんと入れ違い。決まってよかったね。

 

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イップ・マン小ネタとイップ・マン3、MOVIX三郷『イップ・マン 序章』『イップ・マン 葉問』100円上映会!その2-ドニー・イェン 甄子丹 

予告通り、100円イップ・マンの第二弾。
丁度いま埼玉県美郷で行われている超ビッグ企画 『イップ・マン序章』と『イップ・マン葉問』がなんと100円で見られるという上映会。ホイホイ美郷まで出かけ、でっかいスクリーンで葉問師父を堪能し心の底から満足した自分。
そこで嬉しさのあまり過去書きそびれていたイップ・マンの小ネタをここで一挙大放出。

まずは確認事項から。
『イップ・マン 序章』で、道場破りルイス・ファンに最初にしてやられる佛山青龍館の師父役は、この映画でサモハンとともに武術指導を担当した梁小熊(トニー・リャン)。

彼は言わずと知れた梁小龍(ブルース・リャン)の実弟。谷垣さんの本で菜食主義者の武術指導としても紹介されています。師父役はどうやら内トラ。さすがのやられっぷり、素晴らしい。
彼の名は広く世界にも轟いているらしく、インドの『Mugamoodiツ黴€』(2012)という詠春拳の映画のアクションも担当しています。(←ちょっとサモハンと誤解されてる部分もあり、の記事)予告見るとなんだかマルコ・ザロールのミラージュ+詠春拳(笑)。かなり面白そう。
Mugamoodi Official Trailer
小熊ちゃんが指導してるそのメイキング。

もうひとつ確認事項

序章の冒頭で邸宅に押し掛けて一緒に食事までしたのに葉問に軽くいなされてしまった廖師父。

演じるのは陳之輝(陳之輝)。ずーっと長いことテレビや映画の古装ものには欠かせない売れっ子武打星です。そこそこの話題作(時代劇)にほとんどいっていいくらい顔を出してます。あなたは馮克安(フォン・ハックオン)かい!彼のすごいところはその演技力。扮装によって別人に見える事も多いので同一人物と気がつかない人も案外いるのかも。

ドニーさんとも結構共演していて、古いところでは『詠春』(1994)で最初に登場しあっという間に盗賊にやられる役とか

『エンプレス 運命の闘い』(2008)での悪役とか

『処刑剣 14BLADES』(2010)で脱脱によって凄惨な殺され方をした錦衣衛の白虎とか

承德市歌舞団出身、少北拳の高手。現在は中国少北拳全国指導委員会副主任という肩書を持つ武術家でもあります。ジェット・リーの『SPIRIT』で霍元甲と死闘を繰り広げたチン師父も彼。

そして同じく序章で、道場破りが成功して意気揚々とソバを食べるルイス・ファン一味に横から「雑魚に勝ったからっていい気になるんじゃないよ」と言い放つ屋台のオヤジ。出番は少ないながらなかなかの存在感で非常に印象に残りましたが、メイキングを見ていて気がつきました。なんとあの役カメラマンの陳兆君 (チャン・シウクワン)の内トラ。調べたら本当にそうだった。序章では第二撮影班、葉問では第一助理で参加。本職での姿はコチラ。カメラ横の助手が屋台のオヤジ。いやいやいや、うますぎるだろ演技。

そして『イップ・マン 葉問』のエンディングでいきなり聞こえてくる、なにかと評判のよろしくないロック。序章→葉問を観た人のおそらく100人中99人が「川井憲次でええやんけー!」と心の中で思ったはず。あの妙に浮いてる『百折不撓』を歌っているのは、サイモン・ヤムの息子、光耀役の鄭家星(カールソン・チェン/カルビン・ チェン)。序章時17歳、葉問の撮影時は19歳でした。
実は彼の父親である鄭強輝が、葉問プロデューサー、黄百鳴(レイモンド・ウォン)の当時経営していたマンダリンフイルム(東方娯楽控股有限会社)の大株主だったのであります。そう、思いっっっきり縁故採用曲だったというわけですね。

まぁ、あの曲がどうかは置いといて、葉問の劇中、師父が弟子であるレオンに「誰でも永遠に一番でいることはできない」と静かに語るシーンを覚えている人も多いかと思います。あの台詞を考えたのはドニーさんご本人だそうで。韓国のインタビューであれはオレが考えたんだぜ!と自慢しておりましたよ(笑)。あそこは自身の気持ちを込めた台詞だったようで「1番でいることが重要じゃなく、引退後振り返って香港映画に貢献したかどうかが重要」と答えていて、なんだかしみじみしてしまいます。いい台詞だったもんね。

この葉問シリーズはとにかく香港中国をはじめアジア各国で大ヒットし結構なブームを起こしました。そのおかげか、様々なところで引用されたりパロディにもなっています。そこで葉問リスペクト(笑)動画を一部。

葉問戲仿 花田囍事2010(曲まで一緒!)
「誰是你€師父?」72家租客2010
人間喜劇拎住手機拍片
百佳廣告_黎耀祥葉問篇(CM)
香港亂嗡-盧海鵬 扮 葉問 教《三招功夫》(盧海鵬はジョニー・トーの奪命金のあのオヤジ、くわしくはコチラ
Iron Man 我要打十个
プレジデントオバマ葉問 笑詠春2011

あとはちょっとした台詞で葉問やドニーさんのことがでてきたり。
たとえばジェフ・ラウの『東成西就2011(原題)』では蘇永康(ウィリアム・ソー)扮する大陸のアイドル、ヤン・ミー好きの映画オタクのタクシー運転手が「在下佛山温奇,師承葉問電影1、2集(私は佛山温奇、師は映画イップ・マン序章とイップ・マン葉問です)」とカレン・モクに自己紹介しますが、これは『イップマン 葉問』で師父が円卓に上がって言った台詞「在下葉問,佛山詠春派,師承陳華順(私は葉問、佛山の詠春派、師は陳華順です)」をパロってるわけです。
また王晶は『美麗密令(原題)』でルイス・ファンの役名を「袁子丹」(袁和平+甄子丹)にしていましたっけ。→詳しくはこの中に
そういえば、詠春拳の始祖である詠春を描いた『功夫・詠春(原題)』(2010)という映画も作られました。ラストでは「うお、葉問ラストのパクリ?」とニヤリさせられるシーンも。

シンガーの陳奕迅(イーソン・チャン)は2011年のコンサートでドニーさんと李小龍、成龍の物真似をして大受け。彼は謎のナンバー『葉問風中轉』という曲も作っています。聞けばわかる通り「葉問、葉問」と連呼しとるわけですが、訳してみてもなにがなにやらサッパリ。そこで色々検索したみたところ、香港人にもこの歌はよく理解できないらしく、まぁイーソンらしいひねりまくった歌詞、ということで(笑)。

とまぁ、パッと思いついただけでもこれくらい。
とにかく当時いかにこの葉問が流行ったかが分るというわけでございます。

あ!肝心なのを忘れるとこだった。
ドニー・イェン本人もセルフパロディをしてました。
『最強囍事(原題)』(2011年)での1コマ。香港じゃセルフパロがやれるのは大ヒットを飛ばしたスターの証。これを観た時、かなり嬉しかったことを付け加えておきます。

ところで昨年、NYアジアン映画祭にて「今度葉問3を3Dで撮るよ!」と宣言し、それが世界中(のごく一部のマニアの間)を駆け巡りファンを喜ばせたドニーさん。日本での報道もまだ葉問3準備中と記事が出ているようですが、しかし近々の香港報道によるとこの企画、延期になったというか少なくともウィルソン・イップとドニー・イェンのコンビでの、すぐの3はなくなった模様。
完璧な3Dにするほどの巨額の資金が集まらず、「なら無理してやらなくても」と葉問の重要性を考えたウィルソン・イップ監督に対し、このところコケ映画が続いてしまったプロデューサーのレイモンド・ウォンが焦って自分の息子エドモンド・ウォン(彼は葉問シリーズの脚本家)を監督にしてでも2Dで撮ると動いたらしく、これにはドニーさんも「ウィルソンが監督じゃなきゃ葉問はしない」と別の所でコメントを出しました。

会社は「他の人間に代えても撮る」としていますが、いくらなんでもそれはあまり現実的でないので多分この企画は一旦白紙に戻ったとみていいのではないでしょうか。イップ監督もドニーさんも今年め一杯スケジュールが埋まってますからね、物理的にも絶対に無理。

ウォン・カーウァイ監督の『グランド・マスター』が大ヒットし、ハーマン・ヤウ監督アンソニー・ウォン主演の葉問映画『終極一戦』の公開も続いたことだし、なにより昨年のあの騒動の影響も少なからずあったのかなぁ(涙)資金が充分に集まらなかったという一文が個人的には少々気になるところではありますが、そろそろクランク・アップしそうな『冰封侠3D』や『モンキー・キング』がヒットすれば、しれっと葉問3Dの企画も復活するのでは?と自分はみています。そういう意味ではこの2本、結構ドニーさんの正念場なんだなぁと。加油!

そのドニーさんの今後の撮影予定は、英皇電影制作テディ・チャン監督の現代サスペンス『一個人的武林』。共演は冰封侠に続いて王宝強、チャーリー・ヤン、白冰。そして彼がメディア・アジアと組んでたちあげた「超級英雄公司(Super Hero Films)」で制作する『師傅』と『九龍城寨』が控えているそうです。この2本、かなーり楽しみです。

追記:
と、書いたそばからカンヌ映画祭を機にものすごい量の新作情報がでたので勢いで追記しておきます。

あの!世界中のドニーファンが待ち焦がれていた『特殊身分』のポスターがカンヌで発表になりました。クランクアップの報を聞いてから(本当はまだ残ってる追撮があるらしいのですが)ちょうど1年ですか。長かった~~~。あんまりカッコいいポスターなのでこっそり(にならないけど)貼ってしまいます。さ~、世界中の配給会社の皆さん、じゃんじゃん買っちゃって!!!

そして『冰封侠3D(ICEMAN)』に続いて撮影するという『一個人的武林』ですが、記事を読んでいたらどうやらテディ・チャン監督、香港アクション映画に従事してきた同僚や先達に対しての敬意をこの作品に込めたいようです。

彼の口から感謝を捧げる名に「唐季禮、 董瑋、林迪安、熊欣欣、袁祥仁、元彬、李忠志」と錚々たる人達が出てきて、それだけで結構胸が踊ります。そんなにアクションばかり撮ってるイメージもありませんが、だからこそ余計に動作指導の人達やスタッフに尊敬の念も強いのかもしれませんね。

プレミア上映では募金も募り、広く香港アクション映画の保護も訴えたいようです。事実最近は絶滅危惧種みたいになってるもんねぇ。応援します。

また主演のドニーさんは多分その心意気に共感したのでしょう、お友達価格のギャラで出演だそうで、別の記事では「この映画では伝統的な武術を現代の生活に溶け込ませる。新しい視点で武術の意義を理解してもらえるだろう」てな(感じの)事をコメントしておりました。その言葉にもますます興味が膨らんじゃう。とはいえ、警察サスペンスアクションですからね、バッチリエンタメしてくれるはず。楽しみです。

最後は急に飛び込んできたビッグなニュース。
米ワインスタイン社制作の『グリーンデスティニー』の続編にミシェル・ヨーと共演することが決まったと正式発表がありました。

ドニーさんにとってすごい転機になりそうな予感もしますが、それよりなにより驚いたのがメガホンを取るのが、あの袁和平(ユエン・ウーピン)師匠という!グ、グリーンデスティニーですよね?グリーンランタンじゃないですよね?だだだだだ大丈夫ですか?ハーヴェイ・ワインスタインさん!
今は知りませんが、かつては「アクションでは数限りなくテイクを撮り、ドラマは2回以上のテイクは撮らない」と言われたお人ですよ?よ?近々の『酔拳 レジェンド・オブ・カンフー』(2010)はご覧になりましたか?アレはまさにウーピン師匠の真骨頂、もんのすごい話、破綻してませんでしたっけ?私なんかあの映画を観て「ユエン・ウーピン健在なり!」と笑ったひとりなんですが。
に、してもアン・リー→ユエン・ウーピンって振れ幅が大きすぎやしないか。ハッ、まさかそれが狙いか?さすがミラマックスでタランティーノと組んでただけある?
いやいやいや、今からこんなことを言うと怒られますね。ごめんなさい、和平さん。

個人的にはすでにアン・リーの傑作の続編『グリーンデスティニー2』というより『新流星胡蝶剣』(←これは程小東だけど)風味で『詠春』のちょっと豪華版ということに・・・心づもりして・・・おきたいと思います。あ、動作指導には是非、谷軒昭(コク・ヒンチウ)を召集してくださいね!

脚本は『ドラゴン・キングダム』のジョン・フスコ。(正直あなたの双肩に掛ってるんだからよろしくお願いします!)このカンヌで制作発表記者会見をするらしく、撮影はマレーシアが予定されているという情報もありました。クランクンは来年の3月予定。アン・リーのあの芸術性を再び!と期待して観た人の目が点になることを想像して・・・い、今から激しい動悸が。
てか、自分としてはめっちゃ破綻しても素晴らしいコレオグラフ満載の娯楽武侠映画になってればそれでOKです、それで充分に価値があります!

に、しても日々の情報を追っかけてたらほんとキリがありませんね!
ダラダラ長文、本当に失礼いたしました。

 

 

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MOVIX三郷8周年記念特別企画・『イップ・マン 序章』『イップ・マン 葉問』100円上映会!その1-ドニー・イェン 甄子丹 

世にもすごい企画、“MOVIX三郷8周年記念特別企画・『イップ・マン 序章』『イップ・マン 葉問』100円上映会!!!”に行ってきました。


MOVIX 三郷TOPページ

この情報を知った時は一瞬「三郷遠い・・・」とひるんだのですが、自分1年に何度かは、さいたまスーパーアリーナとか東伏見とか出かけてるじゃないか、いや、待てそもそもウチの墓は所沢にあるじゃん、と思ったら途端にハードルが低くなりましたわ。バッチコイ。

朝11時10分の『序章』とその次の『葉問』で帰る予定だったところ、あまりに名残り惜しいので結局2回ずつ最終回まで観てしまいました。
あああああああああ、MOVIX三郷でこれを企画した人、そして無謀にもそれにOKを出した劇場に心からの感謝を申し上げますですよ!本当に本当にありがとう。

だってだってだって、18.2×7.5mのドでかいスクリーンに葉問師父ですよ!ドニーさんのクローズアップがとにかく大きいんだから。正面向いてるのに左耳のホクロが分りそうなくらい。サモハンの顔に至っては奈良の大仏並みにデカイ。いや、アップだけでない、あんな姿やこんな仕草も、そしてあの功夫シークエンスもなにもかもデカイったらデカイ。夢のようです、しあわせだ~。
台詞なんかすでに頭にしっかり入っていて、字幕なんて観る必要のない人は前の方の席で堪能することを強力にお勧め。

自分、当然ながら新宿武蔵野館でも観たしキネカ大森にも新橋文化劇場にも行きました。どころかHK版UK版FR版JP版のDVDやBDも持っている(笑)。その私が断言します、この映画実はシネコンの大きなスクリーンサイズ用に作ってあると。特に葉問。
この大きさは、多少無理してでも美郷に行く価値ありです。数多く観てきたなかで、このMOVIX三郷のスクリーン11のが紛うこと無きベストワンです。しかもそれがたったの100円ですよ!信じられない。あまりの太っ腹に思わず普段は買ったこともないポテトとかコーラとかポップコーンとか買ってしまいましたよ。(一日いたもんね)

そのうえ今回はシネコンでありながらプリント上映。
中国映画のデジタル画像って後ろに映る装飾までも隅々までギラギラ見えてしまって正直アクションシーンの時はすごく邪魔なんですよね。だから、なんだかんだで自宅でも大きなモニターの時はDVDで観たりするくらい。なのでプリント上映は理想的。(と、いうか日本ではデジタル上映はなかったはず)。

そしてあらためてシネコン設備の劇場で観たら音響がいいのなんの。『序章』の日本軍侵攻後の寒々しい木枯らしや、一転『葉問』の後ろでずっとさえずっている鳥の鳴き声とか(ウィルソン・イップは鳥の声がお好き?)冴え渡っております。特に序章の綿花工場で機械の信号音なのかメロディのあるピンポン音がうっすらと入ってるのに初めて気がつきました、最初別のスクリーンの音でも漏れてるのかと思いましたよ。2度観なきゃ、工場の音と確認できなかったと思う。もうね、感激です。

本当はずっと書きそびれていた葉問小ネタをこのあと紹介しようと思ったのですが、さすがに4本一気観は疲れました。ので続きは次回(まだあるのかよ!)。
どれくらいの人数の功夫映画好きやドニーファンがこのブログを読んでいるかは存じませんが、出来るだけ多くの人にこの100円上映会に行ってほしいから取り急ぎ第一弾としてアップしちゃいますね。

行こうかどうしようか迷ってる人は、すぐにでもGO!頼むからGO!一度でもイップ・マンを観て気に入ったという人ほど、電車賃と時間をかけても後悔はしないでしょう。この機会を逃したら、この先一生こんなにデカイスクリーンで葉問師父を観ることは叶わないかもしれないんですから。
マイカーでないのなら、友人とは美郷駅での待ち合わせがお薦め。人数が揃えばバスよりタクシーの相乗りでいいのでは。片道1300円前後です。

残念なことに、公開週の週末なのにお客さんが全然いませんでした・・・最終回なんか518席に6人程度ですよ、とほほ。せっかくの素晴らしい企画だし1人でも多くの人に観てもらいたいのと同時に、30日まで開催とはいえモタモタしてる間に気がついたら一番小さなスクリーンに移動しちゃっても知らないんだからねっ!

ふはあああ、私ももう一度行きたいわぁぁぁぁぁぁ。

甄子丹に特化した『イップ・マン 序章』のレビュー
甄子丹に特化した『イップ・マン 葉問』のレビュー

 

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あれやこれや

バタバタ仕事したり出張行ったり原稿書いたり映画観たり飲んだくれたりしてたら、色々書こうと思ってたことがまったく書けないうちにどんどん記憶が薄れてゆくという。

まず4月の頭に新歌舞伎座いきましたよ。
夜を観たかったのだけど、初動が遅れてソールドアウト。昼の部に。ロビーにたくさんの俳優さんの奥方がいらしたので早い時期。2日めか3日め。一緒に行ったAちゃんは新劇場にクロークを作らなかったことにひどくご立腹。「新しくしたのにクロークがないなんて恥ずかしくて外人連れてこれない!」狙って昔のままに近い形にしたのだと思うけど、席はテレコにして欲しかった。なんで新しくしたのに以前のまま一直線なんだろう、座高の高い人やそれこそデカイ外人さんが前に座ったら舞台が見えないじゃん。そこは改善するとばかり信じていたのでかなり驚いた、クロークよかずっと気になった点。

邦画も何本か観ました。
『藁の楯』ゲスいゲスいと評判の藤原竜也くんは期待しすぎたか可愛かったです。新幹線のシーンは台湾で撮ったとか。そういえば少し前に、健さんの『新幹線大爆破』という映画を観たことを思い出しました。これも前半めちゃおもしろかった。

『図書館戦争』。岡田准一さんカッコいいねぇ。体幹が強いから銃を構えてもすごく様になります。好きです。アクション監督は佐藤信介監督のGANTZと同じ下村勇二さん、岡田君と組むのは楽しいだろうなぁ。原作もアニメにも触れてないけどひたすら彼の動き観たさに行きました。途中少々困ったとこもあったけど、途中からアニメ声に脳内変換して観たら問題なし。
ジャニーズ繋がりでいきなり思い出しちゃった。そういえば『脳男』も随分前だけど観たなぁ。キングクリムゾンは偉大です。

映画と言えば『アイアンマン3』も。
色々意見はあるようですが、自分は非常に気に入りましたよ。スタークさんええキャラやね。吹き替え3Dだったんだけど、もっと大きなスクリーンで2Dでもよかったのかも。期待したウー・ジンくんは登場せず。中国版のみなのかな。

『プリンスアイスワールド』にも行ったよ。@新横。
力一杯スタオベしたのは町田樹くん。「ブラボー!」って叫んじゃった。もうね、この日一番良かった。嬉しい、嬉しいよ!町田くん。今回もまた本田さんにお招きいただきました。本田さんのアダージオも素敵でした、イーグル!会場には奥様とお嬢さん2人もいらしてて紹介していただきました。お嬢さんかわいいーーー。上のお嬢さんはスケートを始めてるようだし、将来が楽しみです。

今回は特別ゲストとして、バイオリニストの古澤巌さんが登場。ちゃんとスケートはいてリンクに上がっていて驚き。弾きながら滑ってたし(笑)聞けばこのためにレッスンしたんだとか。えらい!古澤さんは桐朋の音楽科出身、接点はまったくありませんでしたが、演劇専攻の自分と同時期に在学してらっしゃいました。当然あちらは学生当時から超有名人。ご挨拶できるようになったのは卒業後のことです、ものすごく久しぶりにお目にかかって嬉しかった。一緒に写真撮ったのに保存ができてなかったようで消えてしまった・・・アホか私は。鈴木明子さんとのコラボが最高でした。

と、思ってたら写真あったー

そういえば、5月8日の東京ドームでまたまたタイガース戦観戦。うおおおお、ジャイアンツを3タテ!桧山選手の代打勝ち越しタイムリーを観たでぇぇぇ。
力の限り名前を叫びましたよ、帰りにメールしたら翌日ものすごく謙虚なご返事が。
応援してますよ桧山さん、何度でもお立ち台にあがってくださいね!
にしても巨人に強い今年のタイガース、それだけで昨年と全然違う、楽しいぞ。

最後に。
6月12日発売の【Blu-ray】 『少林寺/少林寺2 アルティメット・ツインパック』 に寄稿しました。
思えば、もう30年位前の映画なのね・・・・。

 

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プロ野球開幕!! と グランド・マスター試写

プロ野球が開幕して1月足らず。開幕試合の神宮に行ったよ!
第1戦目の快勝に気をよくして一緒に行ったMちゃんと「3戦目の藤波投手のデビュー戦を見逃す手はない!」と日曜日に再び神宮に。1塁側でしたが、そこは仁義を切ってユニなしメガホンなし、どころか受付でいただいたスワローズの帽子を(マークも控えめでこれが結構可愛いので気に入りました)被って大人しく観戦するタイガースファン2人。

藤波君は初回の内野のエラーが痛かったでしょうか、けれどこれも乗り越えなきゃいけないこと。最初から課題が見つかってよかったじゃないの、と負けたけれどおねーさん達は暖かい目で見守りましたよ。
その甲斐あってか(いや、別に私らのおかげじゃない)2戦目で見事にプロ初勝利。すごいすごい。
3月のオープン戦の日ハムとの試合、正真正銘のプロ初登板も甲子園で観戦しましたが、18歳とは思えない落ち着きにその時から感心しきり。あああああ、すくすく育って球界を代表するようなピッチャーに絶対に育ってほしい、素質は間違いなくあるもん、夢はふくらみます。

で、大阪ドームの初戦も行っちゃった。松田聖子さんの始球式という特大のおまけつきで。

試合の方は「自分の覚えている福留孝介ならここで打つはず!」と思ってたら打ってくれました。
まだ本調子じゃないけど、自分の観ている時は何故か結構打ってくれる背番号8。ファインプレーも出たりして、だからか自分の彼に対するイメージは「ドラゴンズにいた頃の顔も見たくないいやらしい選手」のまま。願わくば観てない時もその調子でお願いします。

そしてもうひとりの新加入、西岡剛選手は時空を超えてやってきたかのような「らしさ」が最初から全開。見ていて大変頼もしい。相変わらずの単純ポカや初球打ちであっさりなところも、なんだかとっても懐かしい。
でもやるときはやるよ、このお人はそういう男や、このゲームも同点で迎えた最終回「さぁ、ここで決めて明日のスポ新の一面を全てニシオカで埋めてしまえ!」と思ったとたん見事にサヨナラ。もってます、お祭り好きです、西岡選手。

気の早いMちゃんは「ええのん取ったわ~」と叫んでましたが、いやいやいや、その言葉はまだ気が早いから(笑)。どうか怪我のないことを願います。

4戦目の参戦は東京ドーム。甲子園では負けませんでしたが、さすがにドームは分が悪いか、すでに2戦落とした最終日。
「ジャイアンツ、強すぎるよね~」と負けてもショックが少なくなるように心に予防線を張りつつ、澤村投手の直球とフォークにしてやられることまで覚悟してたら、初回に鳥谷選手と福留選手のタイムリーが飛び出して2点先取。ほら、なぜか自分が観てるとちゃんと打つ福留孝介(笑)。

当然、打点をあげた後の守備位置につく際、タイガースファンからは「フクドメ、フクドメ」のありがとうコールが起こりますわね。福留さん、ファンの方に向かって丁寧に帽子を取って文字通り深々と頭を下げました。実はその姿を毎試合(ね、私がいると・・・いや、もう分ったってば!)目撃しておりますが、これにはいつも驚きです。ええええ~彼、昔らそうだっけ?
よく考えると数えきれないくらいドラ時代にタイムリーを撃たれました。だけどその後のコールへの対応なんか見ちゃいない、ってか、正直ムカつくから見たくもなかったのが人情。だからタイガースに入団してきて初めて知りましたよ。
「ねぇねぇ、福留くんって昔からあんなに丁寧に頭下げてたっけ?」とMちゃんに訊いたら「きっとアメリカで苦労したのよ~」とワケの分らない答えが。はいはい、質問した私が間違ってました(笑)。

最近調子の悪い澤村投手からその後もマートン先生の2ランなどで畳み掛け、気がつけばあの巨人様から8点も!投げては榎田投手が8回途中まで安定のピッチング。すんばらしいいい。

まだ4月だというのに観戦して4戦3勝ですよ!なんという勝利の女神(自画自賛)。
昨年の球場初勝利が金本さんの引退が決まった後の9月後半だったことを思えば、信じられないこの幸先の良さ。うは。
気をよくしたので今シーズンはせっせと球場に足を運びたいと思います。球場の食べ物にうんざりしてお弁当を作りだすのも早いかもしれんね、こりゃ。

・・・そういえば、神宮で思い出した。
先日、南青山にある試写室で、ウォン・カーウァイ監督の『グランド・マスター』を観ました。
王家衛節が大炸裂してることも、実は葉問役のトニー・レオンだけじゃなくチャン・ツィイーに相当比重が置かれているということも薄々知ってました。当然ハードなアクションは期待しちゃいけないことは承知してます。どころかアクション好きが「動作指導のサモハン・キン・ポーの意味はどこにあるんじゃああ!」と叫んだという、あの「楽園の瑕」も好きな映画だったりする自分。昔から観ている監督だし耽美な映像を堪能するぞ!バッチコーイ!と、むしろえこ贔屓する気まんまんで観た、のですが、ちょっと自分の想像の遥かナナメ上をいかれてしまいました(笑)。

この先は未見の人は読まないほうがいいです。
じゃ、誰が読めばいいのか?んー、そうですねぇ、武術家しか出てこないこの映画において色んな意味で功夫に期待してる人は読んだ方がいいのか、な?

とりあえず自分の感じた要点を3つだけ。

・俳優にあんなに長い期間訓練させる意味はどこにあったのかなぁとぶっちゃけ。いくらなんでもちょっと不憫すぎる気が。
・アクション経験があまりない2人、フィリップ・ル・スールとクレジットにあった大陸の宋小飛というカメラマンは狙い・・・なんですよね?監督。
・事前にポスターやスチールを見ていてふと胸をよぎったことが的中してしまいました。

とはいっても中国香港でヒットしましたし(監督としても今までで一番の興収を記録)、すでに公開されているフランスでも「素晴らしい!」という意見は当然ながら多いようなので単なる個人的感想(しかもかなりの功夫バカだし)ということで気にすることでもないでしょう。かえってアクションに馴染みのない人の方が、うんと楽しかったりするのかな?試写はデジタルでしたがもしフィルム上映ならまた印象も違うかもしれません。
これからの皆さんはとにかく王家衛ワールドをたっぷり楽しんでくださいませ。

以下は、なんだかんだで功夫を期待してしまっている人への伝言。

心を真っ白にして観てくださいね。話が分りにくいのは仕様なのでいいとして、葉問=詠春拳もチャン・チェンがいつの間にか実際の八極拳の全国大会で優勝してたことや、ツィイー嬢のあの華のある動きに厳しい稽古をつけたら・・・という想像も忘れてください。間違ってもカン・リーが出るからと期待しちゃいけません。金ピカが目に痛いじゃないか雨粒も量がやたら多くてどこ見ていいかわからんとか、訓練に耐えた俳優でしょうにもう少し上手に工夫してアクションを見せてあげてちょうだいスローどころかなんで繰り返し同じシュチエーションとリズムとショットなんだよもったいないいいいいい袁和平!などと、よもや言わないように。すべては王家衛の名のもとに。

稽古中二度も骨折し、肺炎(でしたっけ)になったトニーさん、不憫。
でもって、ああチャン・チェン・・・・・あんなシビれるキャラ設定と造型だったから・・・・もっと観たかったです(涙)。

最後に。
そうこう言いつつ、もしこの後も功夫、武侠映画をカーウァイ監督が撮るおつもりがあるなら、あと続けて1,2作で、もんのすごい傑作を作るかもしれない、そんなこともちらりと思いました。アクション映画にあの色気を持ちこめる人はそうそういないもんね。まぁ、まずは監督にその気があれば、にかかっているんですけど(笑)。

 

 

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第1回ジャパンアクションアワード

昨夜新宿のフェイスで行われました。
栄えある第1回目の司会を仰せつかり、非常に光栄です。
錚々たる面子にちょっとばかしビビる自分。でも倉田保昭さんや大島由加里さんというレジェンドと個人的に少しお話することもできてテンションあがりまくりでした。

考えたらご一緒にお写真すら撮らなかった・・・何をやっていたのだ自分。

各賞の受賞作品や受賞者、ならびに最優秀賞などの情報はこちらから。
またこのアクションアワードの記事はこちら

印象に残ったコメントとしては、第一回ベストスタントマン賞の最優秀を受賞した富田稔さんの「俳優さん達を引き立たせるために、映画をもっと面白くするために僕らがいます」というスタントマンとしての矜持にあふれた言葉と、スーツアクターの第一人者である高岩成二さんがライダーだけでなく、ほかの戦隊物やご当地ヒーローで同じように頑張っているアクター達についても言及されたこと。

そしてなにより一緒に司会をしてくださったアクション部会の高瀬将嗣さんの「日頃、顔の見えない仕事をしているスタントマンやスタントコーディネーター、殺陣師という人達に光を当てたかった」というお話に胸が熱くなりました。

参加してみてよくわかったのですが、今回の開催はひとえに一部の方々の大変な尽力によって開催できたものだと思います。スタッフもアクション関係の若い人達のボランティアですし。

考えれば香港や台湾などの映画賞では当り前のように「動作設計賞」という部門があり、アメリカでも世界規模のスタントアワードがあります。そんななか、剣戟をはじめとする長いアクションの歴史を持つ我が日本に該当する賞がないことがずっと不思議で仕方ありませんでした。
それが今回やっと実現したのです。

受賞された俳優女優、スタントマンや、スタントコーディネーターの方々の名前をコールする瞬間、関係ない自分でもあんなに誇らしかったのですから、受賞者はもちろん、関係者の皆様や長年アクションの一線で働いてらした方々にとって、この実現はどれほどの喜びでしょう。
今回、優秀アクション男優賞のおひとりに選ばれた倉田保昭さんなんて、もし昔からこの賞があれば一体何度受賞していた事か。

このアクションアワードがこの先2年3年、10年20年と続くことを、そして回を重ねるごとにドンドン規模が大きくなってゆくことを、いちファンとして心から願います。お手伝いできて心から良かった。
受賞されたみなさん、おめでとうございました、そして裏方として走りまわったたくさんのスタントマンのみなさん、本当にお疲れさまでした!!!!

と、書きましたが肝心の事を書いてない。
いやいやいや、追記!正直どう考えても谷垣さんが超大変そうでしたよ!!!!
多分、今回かなり心身にきたのは彼だったのかもしれません。特大のお疲れ様!を、お送りいたします。

もうね、あなたには永遠に幸あれ!と願いますですよ。ハイ!

 

 

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低俗喜劇(2012年・香港)@大阪アジアン映画祭

実は香港のコメディ映画はそんなに得意じゃありません。と、言いつつ王晶とジェフ・ラウなんかを褒め倒しているので、どうか真に受けないでください(笑)。
な、はずの自分が『低俗喜劇』を見に行こうと思ったのは、ひとえに昨年香港で公開されて非常に評判がよろしかったから。数字として観客が支持した作品はやっぱそれなりのものがありますね(て、いまさら)。

冒頭から、クレジットで『この映画は悪い言葉を使っています』『政治的に偏っています』『色っぽい場面があります』『見ると不安になります』『不快になります』などと矢継ぎ早に注意書きが。挙句『嫌なら今すぐ劇場を出てください、10秒の猶予を与えます』(本当に10秒待ってた)ときたもんだ、これを見て一発で別のものを思い出したのですが、それはのちほど。

いやいやいや、おもしろかった~!爆笑につぐ爆笑。

なにしろ広東語は一切わからない、向こうの元ネタもほとんど知らない、で観たのにこんなにおもしろいなんてある意味この映画のクオリティの高さを表しているかと。

主役のチャップマン・トー(杜汶澤)が映画のプロデューサー役ということしか知りませんでしたが、始まりは絶対にこれ『アクターズ・スタジオ・インタビュー』だよね?ね?と思わせる大学での講義の一環としてのインタビューから。
そこで語られるプロデューサーとして1本の映画を作ることの体験談と苦労。

大陸のヤクザから資金を調達しようと奮闘するチャッピーとそのヤクザ役で登場するロナルド・チェン(鄭中基)がとにかく凄い。なにが凄いって、そのキャラは是非その目で確かめてもらいたいくらいスゴイ(笑)。そしてチンピラ役でラム・シュー(林雪)も登場。ついでに彼らの愛妻がまたぶっ飛んでますから!

なんといっても、この作品、いろいろ出てくるエピソードがいちいち秀逸すぎるわけですよ、例えば映画で食えなくなった監督が主婦向け麻雀店を無許可で開いてるとかね。そこに警察のガサ入れがあった時の対処の仕方とかもう。これって絶対に実際にあったエピソードなんだろうな、と思わせる塩梅がたまらない。

なかでもヒロインの爆炸糖ことDaDa(陳靜)ちゃんがイカしてるのなんの。

彼女、劇中ですっぴんを見せるシーンがあるのですが、その顔がまた妙に地味なのも最高でした。映画出演を願って業界人に色仕掛けで迫る女優志願の役どころで、彼女の必殺技が口に入れるとパチパチ弾ける爆炸糖というキャンディーを口に含んでのフェラチオという(笑)。

↓ちなみに爆裂糖は実際にある商品だそうで

公開後、このキャンディーがとにかく売れたとかなんとか(笑)。
ここまでの文章だと多分頭の弱い女の子にしか思えないかもしれないけど(すみません)、彼女のキャラがとってもよく本当はすごく気立てのいい子に描かれていて好感を持てるようになっている。まるでアニメに出てくるファンタジー少女の域でしたよ。

低予算で純粋な香港映画として作られたこの作品、チャッピーの元妻役は実際の奥さんであるクリスタル・ティン(田蕊妮)。そして二人の娘役は本当のお嬢さんなんだそうで。
そういえば、むこうで大活躍の日本人俳優、葉山豪さんもご本人役で登場。多分『3D 肉蒲団』を観ていれば笑えるセリフがあったようにお見受けしました。残念!まだ観てない。そうそう、『燃えよ!じじぃドラゴン 龍虎激突』で見事香港金像奬を獲得したスーザン・ショウ(邵音音)さんもご本人役で出演。なぜ本人が出てくるかの流れがまた笑えるんだ。

さて、上述したこの映画の冒頭ですぐに思い出したという別のものですが、それはズバリ『モンティ・パイソン』です。香港の商業映画としてショウブラなんかが真面目に作った武侠映画が『モンティ・パイソン』を彷彿とさせるということについては以前に書きましたが、その「低俗」さといい、「セクハラをめぐる言葉遊び」といい「性」に関する描写といい、今作では堂々コメディとして非常に同じテイストを感じました。パン・ホーチョン(彭浩翔)監督の才能に改めてびっくりです。

パン・ホーチョンといえば、彼の快作『AV』 が4月に日本でDVD化されるとか。わははは、観たい~。ところで『恋の紫煙』って日本でソフト化されてないんでしたっけ。これを機にされないでしょうか。残念ながら観ることはできませんでしたが『恋の紫煙2』は今回のアジアン映画祭で観客賞を受賞したようですよ。そしてできたらこの『低俗喜劇』もドサクサに紛れて是非ソフト化を!

《低俗喜劇》Vulgaria 預告片(粗口版)

 

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