・・・と、言ってるそばから特殊身分(特殊身份)

特殊身份のオフィシャル微博から。この写真おもしろすぎ(笑)

み~んな乗ってる!さすが中国。
これ日本の公道なら過積載で道路交通法違反、10割以上で6点、6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金っすね(笑)

バクサカ関連テキスト
特殊身分 予告篇 ― ドニー・イェン 甄子丹
2013年10月18日『特殊身分』公開決定-ドニー・イェン 甄子丹
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特殊身分(特殊身份:SPECIAL ID 2013年・中国)@香港 -€ドニー・イェン 甄子丹
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第5回京都ヒストリカ国際映画祭 2013

11月30日(土)から12月8日(日)まで開催されます京都ヒストリカ国際映画祭。実は不肖イーボシそのお手伝いすることになり、先日その記者発表が行われました。

この映画祭、京都という場所にふさわしく『歴史映画』をテーマに開催される世界でも唯一の映画祭。
歴史映画、と聞くとなんとなく『戦争と平和』とか『ルートヴィヒ神々の黄昏』『王妃マルゴ』とか『孔子の教え』などを連想してしまいがちですが、いやいや、もっと広く、要するに「現代でなく」「SFでない」映画と捉えていただいた方がいいのかもしれません。

実際、今回のラインナップは非常にエンターティメント色が強くなっています。
オープニングとクロージングを飾るのは、年末に公開される作品を先駆けて上映する『利休にたずねよ』『武士の献立』毛色は違いますが、それぞれ話題の時代劇。

一方、世界の新作映画をお届けするヒストリカ・ワールドでは、いずれも個性的な映画が揃いました。ざっとどんな感じかを言葉で表現すると、

「お前らヨーロッパ人はなんでそんなにドラキュラが好きなんや~しかもエログロですねさすがですとダリオ・アルジェントの軸のブレなさに脱帽してたら、少女が子供をつれてノルウェーの荒野を決死の逃亡まさに19歳が中世でグロリアしちゃってるし、あのマーク・トウェインのハックルベリー・フィンの冒険をドイツ人が描いたらまた少し個性が違っておもしろいと感心、するとアメリカさんはお得意の西部劇で細腕繁盛記(ふるっ)なねーさんが銃をぶっ放してリベーンジ!外道だよ外道すぎるよジェイソン・アイザックス、彼と内田裕也ちっくなビジュアルですんごくイカしたキャラのエド・ハリスの二大オヤジにときめきつつ韓国じゃ高身長イケメンとキング・オブ・コメディが仲間を集めて1700年代の朝鮮王朝でオーシャンズ11じゃないか、負けらんねぇと清朝中国ではあの「空飛ぶギロチン」が宙を舞い暗殺部隊“血滴子”が結成っすよ!そしたらタイ人ったら大好きなホラーとコメディを一緒にしちゃってバカバカしさの一本勝負、リアクションよすぎだよタイ人!と存分に笑ったところへウォン・カーウァイの『グランド・マスター』でちょっと駆け足気味だった中国武術の真髄を徐浩峰(シュ・ハオフォン)監督の2作品補填完了!!!!」

という感じ。おわかりいただけたでしょうか?

また、この映画祭の特徴の一つに復元した名作を上映する『ヒストリカ・クラッシックス』部門があります。
今年は、あのエルンスト・ルビッチ監督の『ファラオの恋』が登場。しかも2010/11年版(DCP)と2005年版(35mm)、両方あわせて日本初上映。

ほかにもアルフレッド・ヒッチコック監督のサイレント時代の作品の3本や日本からは小津安二郎監督『彼岸花』が修復版で登場します。

どうですか?なかなか素晴らしいラインナップじゃあ、あーりませんか。
詳しい作品の情報やタイトルはコチラ
ちょうどこの頃は、京都も紅葉の美しい季節。映画楽しみつつ紅葉もね、この機会にぜひ、足を運んでみてください。

また私くしめも、11月30日の開会式とオープニングの『利休にたずねよ』のヒストリカ・トーク、そして同日の『フライング・ギロチン』上映後にミルクマン斎藤さんとともに徐浩峰(シュ・ハオフォン)監督をお招きして「武侠映画の現在」というタイトルでトーク、さらに『ジャッジ・アーチャー』上映後に徐浩峰監督のティーチインで舞台に立つことに相なりました。おお、どんな話になるのやら。
今からすごく楽しみです。

スケジュールや、その他詳しい情報はここをご覧ください。
第5回京都ヒストリカ国際映画祭 公式サイト

頑張って開催までに、自分も上映作品のレビューなどをアップできたらと思っております。さて、何本ご紹介できるか・・・頑張ります!

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特殊身分(特殊身份):SPECIAL ID 2013年・中国)@香港 – ドニー・イェン 甄子丹

サワディカー、コップンカー、ベェェェェェリィィィィィグゥッ!!

『特殊身分』を観に香港に行ってきました。それしか目的はないから思う存分観て来た。全部で7回。途中HMVにショウブラ映画のソフトを買いに行ったりラウ・チンワンとルイス・クーの『脱出生天』3Dも観ましたけど。

自分が通ったのは九龍にある高級ショッピングモール内のシネコン。

ここは客席の少ない部屋でもスクリーンの大きさが違う。客席関係なくスクリーンだけはデカイ。
さすがにウィークディの午後は10人とか5人とか、かなり日本で慣れた人数でしたが、夜19時や21時の回になると大きめの部屋で7割から8割の入り。カップル、女子数人のグループだとか日本の映画館ではあまり見かけなくなった男4,5人連れという人々が集い、年齢層も様々でかなり賑やか。
しかもこの映画館ではShow Active Soundというシステムを導入しており、このアクチュエータシステムがヤバいのなんの。音響もすごかったのですが、なんといっても低音とともに座席がシンクロして震動する仕組みに、何も知らずに観た自分は心からたまげました。
だって、ドニーさんの蹴りとともに自分の身体にその衝撃が伝わるんすよ!張涵予(チャン・ハンユー)の銃声にも、カークラッシュの瞬間にも、そしてドニーさんの一撃必殺パンチでも!!!!!
こんな天国がこの世にあったのか。人がいてもいなくても楽しいと笑い、びっくりすれば声を上げる、観客のノリの良さとともに香港で観る映画はすばらしい!

さて、そんな環境で観た『特殊身分』。事前に予告やらメイキングやらアクションシーンやらを動画サイトで観てはいましたが、この特殊身分はそれから想像するものをはるかに超えた映画でございました。
なにしろ客席は爆笑の連続。
ええと、ストーリーはあちこちから聞こえてくる通り「潜入捜査官としての“特殊身分”を背負った男が死ぬか生きるかの一線上で繰り広げる黒社会との壮絶アクション」ということで正しいのですが、そのドラマ部分が何故かとってもコミカルなんですわ。

何にみんな笑っていたかと言うと、デフォルメされたそれぞれのキャラの台詞に対して。
特に鄭中基(ロナルド・チェン)の日和見的な上司のぼそっと喋る言葉とか、大陸の公安警察の景甜(ジン・ティエン)と香港古惑仔ドニーさんとのやり取りに皆受けてました。中には手を叩いて喜ぶ人まで。
あ、あと甄家班の厳華(イム・ワー)さんの役とそれを見て呟くドニーさんの台詞がめっちゃ笑いを誘ってましたよ。たしかに「あんた病気か?」と言いたくなるわ、アレ(笑)。
裏話によるとあの厳華さんのキャラはドニーさんがその場で決めたと聞きました、「もうオマエいいから大声キャラでやれ!」と命令一発。ええ、狙った通りです。

香港映画ファン的には潜入捜査官と聞くと即座に思い浮かぶイメージからは相当離れてます。あの名作『インファナル・アフェア』を全編覆っていた息苦しいまでの張りつめた緊迫感はほとんど登場しない。
こちらの主人公陳子龍はヘマをやらかしたチンピラの尻拭いに心底命を懸ける大哥です。当然何年も黒社会の人間として生きているのだから江湖ルールも熟知していれば情も湧く、“特殊身分”だからと悲壮感たっぷりに自らを追い込んでいては到底続かないし、むしろちょっとちゃらんぽらんでアホなくらいの男の方が・・・潜入捜査官へのそんな別角度の視点が新鮮でした。

で、もうひとつ新鮮だったのがヒロインである大陸公安警察官の景甜との関係。優等生の女と不良の男、映画における永遠のカップリングは不滅ですね。ドニーさんのことですから恋愛感情などはまったくありませんが、ふたりのデコボコバディぶりが可愛かったです。そこに互いの上司が「文化の違いですかなぁ」と合いの手を入れたりするものだから観客は大笑いになるというわけ。
しかも彼女はただの花瓶(中国語で飾り物の女性キャラ)じゃあありません。間違いなくこの映画の主人公のひとり。ドニーさんの映画でこれほどまでに女性が活躍した映画はかなり久しぶりのことではないでしょうか。

残念ながら鄒兆龍(コリン・チョウ)は本当に友情出演だったようでアクションなし。ラスボスは安志杰(アンディ・オン)。
このアンディがね、もう恐ろしいくらいにセクシーでしたよ。今までの出演キャラで好きなのは『酔拳レジェンド・オブ・カンフー』のコレ↓でしたが、こいつは双璧にかっこいい。

アメリカ帰りの新興ヤクザはまさにアンディのためにカスタマイズされた役。と、いうか今まで出演してきた映画で一番のアクションでした、あの強烈な印象を残した『香港国際警察/NEW POLICE STORY』をやっと超えましたよ、彼はこれで一皮むけた瞬間を迎えたと断言します。ブラボー。
今まで幾度となく感じて来た「せっかくのアンディ・オンがもったいない」と思うところが何一つなく、むしろリミッターを外し本来の可能性をあますとこなく十二分に引き出したコレオグラフ。さすがですよアクション監督ドニー・イェン。
誰が何と言おうがあなたの大きな才能のひとつは、戦う相手のポテンシャルをアクションシーンで最大限導き出すという(かなりスパルタらしいけど)動作導演としての技量ですよ。
アンディにはこれでブレイクしてもらって是非ともアクション映画でピンを張る位になって欲しいです。身体能力、イケメン度、演技、とスターになれる逸材。絶対に応援するよ!

一方、ドニーさんはアカデミー撮影賞獲得の名カメラマン鮑德熹(ピーター・パウ)に撮ってもらった効果かどうか、この世のものとは思えないほど綺麗だった(笑)。
この映画、ドラマパートでは異常なくらいクローズアップを多用していて全員美しいんですけれど、タトゥーまみれの髭面(しかも髭は白髪交じり)の50のオッサンのくせになんかひとりだけ別次元の美しさ。もちろんこの人には昔から美しいショットは一杯ありますよ、でも全編こんなに美しく撮れてるのはちょっと記憶にない。

正直、ストーリーの方は相当単純です。ひねりもへったくれも(略。一切言葉が分らなくても展開が分っちゃうほど簡単。お前それバレバレじゃ?と突っ込むのも早々に放棄したほうが吉。ところどころ司徒錦源(セット・カムイェン)だなぁと感じる見応えのあるシークエンスはあるものの、検閲で相当カットされたか、もとから破綻していたのか。その原因がどこにあるのか自分には知る由もありませんが、当初撮った分量から、映画的にはかなりはしょった様な飛び飛びの印象を強く持ちました。

ぶっちゃけると『特殊身分』とは素晴らしいカメラで撮った最高最大級のドニー・イェンPVなのかもしれません。しかしこれはアンディ・オンと景甜のPVとしても充分に機能しているところがよろしい。

アクションは文句なしに最高です。
ご本人のアクションもさることながら、特に感心したのが景甜へのコレオグラフ。
箸より重いものを持ったこともなさそうな彼女をパッと見て世界中の誰があんなアクションを考えつきますか?唯一世界でドニー・イェンと甄家班だけでしょう。

走り方を見ても分る通り、このお嬢さんはツインズの2人に比べても体幹が弱く、立った引きの絵でアクションを見せることが非常に難しいタイプ。
そこをスローモーションやアップで誤魔化すのではなくダブルとやられ役のスタントマンを上手に使いアクションとして丁寧に成立させ、まずは最初のアクションシーンで彼女のキャラクターの身体能力を観客に印象づける。
そして最終的にはその女優の弱点を逆手に取った車中という狭い空間での動作をデザイン。ここではダンス経験があると言う彼女の柔軟性を活かした足使いや腕十字が見事です。そしてカーアクションの最中ということもあって細かいカット割りも不自然さを免れ効果的。
この手法にはお見事!と大絶賛を送るしかないでしょう。谷垣さんさすが。結果、羅禮賢(ブルース・ロウ)のカースタントもあわせて、この一連のシークエンスはかなり興奮度の高いシーンです。

全体的にアクションはひとつとして同じものはなく、マージャン店での盧惠光(ロー・ワイコン)との闘いはどことなくユーモラス。自分のような年齢の人だと思わず「アリ対猪木もこれくらい派手にやってくれてたなら・・・」と呟いてしまうこと必至。タイ人役の彼をドニーさんが「サワディカー」「コップンカー」と言いながら殴るシーンでは客席から結構な笑いが起こってました。香港人、ノリがいいよ!

キッチンでの数十人対1人では、限定された空間と複雑な間取りを活かした動きとカメラワーク。小道具の使い方もかっこいい。ここではその空間を利用してわざと全てを見せない引き算のカットが特徴的。これはかなりなセンスがないと撮れないだろうな、と。ああああドニーさん、ほんっっとーに、あなた成熟の域に入ってますよ!
しかもそれを別人じゃなくご本人で観ることが出来るというこの喜び。あともう何年か分りませんが、御身体をいたわって少しでも長く私たちにその動きを見せてください、と初見で思わず手を合わせちゃいました。

そして最後は引き算とは真反対の全てを見せるアンディ・オンとの喧嘩上等!のコレオグラフ。
今まで真剣勝負の場で、足を掴まれ片足でたたらを踏んでなお届かないパンチを必死で繰り出すアクションスターの姿を見たことがあるでしょうか。自分はありません。(いや待て、成龍ならあるか)
『導火線』では見事な技のオンパレードに思わずレビューで実況してしまった自分ですが、『特殊身分』では観ているこちらに一切そうする隙すら与えてくれません。おそらく6分ほどはあるアクションシーンでしょうが、まったくその長さを感じさせないくらい。そして最後のローリングソバットが決まった瞬間、アンディの財布が宙を舞う。これ、これ!この演出の細かさがドニー・イェンでありますよ!
霍耀良(クラレンス・フォク)監督によると、このシーンだけで2カ月かけたそうです。
アクションに懸けるドニー・イェンの信じられないような執念が私たちをいつも興奮させ、感動させてくれる。

今回、その執念をまたまざまざと見せつけられて改めて思います。
『SPL 狼よ静かに死ね』と『導火線』この2本で世界のアクション映画を変えてしまった男が、この『特殊身分』でまた一歩、世界をリードした、と。
それを観ることができて本当に心の底から嬉しい限りでございます。

日本でも買いたい会社は数社あるそうですが、むこうの言い値がおっそろしく高額で(いや、マジで)日本ではその値ではどうしたって絶対に買えないのが現状。
香港で結構ヒットしているそうだし大陸でも現代アクションとしては成績がいいよう。早いとこ制作費をペイして、そのうえウハウハ状態までいってくれますように。そしたら販売元も余裕を持って値段を安くしてくれるかもしれません。
みんな待ってる『特殊身分』の一日も早い日本公開を願います。私も日本語字幕で観たいよ、だって観客大爆笑の台詞、全員早口すぎて何度観ても私程度では到底全部字幕を読み切れなかったんだもん。とほほ。

Donnie Yen SPECIAL ID aka SPECIAL IDENTITY Official first Trailer 2013

まだいっぱい書きたいネタはあるけど、とりあえず第一弾。てか第二弾はあるのか?自分

↓あった(笑)
特殊身分 予告篇 ― ドニー・イェン 甄子丹
2013年10月18日『特殊身分』公開決定-ドニー・イェン 甄子丹
続々予告登場『特殊身分』 -ドニー・イェン 甄子丹
・・・と、言ってるそばから特殊身分(特殊身份)
特殊身分・西遊記之大鬧天宮-ドニー・イェン 甄子丹
特殊身分(特殊身份)香港版が届いた。ネタバレ- ドニー・イェン 甄子丹
スペシャルID 特殊身分 日本公開決定 試写に行きました - ドニー・イェン 甄子丹
スペシャルID 特殊身分 初日舞台挨拶@新宿武蔵野館

 

 

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北京ロマン in シアトル(原題・北京遇上西雅圖 2013年・中国)@2013東京/沖縄・中国映画週間

湯唯(タン・ウェイ)によるタン・ウェイのためのタン・ウェイ映画。

2013年のヒット映画。
今回、2013東京/沖縄・中国映画週間の中から何本か観ましたが、観た中で一番好きだった作品。なんとなくバブルの頃の日本のドラマを思い出すのは、雲行きが怪しいとはいえ、中国にまだまだバブルの匂いが充満しているせいでしょうか。

意地でもストパとかかけない天パロングのタン・ウェイ、敗金女(マテリアルガール)なタン・ウェイ、「お金なら払うから」と言い切るタン・ウェイ、超ドストレートなブランドファッションに身を固めながらも妊婦なタン・ウェイ、妊婦なのにクラブで酔っぱらうタン・ウェイ、同じ妊婦仲間を口汚く罵るタン・ウェイ、笑顔なタン・ウェイ、お化粧を落としたタン・ウェイ、寂しげなタン・ウェイ、どのタン・ウェイも最高。
あああ、大好き。

一方、冴えないおっさんの呉秀波(ウー・ショウポー)は白髪の混じった髭が良く似合う、”おやじ好き”の心をざわつかせる役どころ。
あまりにこのフランクが「いい人」すぎるので「絶対にこの映画は女流監督が撮ったに違いない」と思ったら、「海洋天堂」を監督した薛暁路(シュエ・シャオリュー)でした。だよなぁ。
彼女的には非常に商業用に振り切った作品なんでしょうね。タン・ウェイを素晴らしく魅力的に撮ってくれたから文句なし。

冒頭英語も喋れないヒロインがアメリカ、シアトル・タコマ国際空港のイミグレーションで「なぜシアトルに?」と訊かれて「ムービー、ムービーあれが好きなの!」。言いたかったのはエロン・フリン監督、トム・ハンクス、メグ・ライアン共演『めぐり逢えたら』のこと。
この『めぐり逢えたら』がケーリー・グラントとデボラ・カーの『めぐり逢い』にインスパイアされているのは有名ですが、こちらはその影響を受けた『めぐり逢えたら』に大いなるリスペクトを捧げております。

劇中、タン・ウェイが冴えないおっさんの娘ジュリーとこの映画を見るシーンがありますが、少女が「ロマンティックね」と言うと「これはね、プロデューサーが思い描いた幻想なのよ」と答える。ははは、主人公にそう言わせておきながら・・・というところがとっても女性らしい。男でその辺りを上手に描くのは多分フリン監督の師匠ロブ・ライナーくらい。
途中、それぞれが警察で互いの事を説明するのは、やはりラブコメの経典になってるピーター・ウィアーの『グリーン・カード』を思い出したりして。

途中彼女が「北京にいたんじゃ、(不倫の子だと)産婦人科にもかかれないし、証明書も出ないから戸籍ももらえないのよ!」と言う台詞がありました。中国はそういう法制度らしいです。それを聞いて中国にはどれくらいの戸籍のない人々がいるんだろう?と思ってしまいました。だからこそ、生んだ土地で国籍の取れる国での違法斡旋事業が成り立つのね(いや、むしろワケありと金ありに多いというべきかもしれません)。

とはいえ全編とってもファンタジーなライトラブコメディ、よくできてたと思います。台詞や(かなり笑えた)人物設定もいいし、きらびやかなファッションも豪華で楽しかった。なによりヒロインの心理描写が乱暴でなかったところに好感を持ちました。
音楽はピーター・カム、劇中The Supremesがオリジナルの 『Someday We’ll Be Together』とかサッチモの『What a Wonderful World』やSarah McLachlanの『Angel』が使われているとこなんかまぁ「中国でなぜそれ?」という向きもあるかもしれませんが、本音はタン・ウェイを楽しむための映画だから自分はOKです。こんな彼女を観られて嬉しい、それに尽きます。

そして最後にエリン・フリンの最高傑作は『恋人たちの予感』!
と意味もなく叫んで終わりたいと思います。

北京遇上西雅圖 (香港版預告) Finding Mr. Right (HK Trailer)
すんごくどうでもいいことでしょうが、この映画のプロモの一環でドニーさんがタン・ウェイへのエールを送ってる動画をこっそり貼ってみます
DONNIE YEN : Message to Tang Wei

 

 

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パシフィック・リム(2013・米)4D@中川コロナ

初めての4Dにこれほどふさわしい映画はほかにない。

パシフィック・リムの写真を検索したら、どれがオリジナルでどれがファンメイドかよくわからない有り様。みんな大好きなんだな~。
自分も公開時に六本木で観ましたよ、字幕版。パンフも買ったしすんごい楽しかったけど、これに関してはとっても素敵なレビューを書いてる人は一杯いるし、ぼんやり過ごしているうちにすっかり書く機会を失っておりました。

が先日、名古屋の中川コロナワールドというところで4Dのリバイバル上映があるというので大阪での仕事の帰りに途中下車して見てきましたよ。

名古屋駅から地下鉄東山線で15分くらいの高畑(たかばた)駅へ。そっからタクシーで1700円~2000円弱ほど(混み具合にもよるから)。結構最寄駅から遠いです。でもコロナ行きのバスは1時間に1本らしいので、流石にその時間合わせまでする余裕はなかった。
帰りは出口左のすぐのところがタクシー乗り場。案の定タクシーはいませんでしたが、看板に地元タクシーの電話番号が書いてあったのでそこに電話して来てもらうことに。
道中、運転手さんと話していたら「一番遠くから来たお客さんは鹿児島の人だった」とか。わざわざ1本の映画のために遠方から来るという感覚が彼には不思議だったようです。

自分4Dは初めてっす。噂には聞いておりましたが、うは!すげぇ。
しっかし、4Dで観ると、この映画が冒頭から素晴らしく飛ばしていることにあらためて感激いたします。出し惜しみしない映画って最高ですね。

今回吹き替え版で観て、初見では肝心なことを分ってなかったんだなと驚きました。
正直言うと、ロボットvs怪獣対戦の多くが海、夜、雨というシチュが多かったせいかディティールをよく観てなかったようです。(動体視力がついて行かなかったという噂も)とほほ。ラストファイトでジプシーは片腕になっとったんですね!(なにをいまさら)いや~ん粋じゃん

にしてもロボット美しいなぁ。そのロボットの動きとともに自分も同じ動きをしているかのような実感がすばらしい。特に冒頭、コックピットがぐいーんと降りてゆくところは、ちょっとしたジェットコースター感覚もあって「よしいくぜえええええええ」というアドレナリンが一気に放出。

いや、無理してでも行った甲斐があった!そして初4Dがこの映画でよかった!

そのうち4D上映で「ノーマル」「コア」とかいう分類でもしないかなぁ。
ノーマルはある程度、万人向けの動きなんだけど、コアだともっと激しく動くの。
あの手ので今まで最悪だったのはDLのバック・トウ・ザ・フィーチャー。あれは正直酔っぱらっちゃって、自分最後の方は脂汗流して「早く終われ」と思ったものです。
あそこまで始終ガンガン動かれるとさすがの自分も無理ですが、長丁場の映画ですからね、徐々に激しくなっていく、とかそんなのがあったら絶対リピートする。

ただ一つ難点が。劇場でもらったメガネが大きすぎて全然顔にあわず、動くたびにずれるから結構大変でした。あれはもっと工夫するか、後ろに紐でもつけるか、なんか改善が必要かと。

それにしてもアメリカの映画はサウンドトラックをちゃんと販売してくれるから助かる。

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イップ・マン 最終章(2013年・香港)

黄秋生の葉問に酔いしれない人がいるのでしょうか

あの黄秋生(アンソニー・ウォン)がイップ師父を演じるというのを聞いた時からすごく楽しみにしていました。結論から言うとね、すごくよかった!

感想に行く前に、まず確認事項から。
世間ではどうやら『グランド・マスター』を除いた(これはイップ・マン映画というカテゴライズはそもそもしにくいですね)イップ・マン映画4作を一連のシリーズと思っている人が意外と多いようなのですが、それ違いますから。

2008年 イップ・マン序章(第28回香港電影金像奨 最優秀映画奨受賞作品)
監製:黄百鳴(レイモンド・ウォン)監督:ウィルソン・イップ 主演:ドニー・イェン

2010年4月 イップ・マン葉問
監製:レイモンド・ウォン他 監督:ウィルソン・イップ 主演:ドニー・イェン

2010年6月 イップ・マン誕生
監製:洗國林(クォック・ラム・シン)他 監督:邱禮濤(ハーマン・ヤウ€)主演:杜宇航(デニス・トー)

2013年 イップ・マン最終章
監製: 洗國林他 監督:ハーマン・ヤウ 主演:アンソニー・ウォン

と、並べてみれば分る通り、序章葉問と誕生最終章は同じイップ・マンが主人公でありますが、プロデューサー、制作会社がそもそも違う、別映画です。

香港映画に慣れていれば、キャストがかぶっていてしかも違う役、とか、メガヒットした作品が出た途端日を置かず次々に同じ題材で何本もの便乗映画がいろんな会社で作られることに驚いたりしないでしょうが、日本の感覚では理解しにくいのかもしれません。(また日本の配給会社が4本とも同じためシリーズとしてわざと誤解されるような宣伝をしたのも背景にはありますね)

しかし、後発にあたる洗國林版イップ・マンが香港によくある便乗映画と言ってしまうと、それはちょっと違います。
というのも、誕生と最終章のプロデューサーである洗國林という人物が、リアル葉問師傅の御子息葉準(イップ・チュン)さんの弟弟子で現在、詠春聯会副会長(会長・葉準氏)という「本物」であるからなのです。今年亡くなった劉家良(ラウ・カーリョン)師傅の葬儀でも、流派を超えた獅子舞とともに稽古着で表演をもって送り出す中のひとりとして姿がありました。
そもそも、この方、子供の頃から武術(詠春、洪家拳、太極)を習っていた武術家とはいえ最初から映画畑で生きてきた人と違い、本来は若くして金融界の花形として名を馳せ財をなしたお人(現・香港第一信用財務有限公司CEO)。そんな彼が2008年のレイモンド・ウォン版ドニー・イェンの『イップ・マン序章』に出資しまた詠春聯会として協力したことが、直接映画へ関わる第一歩となりました。

「わたしたち弟子が思う葉問師父と詠春拳」
その思いは香港で詠春拳を学ぶ門徒、まして直系の弟子であれば尚更強いものでしょう。
序章に関わったことで彼が何を感じたかは分りませんが、「ならば自分らで作っちゃえばいいんじゃん!」とばかりに映画制作会社を買い上げ芸能事務所も作り(デニス・トーはここの所属)誕生、最終章、という作品を(他には『秋瑾 ~競雄女侠~』もある)世に送り出しました。当然、誕生の梁小熊(トニー・リャン)最終章の李忠志(ニッキー・リー)とともにプロデューサー自ら動作指導に名前を連ねています。

そんなお人が作った晩年の葉問師父を描いた映画です。これを期待せずにおられましょうか。

主演はアンソニー・ウォン。
よくぞ彼をイップ・マンに抜擢しました。またそれにきちんと応えた秋生さんも心底素晴らしい。当然秋生さんは武打星じゃありません。だからアクションは正直それほど期待していませんでしたが、いやいやいや、すごい、すごいよ。びっくりした。

劇中、新聞記事に書かれた大袈裟な記事として誇張された葉問の闘いが再現されています。その記事では葉問は一撃で数人の男を吹き飛ばし、何人もの頭の上をふわりと飛び越えたりする。まるで武侠映画の主人公のように。
このシークエンスは、武術家でありまたこの映画のプロデユーサー武術指導でもある洗國林の既存の功夫映画に対する強烈な皮肉が込められていたのかもしれません。

それと対極をなすかのように冒頭、香港に出て来て尋ねた先の男(サモハンの息子、洪天明/ティミー・ハン)にせがまれて葉問が新聞紙一枚の上で手合わせをする場面があります。
二つ折りにした新聞紙の上に立ち相手をかわし同時に攻撃する葉問師父の、これこそが詠春拳の真髄であると言わんばかりの動き。それにまず痺れましたし、また、そのシーンを堂々やってのけた秋生さんには心からの賞賛を送りたいと思います。
そしてそれ以上に、人としての葉問の生活感や弱さなども表現しつつ、枯れていながらも男としての色気もうっすら滲ませる彼のキャラクターには感心しましたよ。あらためて素晴らしい役者です。

脇を固める俳優陣もよかったですね、元スタントマン(たしかラウ・カーリョンの劉家班だったような記憶)でスタントマン協会の会長も務めたことのある曾志偉(エリック・ツァン)。彼のアクションを自分は初めて観ましたが見応えがありました。そして安定のくまきんこと熊欣欣(ホン・ヤンヤン)や盧惠光(ロー・ワイコン)、鍾欣桐(ジリアン・チョウ)袁詠儀(アニタ・ユン)もよかったし、なによりパン・ホーチョンの『ドリーム・ホーム』のあのヌード担当だった周楚楚(チョウ・チュウチュウ)が想像以上に素敵でした(病気時のメイクはどうかと思ったけど)。チャイナドレスとケバい化粧が似合う、さすがスタイルいいわぁ~。

でも一番気に入ったのは小春だ小春。当時の香港の苦悩と現実を一気に背負ったみたいな役を演じた廖啓智(リウ・カイチー)と陳小春(ジョーダン・チャン)。なかでも警察官を演じた小春の常に困ったような顔は強烈な印象を残しました。そういえば、誕生に続き今回も葉準師傅がちらりと登場してます、どの場面かはお楽しみに。んで当然のように馮克安(フォン・ハックオン)もいたよ!

なんだか全くうまくまとめられませんでしたが、内容に関してはグダグダ私が書くよりは、まずは観て頂ければ、と思います。佇まいもさることながらイップ師父の台詞ひとつひとつが、たまらんほどいいのです。
とにかく、その時代、もう二度と戻ってはこない香港や武術に対するノスタルジックさ、そして登場人物に対する愛情にあふれたとてもいい映画でした。大好きです。

さて、今後もイップ・マンを主人公にした作品は作られていくことでしょう。
TVでは鄭嘉穎(ケヴィン・チャン)主演でドラマ化もされました
来年2014年にはシンガポールで舞台、ミュージカル『イップ・マン』が上演されるそうです。準備段階では音楽を川井憲次さんが担当するという噂もありましたが、昨年川井さんにメールでうかがったところ「僕にもよくわからなくて(笑)」とおっしゃっていたので、その件は多分制作側がフカしたみたいです。

そして、現在頓挫しているレイモンド・ウォン制作、ウィルソン・イップ監督ドニー・イェンの『葉問3』もいつになるかは分りませんが、将来絶対に撮るはずだし、時間が経って映画界がネタ切れになった頃合いにまた別の会社、俳優、監督、ストーリーで葉問作品は作られることでしょう。

映画において黄飛鴻(ウォン・フェイホン)と近いクラスのアイコンになってしまった以上、その流れを止めることは誰にもできません。
だからこそ、洗國林は地に足のついた葉問のものがたりを、李小龍との関係もふくめ早いうちに作っておきたかったのでしょう。その意図は充分すぎるほどに伝わりました。
どの葉問が決定版かは我々観客が勝手に思うこと、でも一つ言えることは、葉問はこうでなくてはいけない、と頑なに決め付けるのはすごーく損する事に繋がりかねないし、と同時に今までのも、そしてこれからのも、どれひとつ史実に完全に忠実な葉問を描く映画は決してない、ということは言えるのかもしれません。アイコンになったということは、そういうことでもあります。

最後になりましたが、最終章の日本語字幕でひとつだけ残念だったことが。
弟子が師父について書かれた新聞を読みながら「師父、“葉門”って書かれてる!」と植木に水をやる葉問の背中に言う台詞。それを聞いた師父が思わず手を止めてむっとする。
字幕では、カタカナ表記だったので「イップ・ムォン」になってる、となっておりました。これはかなり残念。日本でも葉問を葉門と書いてしまう人が多いところ、実は香港でもそうだったんだと予告で自分は笑った場面だったので。

↓その予告
《葉問-終極一戰》國藝影視 英皇電影HKIFF 開幕電影 1 分鐘預告片
「イップ・マン 最終章」 予告篇(日本語字幕)

ドニー・イェン版のレビュー
イップ・マン 序章
イップ・マン 葉問
『イップ・マン 序章』『イップ・マン 葉問』100円上映会!その1
イップ・マン小ネタとイップ・マン3、MOVIX三郷『イップ・マン 序章』『イップ・マン 葉問』100円上映会!その2

 

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ラスト・シャンハイ(2012年・香港中国)

かなり絞って来たユンファ、白いスーツ着たユンファ、白い長袍着たユンファ、そしてその衣装で銃をぶっ放すユンファ、それに何の文句がございましょう。後光が差しておりましたよ。私たちの發仔が帰ってきはりましたえ。

そこにサモハンと呉鎮宇(ン・ジャンユー)や黄暁明(ホァン・シャオミン)がいるんだよ、シャオミンの長袍(彼は鼠色)も超イカス。彼は本当に男前だねぇ。
なにしろ舞台が魔都と呼ばれていた時代の上海ですよ、大好物。
以下は結構えこ贔屓モードです、念のため。

監督の王晶(ウォン・ジン)は「いや、これは30年代のマフィアの色んな人物の総合体みたいなもんだよ」って言ってたけど、いやいや、これって役名こそ違えど一世を風靡したTVドラマ『上海灘』のリメイクみたいなもんですよね?
で、ユンファは80年代にそのドラマでスターになった人で、シャオミンくんは、2007年に同じ役を演じた人。

その2人が、今度は主役を青年期、中年期とそれぞれ演じております。誰もが思い付きそうな、でも、かえって恥ずかしくて言いだせないようなアイディア。最初の企画は誰なんだろう、ウォン・ジンか制作の劉偉強(アンドリュー・ラウ)か、どっちにせよ、よくやった。

衣装やセットや調度品もそこそこ凝ってます。オープンセットはもちろん『孫文の義士団』が建て『レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳』なんかでも使ってたあそこね。カメラはプロデューサー自らが回しておりました(笑)。動作指導はそのアンドリュー・ラウのご指名が多い李達超(リー・タッチウ)。

当然ストーリー展開はかなりベタです、しかも監督はウォン・ジン。今作はあえてストレートに描かれていて特徴であるバカバカしさは陰をひそめておりますが、彼のパロディ精神はうまい具合に発揮され『カサブランカ』とか『ゴッド・ファーザー』とか当然、『狼 男たちの挽歌・最終章』などのユンファ本人の過去のノワール作品とか、もうありとあらゆる要素がつめこまれています、すべては周潤發のために。ひさびさかっこいい彼が見られて、めっちゃくちゃ嬉しいです。

そしてサプライズとして、倉田保昭さんが日本軍人役で登場。自分、全然知らずに観たのでかなり驚きました。アクションこそありませんでしたが、ユンファと心理戦を繰り広げるシーンがあり、その存在感たるやお見事。声もご本人が普通語で喋ってます。
一方、香港勢は全員吹き替え。サモハンはいつもの人、ジャンユーは自分にとってはドニー・イェンの吹き替えでお馴染みの陳浩。どうやら台詞一声で分るようになってしまったようです・・・・。
このジャンユーがまた悪いやつでね、最近あまり強烈な悪役を観てない気がするけど、いや、この悪人役、よろしいわぁ。痺れました。特に最初の登場のシーンとかたまんない。いやっほう。

とにかく、出演者のファンは絶対に観た方がいい。六本木シネマートのロビーにはうれし懐かしユンファのヒット作のHKポスターも展示されておりましてよ。

ラストシャンハイ予告劇場
↓もっとかっこいいユンファを観たい人はこちら。歌うは張學友よ~
The Last Tycoon《大上海》_主題曲《定風波》MV
と、思ったら2013年の10月25日にカルチュア・パブリッシャーズからDVD発売されるらしい、はやっ

おまけ:この映画について対談したネット番組がございまして、よければご覧ください。
TSUTAYA洋画王子の小部屋 ラスト・シャンハイ編

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続々予告登場『特殊身分』 -ドニー・イェン 甄子丹

毎度すみません、特殊身分の予告とかメイキングが続々と発表されています。
かっこいい!

谷垣健治さんがアップしたメイキング
その1: Special ID Behind the scenes tribute
その2: €Donnie Yen in Special ID Behind the Scenes Tribute

Special ID – CFF 2013 Trailer(北米向けの予告?)
new! Ver.3 SPECIAL ID Trailer Donnie Yen(国内向け新しいバージョン)
↑これ見たら、ソッコー『毒戦』の痺れるようなトレイラーを思い出しました。
同じ曲使ってんじゃなかろうかと確認しに行っちゃったくらいですよ
Drug War – Louis Koo, Honglei Sun,
いざ見たらテンポとかまったく違いましたが。

誰が編集したんだろうなぁ。2本とも同じ人が作ったのでは?という匂いがする。
大陸の魏楠かなぁ、それとも香港の人だろうか。
もしジョニー・トーファンで、監督がいつも同じ人を予告編集に起用するのかどうか知っていたら是非、教えてください。

広東語予告の最後のウイスパーヴォイスがいいですね!
特  €  €  €殊  €  € 身  €  €  €份  ・・・・・
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バクサカ関連テキスト
特殊身分 予告篇 ― ドニー・イェン 甄子丹
2013年10月18日『特殊身分』公開決定-ドニー・イェン 甄子丹
特殊身分(特殊身份:SPECIAL ID 2013年・中国)@香港 -€ドニー・イェン 甄子丹
・・・と、言ってるそばから特殊身分(特殊身份)
特殊身分・西遊記之大鬧天宮-ドニー・イェン 甄子丹
特殊身分(特殊身份)香港版が届いた。ネタバレ- ドニー・イェン 甄子丹
スペシャルID 特殊身分 日本公開決定 試写に行きました - ドニー・イェン 甄子丹
スペシャルID 特殊身分 初日舞台挨拶@新宿武蔵野館

 

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パン・ホーチョン祭り その4 ドリーム・ホーム(2010年・香港)

さすがに大阪アジアン映画祭で鑑賞済みの『低俗喜劇』まで再度観る時間はなかったけれど、それ以外はとりあえず完走しましたよパン・ホーチョン祭り。

『アイアン・フィスト』ですら一部薄目で乗り切った自分の最大の難関は、『ドリーム・ホーム』。案の定、最後の最後になってしまいました。
痛い描写が苦手な自分は上映中ほぼ半分を薄目。画面を見ずに音だけ聞くともっと怖くなるので、時々は音に合う別のアクションシーンのこととか想像したりして(笑)。オムニバス作品『些細な事』のなかにもありましたが、SEXの最中に別のことを考える夫のことはバカにできんなぁと、しみじみ思った次第。

まぁ詳しい内容や素晴らしい感想はスラッシャー系大好物な先達がたくさんブログに書いておられるので、そちらをご覧いただくとして・・・・。
そんな自分がなぜ、これを観ようと思ったかというと、なんとなく勢いで「全部観たぞという達成感を味わいたかった」というのが半分で、あとはやはりパン・ホーチョン監督だから、というのが半分。

結論から言うと、パン・ホーチョンはやはりすごい。
凄惨な殺戮を行うのが女性、しかも普通のOLという設定がすごい。最初の警備員の殺害の仕方から思わず膝を打つ方法でして。普段見慣れてないのもあるけどのっけから「こんな死に方は嫌だ~」と唸ってしまう。
動作設計は錢嘉樂(チン・ガーロッ)と黄偉亮(ジャック・ウォン)。ちょうどイー・トンシン先生の作品『新宿インシデント』などで一皮むけた時期だけあってノリノリです。

しっかし、よくぞこんな殺し方を次から次へと考え出しました。監督、そこがすごい。
3人目の妊婦は腹切り裂いてそこから・・・とかだったら速攻映画館を出たかもしれませんが、そうじゃなくて心からホッ(とするのも変な話なんだけど)。いや、それさえなけりゃ、目玉踏んずけようが腸が飛び出そうがペニスを切り落とそうが、いいんです。
に、してもあのヌード要員の2人の女優さんは撮影大変でしたね。
ただでさえアクションシーンは時間がかかるのに服着てないんだもの。少なくとも3日は現場で裸のままだったことでしょう。
そういう観点からも、一番苦労したのは主演の何超儀(ジョシー・ホー)をはじめ女子達でしたよ、なんかこう、心の底から感心しました。ほんとうにお疲れ様。

調べてみたら最後の最後までしぶとかった大陸女性は周楚楚(チョウ・チュウチュウ)という、半分裸みたいな過激な衣装をいつも着てイベントに登場する話題のお人だったんですね。気がつかなかった(ま、こっちは半眼だったし)。
ちなみに9月に公開される黄秋生さんの『イップ・マン 最終章』では結構なキーパーソンの役を演じています。
グラビアももちろん大変でしょうが、映画、しかもあれだけのアクションをずっと裸で演じるというのはご本人にとって想像を絶する苦労があったと思います。根性あるよ!その後も結構映画に出演。そんな彼女をきちんと起用した(当然話題作りの面もあるでしょうが)最終章、なかなかあなどれませんね。

ジョシー・ホーもよかったです。ご本人は生まれついてのセレブですが、薄幸なOLが本当に板についてました。人を殺しながらも抵抗されたら自分も傷つくという当り前の発想が新鮮。
スプラッター好きにはカットバックで入ってくる彼女の追想が長すぎると不評のようですが、自分のような門外漢にはどれも非常に大切なシーンでした。それによって動機を紐解いてゆくというか、狂気の火種がそこかしこに散りばめられていて、彼女に対して妙な共感さえ覚えるという作り込みがよかった。

に、しても陳奕迅(イーソン・チャン)の役はつくづく嫌な男だったぜ!自分的に一番やっちまいたかったのは、この男かもしれない。

俳優の話になったので覚書。
ジョシーのお父さん役は徐少強(ツイ・シュウケン)、甄子丹ファン的には『詠春』の盗賊の親分。功夫映画ファンにとっては70年代からショウブラの映画をはじめ出まくってるお人。『少林寺三十六房』では陸阿采の役だったと記憶が。
海の好きなお爺ちゃんは盧海鵬(ロー・ホイパン)。バカボンどもは『AV』組から。ラストの警官は『些細な事』でのジリアンのダンナ。もうひとりは『恋の紫煙』で2人にしてやられた警察官、駱應鈞(フェリックス・ロク)。あれかわいかったですね!

自分は余裕がなかったので残念ながら楽しめませんでしたが、凄惨なシーンのなかにもユーモアが盛りこまれていて結構笑い声もちらほら。ストーリーの決着のつけ方も含め、やはりおもしろい監督だということはよーく解りました。

中国大陸には桁違いの富豪がたくさんいて、日本の高額不動産を買い漁ってるという話はよく聞きます。彼ら、ローンなんてものじゃなくキャッシュで一括購入する。イタリアの城なんかもその調子でふらりと訪れた中国人官僚の20歳そこそこの息子(当然イタリア留学中)がポンと買ったりするらしい。

当然、香港では事態はもっと深刻で、返還後の不動産の高騰はとどまるところを知らず。そればかりか大陸で安全性に疑問のある粉ミルクや流行の品を業者が買い占めるために品薄になる、また生まれる子供を「中華人民共和国」ではなく「中華人民共和国香港特別行政区」の人間にしたいと妊婦がこぞって香港の産婦人科で出産するために肝心の香港人妊婦のベッドがない、などに象徴されるような様々な軋轢や社会問題を引き起こしています。

そんな背景のなかから生まれたこの作品は、ゴアスラッシャーという派手な包装にくるまれてはいますが、実は香港という街だからこそ生まれた映画でありものがたりでもあるわけで。

香港を描き続ける監督の代表といえばジョニー・トーがいますが、実は彼もまた作品によって選ぶ題材や作風をがらりと変えてくる監督のひとり、っていうかそもそも香港の監督はそんな人多いし。
そういう意味でもパン・ホーチョンは、しごくまっとうな香港映画監督であり、また今後もそうあり続けたいという強い意志を感じる人でもあるのだと『ドリーム・ホーム』はあらためて見せつけてくれる作品だったと思います。

映画『ドリーム・ホーム』予告編
(予告も結構怖いので視聴注意)

パン・ホーチョン祭り 『AV』
パン・ホーチョン祭りその2『恋の紫煙』『恋の紫煙2』
パン・ホーチョン祭りその3『ビヨンド・アワ・ケン』『些細な事』『夏休みの宿題』

 

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2013年10月18日『特殊身分』公開決定-ドニー・イェン 甄子丹


9月6日『特殊身分』の主題曲が発表されて、歌手の楊坤、ドニー・イェン、アンディ・オンに景甜ちゃんが登壇しました。

楊坤-我沒你想的那麼堅強MV [Official Music Video]官方完整版(電影《特殊身份》主題曲)
いやぁ、この揚坤の歌、いいですねぇ。
MVの編集をしたのは、いまや中国映画の半分の予告を作っているのでは?と言われる魏楠。陳凱歌(チェン・カイコー)をはじめ張芸謀(チャン・イーモウ)陸川(ルー・チューアン)からの信頼も厚いクリエイターです。
このお披露目会ではなかなかいいお話が出ていたので、ご紹介。かなり超訳かと思いますが読んでいて決定的な間違いがありましたらどうか教えてください。
杨坤献唱《特殊身份》 甄子丹现场哽咽

今日開かれた発布会では映画の主題曲『我沒你想的那麼堅強(僕は君が思うほど強くない)』が披露された。
歌詞の中にはこうある。
「この世界では隙間なく網が張りめぐらされ、どれだけの噂やデマが僕を縛り付けるのか。どうせ冷たい壁を破ることができないなら、窓を閉め陽の光などさえぎってしまおう」
歌は強靭な男がその裏に無数の傷跡を隠し持っていることを表現すると同時に劇中の甄子丹の善悪ふたつの運命を暗示し、また撮影中に直面した様々な波乱や批判、誤解を思い起こさせる。

その曲が終わった時、舞台の下にいた甄子丹の目はうるんでいた。
楊坤はこの曲を映画『特殊身分』というよりむしろ「甄子丹」のために書いたのだと語った。
「この映画の準備から撮影が終わるまでの、一部始終を私は知っています。だからこそ主題歌のオファーがあった時、みんなに甄子丹の本当の心の内を知ってもらいたかった。彼が与える印象は常にタフで決して諦めない人。しかしその陰にはもろくて弱い一面がある。たとえ強い人間であっても多くの傷を伴う痛みに耐えなくてはならないのです」

自分のために書かれた曲に対して、甄子丹も楊坤に感謝を示し「この歌詞とMVは今までの自分自身に起こった出来事を連想させて、とても感慨深いよ、楊坤の歌はまるで自分が歌っているかのよう。彼が伝えてくれる感情は完全なる私の心の内を表現してくれています」

甄子丹は言った。
僕は君が思っているほど強くない、自分はひとりの普通の人間で疲れて放りだしたい時もある(曲の歌詞と同じ言葉にひっかけている)。そんな時はいつも妻、汪詩詩が最大の支えでパワーの源だと。
「私たちは映画人でしかありませんが作品のためにほとんどの時間を使い一日中外にいて家族のことはおろそかになってしまいます。しかし疲れきって帰宅すると彼女はいつも全力で私を励まして何年もずっとそうし続けてくれている」

彼女に一番感動させられたことはどんなことか?という質問には「彼女は毎日私を感動させてくれる、彼女は私の傍にいて毎一分毎一秒、いつも私を感動させてくれます」

『特殊身分』は彼の『SPL 殺破狼』『導火線』に続くアクション巨編として6年の時を経て回帰した現代アクション。作中、甄子丹はギャングのヒーローを主役として演じていて、景甜扮する内地の警官の協力のもと黒社会の新しいボスであるアンディ・オンと惨烈な死闘を繰り広げる。彼は主演だけでなく、アクション監督プロデューサーと三役を担っておりアクション映画のクオリティを保つために出演者全員にすべて違うアクションを作りあげた。拳が肉をえぐる(リアルヒッティングってことだと思う)「甄功夫」が新しい到達点に辿り着いたのだ。

今作で「甄功夫」は全面的にアップグレードして国内外のマーシャルアーツに適合するだけではなく、ひとつとして同じようなアクションシーンはないという。甄子丹は「一个打十个(葉問の台詞「10人と戦う」の意)」的な功夫マスターから「一个打几十个(数十人が相手だ)」のマーシャルアーツヒーローへとさらなる変貌を遂げるのだ。司会者が「真の男」と彼を称すると「自分を真の男とは思っていません、ただひとりの責任を果たす男、ナイスガイでありたい」と謙虚に答えた。

また彼はこのシナリオを書いた司徒錦源(セット・カムイェン)こそが自分の中での真の男である、と友人について言及した。

『特殊身分』が困難にぶつかった時、彼は私を助けに来てくれました。しかしその時彼はすでにガンに侵されていて病院で治療を受けている最中で状態はよくなかった、そんな痛みを堪えて私を助けてくれたのです。
彼の人生の最後の数カ月何度もお見舞いに行きましたが彼はやせ細ってしまっていました。でも毎回彼の元に行くと楽しそうに「撮影はどんな様子?」「ポストプロダクションは終わったの?音楽は?」と聞くのです。たいへんな時期にも関わらず彼は自分の事ではなくいつも映画の話をしていました。一切の恨み事も言わず、まさに映画を愛する映画人だったのです。

その姿を見て思いました、私達は自分の命を大切にし自分の周りの人を大事にして、強く生きてゆかねば。彼は『特殊身分』の成功を願っていました。私は彼がそれを天から見ることが出来ると信じています。

きっといつかは司徒錦源のことを話すだろうと思っていました。やっときちんと話す機会ができて本当によかったです。
歌手の楊坤さんは昨年2月の制作発表の際には出演者として姿がありましたが、その後、出演はなくなったそうです。ご本人の弁では「いや公安長官の役だったんだけど、どう見ても公安長官には見えないんで出演はやめたんだ」と本当だかジョークなのかわからん話でした(笑)。
別の記事では「この歌のインスピレーションは甄子丹との交流から得た」と語っているので、その後もいい友人として関係は続いているのでしょう。
MVを見ると普通話の配音もドニーさん自身でやったようです。うお、楽しみ!

なお、この発表会で、ドニーさんは「彼女が傍にいて支えてくれなければ自分は持ちこたえられない」と奥さまへの感謝を語っている際に思わず涙ぐんでしまったようで、それを見ていた彼女もステージの下で泣いていたとか。
なんともウラヤマシイご夫婦ですが、それだけ色々なことをおふたりで乗り越えてきたんですもんね、「あれほど全てを懸けて映画を撮っているのに、バッシングを受けてしまって・・・そんな彼が一番喜ぶのはファンからの励ましだから」と夫へのバースディプレゼントに1年かけてアプリを開発するという発想だけで素晴らしいパートナーシップです、どうかいつまでもお幸せに!

惠天賜と司徒錦源
↓こちらは、中文の歌詞と最後の台詞が概要に全文記載、コピペして翻訳サイトにGO
Donnie Yen SPECIAL ID official MV【Original songs Inspired By】Yang Kun楊坤-我沒你想的那麼堅強

追記:楊坤(ヤン・クン)は中国を代表する歌手の1人。めっちゃ歌うまいす。ライブさいこー。アップテンポになるとちょっとダサくなるのが、なんとも妙に親近感(笑)
一起唱吧 2012-12-30 楊坤 – 空城 HD
いつか我沒你想的那麼堅強をライブで歌ってるのを聞いてみたいな~

バクサカ関連テキスト
特殊身分 予告篇 ― ドニー・イェン 甄子丹
続々予告登場『特殊身分』 -ドニー・イェン 甄子丹
特殊身分(特殊身份):SPECIAL ID 2013年・中国)@香港 – ドニー・イェン 甄子丹
・・・と、言ってるそばから特殊身分(特殊身份)
特殊身分・西遊記之大鬧天宮-ドニー・イェン 甄子丹
特殊身分(特殊身份)香港版が届いた。ネタバレ- ドニー・イェン 甄子丹
スペシャルID 特殊身分 日本公開決定 試写に行きました - ドニー・イェン 甄子丹
スペシャルID 特殊身分 初日舞台挨拶@新宿武蔵野館

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