蔵出しその9(2014)

いやいやいや、めっちゃ久しぶりの更新だし。
実はプラベでソチ五輪に行ったりしてたんだけど、雑誌コラムで色々書いたりしてたらこちらには書きそびれたりして、いやはや。今更だけどまた別の機会にまとめる・・・かも(今更?)。

ところで旧正月に観た映画の事もすっとばして『西遊記之大鬧天宮』一本で終わってたので、その時のものも含め蔵出ししときます。

・ポリス・ストーリー/ レジェンド(2013年・中国)

いやあのね、めっちゃよかったよ、成龍最新作。実は先月に試写を観たのだけど感激しましたよ。
監督は『ラスト・ソルジャー』の丁晟(ディン・シェン)。成龍ファンにはあまり評判はよくないのかもしれないけど、私この映画大好きで。丁寧に撮る監督だなぁと思ってたらまたいい作品を作ってくれて嬉しいです。
ポスターにある写真、銃を自分のこめかみに当てるのがファーストショットでね、観てるこっちは「え?なんで?どうして?」と思うところから始まるわけですよ。上手いなぁ。
なんとなく『ラスト・ソルジャー』の時も思ったんですが、この監督成龍の事すごく上手に使える数少ない人のような気がするんですよね、相性がいいと言うか。そういうコンビネーションがいい化学反応になってるような気がするんです。今後ももし組むことがあったらめっちゃ期待するな~。

共演は最近観る機会が多い景甜(ジン・ティエン)。ドニーさんの『特殊身分』ではちょっと無理がなかったわけでもない公安警察という役でしたが、こちらは成龍の娘という無理のなさ。こういう方が似合ってますね彼女。

そうだ、本格的アクションは前作の『ライジング・ドラゴン』で終わり、みたいなこと言ってたでしょ?いやいやいや、ここでもしっかりアクションありますよ!しかもあの成龍が関節決めちゃったりなんかしちゃってるし!アクション監督は成家班出身、ヘ・ジュン。

とにかくねクオリティ高いです、谷垣健治さんと同じ回の試写を観たんですがCGを絶賛してました。終了後谷垣さんのパソコンに入ってたCGメイキング画像を見せてもらったら、あれもこれもCGだった。びっくり!!!
「すごいですね~、この映画CGずば抜けてますね、なんでですかね」と言ったら「多分ジャッキーがよく勉強してるんじゃないかなぁ」という答え。・・・・ああ、あり得そう。あくなき探究心、それが彼の最大の武器ですね。
見応えあります、是非劇場でご覧ください!

公開は6月6日から全国ロードショー。
公式サイト

・賭城風雲 (2014年・香港)


監督
王晶(ウォン・ジン)
鍾少雄(ビリー・チュン)

動作設計
李忠志(二ッキー・リー)

プロデューサー
劉偉強(何でも自分の映画に「風雲」をつけたがるアンドリュー・ラウ)
王雅琳

出演
周潤發 (チョウ・ユンファ)
謝霆鋒 (ニコラス・ツェー)
童菲 (キミー・トン)
杜豎カ澤 (チャップマン・トウ)
高虎€(ガオ・フー)
張晉 (マックス・チョン)
景甜€(ジン・ティエン)
許紹雄 (ホイ・シウホン)
伍允龍(フィリップ・ン)
呉辰君 (アニー・ウー)

チョウ・ユンファ、ひっさびさのゴッド・ギャンブラー最新作。しかも監督は王晶ですよ奥さん。共演はニコラス・ツェー、実は旧正月に観た映画で一番面白かったのもコレ、ヒットするわけだ。

とはいえ、続編ってわけでもないです。新たなキャラ新たな舞台設定、新たなキャスト。でもやはりワクワクさせてくれるし、細かいネタもうふふ。そういえばユンファの現代劇は久々ではないですかね。カッコいいわ~。大いに笑いました、バカバカしくていい。ゲロ度は20%。しかも女子(笑)。

ニコラスのアクションもよかったなぁ。相手は『グランド・マスター』の馬三ことマックス・チョンでした。老けメイクじゃないとこういうお顔でしたのね。
でも私のツボは『ラスト・シャンハイ』でユンファの右腕役だったガオ・フーだ。なんかこの人印象に残らなさそうだけど残るんですよね、不思議。
カードさばきがほとんどCGで、なんとなく昔の方が衝撃は強かったよなぁ、などとしみじみしてしまったのは年のせいか。
とはいえ、やはりユンファですよユンファ。あんなユンファもこんなユンファも素敵すぎる。もうずっと香港で仕事してください。

に、しても景甜ちゃんはスン・ホンレイ、ドニー・イェン、ジャッキー・チェン、チョウ・ユンファにニコラス・ツェーと共演か・・・・すごいな。

€金鶏SSS(2014年・香港)

監督
鄒凱光(マット・チョウ)

プロデューサー
呉君如(サンドラ・ン)

出演
呉君如 (サンドラ・ン)
張家輝(ニック・チョン)
古天樂 (ルイス・クー)
陳奕迅(イーソン・チャン)
梁家輝 (レオン・カーフェイ)
甄子丹 (ドニー・イェン)
黄秋生 (アンソニー・ウォン)
黄子華 (ウォン・ジーワー)
余文樂 (ショーン・ユー)
杜德偉 (アレックス・トー)
鄭中基 (ロナルド・チェン)
蘇永康 (ウィリアム・ソー)
杜豎カ澤 (チャップマン・トウ)
黄偉文 (ウォン・ワイマン)
盧海鵬(ロー・ホイパン)
錢嘉樂 (チン・ガーロッ)
張敬軒 (ヒンズ・チャン)
張兆輝 (チョン・シウファイ)
詹瑞文 (ジム・ソイマン)
王闖€之(イヴァナ・ウォン)

今年の旧正月、香港映画で一番ヒットを飛ばした作品。上映館や回数も一番多かった。しかも時間ぎりぎりに劇場に掛け込んだらよもやのIMAXだったという(笑)。同時期に観た『西遊記之大鬧天宮』のIMAX上映が非常に少なかったのですっかり油断しておりましたわ。
自分、普段劇場では前の方の席で観ることが多く、そのたびに香港の窓口のおねーさんから「ほんとにこの席でいいの(この日本人わかってんのかしら)?」と聞かれることが多いんですが、さすがに「本当にこの席でいいの?」って場所でした。買う時にもっとしつこく聞いてくれれば・・・クッ。

なにが辛いって、ただでさえ中文英字の字幕を追いつつ画面を観るのが難儀な上に、IMAXで前方だと字幕を読んでると全く絵を観ることができない。ので、途中から字幕はあきらめました。

前半は直接的な下ネタが多く、香港コメディに不慣れだとばかり思っておりましたが、そういうわけじゃなく多分お下劣すぎるのがアカンかったんだ、とこの映画を観ながら再認識できました。特に日本に行ってからある「必殺技」(『低俗喜劇』参照)の修練に励むところとかマイリマシタデゴザル、降参。

そのシーンになるや否やいきなり席を立つグループがいたので、ぼんやり眺めていたらなんと小学生の女子2人を含む親子連れ。ひ~。
多分ここまでのスケベネタとは思わずに来ちゃったか、それとももう一本の正月映画『六福喜事』(こっちにもサンドラは出演)と間違えて入っちゃったか。いずれにしても、ものすごーくお気の毒です。しかも連れて来たのは父親かよ!ああああ、わざわざスクリーン横切って出ようとしてるけど、そこは出口じゃなく非常口だよ、お父さん、・・・ほら案の定また戻る羽目になっちゃった・・・と、その引率のお父さんの動揺が手に取るように分るだけに居たたまれない気持ちになってしまったのでした。とほほ。

が、映画の方は、その親子が退場した後ニック・チョンの登場でグッと面白くなりました。さすが影帝。
彼は長い間刑務所に入っていて出所したばかり。入所前は主人公の阿金(サンドラ・ン)とそこそこいい仲でした。この彼がスマホにとまどい、変わり果てた香港にとまどうわけですね。「すべて変わっていくのよ」と阿金や舎弟のイーソン・チャンに言われる姿が切なくってねぇ。なんとも情けないヤクザなニック・チョンが最高でした。

さて、旧正月映画と言うと豪華なカメオ出演も見どころ。ルイス・クーのそっくりさんの役で本人ルイス・クーが出てきたり、レオン・カーフェイがゲバラのTシャツ着てたり、ショーン・ユーがフェチ持ちオタクな役だったり。我らがドニーさんも『グランド・マスター』葉問で登場。
「葉師傅、最近お見限りね」と阿金に呼びとめられて(当然民国風場面)「10人とヤリたくないの?」と言われたところへ「我要打十個」と返し「なによ~金楼に来るの好きだったくせに~、映画にもなってるわよ!」と逆キレした彼女を詠春拳で威嚇して「それは『宗師』の方で、妻を愛するのが『葉問』だ」と一言(全部多分)。ま、そんな感じでござんした。

ちなみに下ネタだけでなくゲロ度も高かった。ゲロ度80%。

惡戰(2014年・香港)

↑なぜアクション監督まで堂々とポスターに載ってるかは謎

監督
黄精甫(ウォン・ジンポー)

動作設計
袁和平(ユエン・ウーピン)
袁祥仁(ユエン・チョンヤン)

プロデューサー
王晶(ウォン・ジン)
劉偉強(アンドリュー・ラウ)
王雅琳

出演
伍允龍 (フィリップ・ン)
安志杰(アンディ・オン)
洪金寶 (サモ・ハン・キンポー)
阡」迺翠 (ジャン・ルーシャー)
陳觀泰 (チェン・クアンタイ)
胡然 (ミッシェル・フー)
毛俊傑(マオ・ ジュンジェ)
袁祥仁 (ユエン・チョンヤン)
馮克安(フォン・ハックオン)

アンディとフィリップのガチ主演作ということで、すんごく楽しみにしていました。しかも元ネタはあのショウブラの傑作『上海ドラゴン英雄拳(原題:馬永貞)』だし。

結論からいいますね、ショウブラファンは馬永貞を忘れて観た方がいい、てかそうしなさい。アンディ・オンとフィリップ・ンのファンは歓喜していい。で、さすがの自分も分るぞ、これはブロマンスを超えてますよ、ね?ね?

ではひとつづつ解説させていただくと、ショウブラファンの皆様には哀しいお知らせです。
これは馬永貞のリメイクとありますが、そうではありません。かつて金城武くん主演で「まったく別物の馬永貞」が作られたことがありますが(ユン・ピョウがカッコよかったから無問題)、これはそれを遥かに凌駕しています。なんといっても馬永貞が陳真(チェン・ジェン、『ドラゴン怒りの鉄拳』の主人公、しかもブルース・リーではなくドニー・イェン版TVドラマの方)だからです。そしてどっちかというとアンディ・オン演じた七龍のほうが馬永貞っぽい。百歩譲って言えば2人あわせて「馬永貞」なのかな。そもそも黒社会の人間が主役なんて許さん、という大陸で上映しようってのに黒社会でのし上がるのが魅力の馬永貞は無理があったのじゃ・・・。

が、しかーし、この映画、2人の主演俳優、フィリップとアンディのPVと考えれば一転してとっても素敵です。
映画におけるこの2人の扱いを常々不憫に思うファンの皆様には是非ともこの映画をご覧になって日頃のうっぷんを晴らして頂きたい、うっとりするようなPVでございます。
フィリップファンに対しては、馬永貞というよりむしろブルース・リーへのオマージュたっぷりですと申し上げましょう。あんな設定とかラストシーンとか『ドラゴン危機一発』だろ。
アンディファンに対しては、どんな役をやっても爽やかなアンディをお楽しみくださいとお伝えします。このナイスガイは本当に目眩がしそうなくらいいつも爽やか。女性とベットインしようが卑怯な手を使おうが全然やらしくない。それが俳優としてどうなのかは置いといて、彼のそんなチャームは十分発揮されてるし、なんといっても散り際がいい。
過去何度も映画で死んでいますが「困った時のアンディ」という言葉が示す通りなかなかいい散り際も与えてくれなかったりして不憫さに拍車がかかる始末。ですから余計この最期はとっても有難かった。勿体なくないアンディ、待ってました。

アクションはこの2人ですから安心印。ただちょっとウーピン先生、スローモーション少々多め?『グランド・マスター』はカーウァイ監督の趣味かと思っておりましたが案外ウーピンさんの好みだったか。

そんななか残念だったことはただひとつ。
オリジナルの主演だったチェン・クアンタイさん、せっかく出してるならもう少し印象的なカットを撮るか、撮ったならそこを使って欲しかった。リスペクトととしてオファーしたならちゃんとしようよ、そこは。

 

 

カテゴリー: film, 功夫映画, 甄子丹 | タグ: , , , , , , , | 4件のコメント

モンキー・マジック 孫悟空誕生(西遊記之大鬧天宮:2014年、香港・中国)@HK- ドニー・イェン 甄子丹

運命が葉問にドニーさんを選び、今度はドニーさんが自ら孫悟空を選んだ。


香港で観てきた。めっちゃ飛び出してた!と言いたいけど、そこは想像してたより少々大人しめでした。

今回はノーマルの3DとIMAX3Dの両方を観ましたよ。よく考えたら自分IMAX3Dって初体験。
なにやら大陸でバカヒットしているらしく、華語映画初日最高興収記録だの最短億元到達記録だのと華々しいニュースが飛び込んで来て嬉しい限りでございます。

批判的な意見として「CGがショボイ」というのは目にしていたので、そこにあまり期待はしなかったのですが、結論からいいますね。大陸で成績がいいのは多分みんなIMAXで観てるからかもしれません。

そう、これはIMAX用の映像です。

残念ながら普通の3Dバージョンだとぶっちゃけ映像は甘いところが多々あります。

実感としてはノーマルの方は3D映画を2Dでしかも自宅のモニターでDVDで観るくらいの差があってとほほ。なんであんなに違いが出るんだろう。その辺りがボロクソに言われちゃう理由なのか。

自分は他の3D作品をIMAXで観比べたことがないのでわかりませんし技術的なことをまったく理解していない前提で話しますが、たとえば『ライフ・オブ・パイ』や『ゼロ・グラビティ』を普通の3Dで観た時のあの衝撃を考えると、これらのIMAX版(存在するかどうかも知らないけど)はどんなことになってたんだと空恐ろしくさえなります。どころか『ゼロ・グラビティ』なんか飛行機のオンデマンドの小さな画面ですら普通に観れましたからね、恐るべし。

普通の3D版鑑賞時に気になった平板な絵や、分りにくかった画面とかシーンごとのバラツキ感もIMAXだと見違えるほどしっかり奥行きがあって、こんなに差が出るものかと物凄く驚きました、

まるでまったく違う映画みたいでしたよ。厳しい言い方ですがそれでやっと見られるクラスという・・・。うーむ、せめてあのレベルをIMAXじゃなくても出来てれば。

ハリウッドの「アバター」や「ロード・オブ・ザ・リング」等を手掛けたというチームが参加したためか、本来の方向性は「飛び出す」というよりどうやら奥行きを重視したようで。

実はハリウッド参加を売りにしながらもCGを手掛けたチームは中国韓国インドや日本、ドイツ、オーストラリアなど何カ国もの会社が参加。
シーンによって完成度にバラツキを感じたのはそういう理由もあったようです。

クランクアップが2011年でそこから3年も何してたんやと自分なんかは秘かに思っていたのですが、やはりこのポスプロに時間がかかったみたいで、まだ時間が足りなかったのだとか。

「会社によってソフトも違うし、それぞれの違いを調整するだけでヘトヘトになった」とは監督ソイ・チョンの弁。

とはいえ通常の3D版であっても、ネットに溢れ返っている先行予告やメイキング映像に比べれば、うんとうんといいですよ!2Dだと・・・・どうなるのかなぁ。ちょっと心配。

とにかくこの作品はIMAX版が完成品のようです。

けれどもこうして上映方式で映像の完成度に差が大きく出るというのが「ショボイ」と突っ込まれる所以なのでしょうか。さすがにそこは仕方ないのかも。

さてさて、そんなしょっぱい考察はさておき、映画の内容です。


この映画なにが凄かったって、チョウ・ユンファがめちゃめちゃ綺麗なのよ。眼がね青いの!

それで神々しいお衣装を着て宙を舞いやさしい眼差しで猿を眺めたり龍に変身して戦ったりするわけですよ。いや、今までも魅力的なユンファはいっぱいあるけどこの玉皇大帝にはマジで惚れ惚れしました。

一方牛魔王のアーロン・クオックは自ら「子丹は宇宙最強、でも僕は宇宙一カッコいい牛魔王さHAHAHA」と言うだけあって、いや男前が過ぎます。

てかあなたのそのピカピカのお肌と完璧な横顔は一体どうなってるんすか。

この素敵な2人のクローズアップがふんだんでそれだけで圧倒されます。オープニングから美しき男たちの闘いですからね、掴みはオッケー!最初からハイライトかいっ!てくらい見応えあります、どんだけ豪華なんだ。

で、我らがドニーさんですが、見事に・・・猿です。5時間かけてメイクしたというだけあってぱっと見て誰だかわかんない。

まぁ、私はファンなのですぐ慣れて「この動きやっぱドニーさんじゃん!」と楽しく観ましたけど。

それでも初めてこのビジュアルを見た時は「よくぞここまで本人とわからないようなのを承知したなぁ」と思ったものですが、その後記事を読んだらあそこまでしたかったのは他ならぬご本人だったという。

しかもこの話には続きがあって「実はね、ポスターにも俺の名前を出さないように提案したんだよ」と告白してました。さすがにそれは却下されたようですが。(とりあえず思い付いたら口に出すドニー・イェン方式)

誰だか分らないビジュアルにこだわった理由としてご本人は「葉問を忘れて皆にはこの映画を見て欲しかった」と語っています。
記事にはそれ以上の説明はなかったので、なんとなく「代表作がなきゃないで苦労するけど、あったらあったでそのイメージを覆すのに苦労するんだなぁ」なんてことをぼんやり思っていたわけです。

が、作品をこの目で観て、ドニーさんが目指したという「東方のスーパーヒーロー」という言葉がすとんと腑に落ちたのです。

孫悟空であって孫悟空でない、孫悟空を超えたアイコンとしてのスーパーヒーロー孫悟空。

彼は本気でスパイダーマンやアイアンマンを目指しました。
よってあの特殊メイクはスパイダーマンのマスクやアイアンマンのアーマーと同じです。
演じているのが誰だか分らない、だからこそ観客がすんなり入り込めるヒーローの姿。

それまでの人生を一変させたという葉問のことを彼は「映画の持つ影響力を初めて知った」と何度も口に出しています。

「”葉問を観て自分のルーツである中国文化に何の興味も示さなかった孫が急に興味を持ち始めた、ありがとう”とたくさんの人から言われたんだよ」とドヤ顔で喋ってました。

幼い頃、移民として渡ったアメリカで初めて自分のルーツと中国人であるという誇りを強烈に感じさせてくれたブルース・リー。彼の映画を見まくり中華服を着て手作りヌンチャクを持って学校に通ったドニーさんにとっては、それは何よりもうれしい言葉だったに違いありません。

そこで今度はスパイダーマンやアイアンマンをヒーローとして愛する現代の子供たちに、孫悟空という偉大なるヒーローを知ってもらい愛してもらいたかったんだと強く感じました。

そのために自分と分らないほうが効果的なら、むしろ進んで「マスクを被る」という決意を持って。

しかもハウッドなら全CGになるところ、特殊メイクで顔は変えるけど演技(アクションも含む)は自分だぜ!というところがドニーさんらしいじゃありませんか(すでに自分にはラストファイトはなかったことなってる)。

本当に猿ですもん。

しかもめちゃんこカワイイときた。もうねひとつひとつの動きや表情に萌えまくりです。
特に玉皇大帝や菩提祖師とのやりとりとか萌え死ぬかと思いましたよ。要所要所で見せるあの哀しげな顔ときたら!

どこの国にも原作厨というのはいて、ましてこれだけ世界中で人気のある物語です「改編しすぎ」「悪編」と喧しい意見もありますが、そんな意見が出ることなど多分制作陣は百も承知でしょう。

だってこれはスパーヒーローを描きたかったんですから。大帝のキャラが違って自ら戦場に赴くのも二郎神が裏切り者なのも、牛魔王が孫悟空を利用するのも、すべては孫悟空というスーパーヒーローが何故天宮をぶっつぶすのか、そしてそこでどう成長するのかという動機づけなんですってば。

帰宅して色んなレビューを読みましたが、その中で、ものすごく素晴らしいコメントを発見したのでご紹介。
VARIETY紙 Film Review: ‘The Monkey King in 3D’ レビューの方はMaggie Leeというコラムニストが結構批判的に書いていますし、コメントの方もボロクソに言う人がいる一方で、お薦めしたいのは、そのひとつに対するレスポンスの方。

シンガポール人のWayne Hengさんが自分の子供と甥にこの映画を見せた話を書いています。

彼女は、2人の子供がまったく孫悟空を知らず、スパイダーマンやバットマンがヒーローとして人気のある環境にいると言います。

なんとか西遊記に興味を持ってもらいたくて昨年、チャウ・シンチーの『西遊・降魔篇』を見せたらかえってものすごく怖がってしまったのだそうな(自分も観ましたがさすがに最初にアレはキツイですね)。なのでその緩和策にとジェット・リーとジャッキー・チェンの『ドラゴン・キングダム』を見せ、先日子供たちをドニー・イェンだからと劇場に連れて行きました。2人の御子さんはこの映画をとても気に入って「早く続きが見たい」と喜んだそうです。

「この映画は子供たちへの偉大なる名作『西遊記』への導入には申し分なかった、改編はされているけどスピリットは失われていない、この映画が手放しで素晴らしい作品というわけではないかもしれないけれど、今現在見ることのできる最高の西遊記の映画です、素晴らしいストーリー、素晴らしい演技、素晴らしいディレクティング」そして次はTVBのシリーズの西游記を見せてあげる予定だそうで、彼女は最後に「この映画がヒットすることを願っています」と結んでいます。

長々書いてきてここへきてこんなことを言うのもなんですが、彼女のこのコメントを読むだけでドニー・イェン版『西遊記之大鬧天宮』に対するポジティブな評価は充分かもしれません。

映画に対するドニーさんの献身的な努力は、このコメントと同じ気持ちになった親御さんや映画を観て喜んだ子供たちの笑顔と莫大なる興行成績で充分に報われるでしょう。

なにしろご本人が「初めて子供たちにプレミアで自分の映画を見せられる」と大層喜んでましたからね。

葉問という役は、運命がドニーさんに与えた役でした。

この孫悟空は、その新しいステージから一歩踏み出したドニーさんが意図を持って選んだ役であります。

彼がこの役を説得力を持って演じることができ、またその努力が具体的な成功という結果を生んだことを、一ファンとして本当にうれしく思っています。
ヒットおめでとうございます。よかったね、ドニーさん。

あの自由奔放な孫悟空がスーパーヒーローとして一人でも多くの人の記憶に残りますように。

最後に「メイクが大変すぎて絶対に続編はしない」と宣言したドニーさん(いや、だからあそこまでするって決めたのは・・・略)、まぁ言うことコロコロ変えるお人ですし、映画が興収新記録でも作って気分がよくなればシレっと続編に出ても驚かない。

【西遊記之大鬧天宮】最終版預告
ピーター・ホーさん悪役でしたが、なかなか美味しいシークエンスありましたね!彼の額の第三の目妙にセクシーでしたわ、あと€九尾狐役の夏梓桐、なかなかこういうキャラには共感できないのですが、この役はとても良かった。かわいい!でも彼女の連れていた着ぐるみ君たちは可愛くなかったけど・・・(笑)

追記:
ドニーさんの現場での悪戦苦闘の一端はコチラで
new! Donnie Yen Road to THE MONKEY KING《西游記之大鬧天螳ォ》獨家記録片 甄子丹

谷垣さんや下村さんはじめ日本人スタッフもたくさん参加しています。
スタントだけでなく功夫環(kung-Fu ring)と呼ばれるリング状の新しいワイヤー装置を操作したり俳優のサポートに青の全身タイツを着て奮闘している人達はみんな甄家班の皆さん。
谷垣さんによるとこの功夫環、€ひとつ90万円もするらしく日本の会社とアメリカの合資会社が作ったマシンだそうで。普段はモーションキャプチャーでよく使われるそうであります。

最初はレンタルしてたのが、撮影があまりに長期にわたるので結局2台買ってしまったと、プロデューサーが話していました。彼の言い分だともっと高額でしたが(笑)。

とにかくすごい人数が関わっているのでエンドクレジットも長い長い。あちらはクレジットを見る人なんかいないから、映画が終わるとさっさと席を立ち掃除のオバちゃんが入ってきて作業を始めちゃう。だからなかなかアクション班の名前を確認するのもままならん。

そんな誰も聴いていないだろうクレジットソングがすごくよかった。

歌うのは葉問シリーズでサイモン・ヤムの息子役だったカールソン・チェン。彼は李哪吒の役でも出演してました。風火二輪がカッコよかったよ!ドニーさんと空を飛びつつファイトしてます。
これ、めっちゃいい曲、ベトナムでも3月に力を入れて公開するらしくベトナム語でこの曲がカバーされていて劇場で流れるようです。
鄭家星 Carlson Cheng – 《愛在天地動搖時》 (西遊記之大鬧天宮-電影主題曲)
クレジットが長すぎるのでもう一曲かかってた。こちらはロックです。
《西遊記之大鬧天宮》全球推廣曲MV

 

カテゴリー: film, 功夫映画, 甄子丹 | タグ: , , , , , , , , , | 8件のコメント

蔵出し その8

琉球バトルロワイヤル(2013・日本)

岸本司監督、西冬彦アクション監督、沖縄発のアクション映画。
ダンスとアクション映画が好きな自分としては観に行かざるを得なかった作品。前評判などなにも知らずシネマートに貼ってあったポスターを眺めたのみ、でもこれが結構おもしろくてねぇ。
主演の丞威(ジョーイ)さんこれが映画初主演だそうですが、すんごい潜在能力でした。彼の動きを見てるだけでめっちゃ楽しかったわ!
脇には八木明人さん、子安真悟さん。八木さんの飄々としたコメディ演技、笑っちゃった。小池唯ちゃんとのやり取りも可愛かったですね。子安さんの貫録はさすが。こうしてちゃんと本格派のファイターを揃え、それがうまく機能していたのも非常に好感が持てたという。師父役の新垣正弘さんの演技が映画を引き締めておりましたよ。その存在感かなりよかったです。あと沖縄顔の人がいっぱいでてたのも素敵。

丞威くんは「日本の誇るアクションスターになりたい」とおっしゃったそうで、その能力の高さならかなり期待できそう。この先もどうか作品に恵まれますように、楽しみな俳優さんです。

ゼロ・グラビティ(2013・アメリカ)

宇宙なんか行かなくていい!と思った人続出なのではないでしょうか。音のない世界、重力のない世界、底知れぬ恐怖感。
言葉でこの映画を語ることはちょっと無理。パンフレットの内容が充実してるのでそれを読めばOK。
映画ってここまで出来るんだと心底驚いた。3Dで初めて飛んでくるものを避けましたよ、それだけでもスゴイ。何度も心の中で悲鳴を上げ、泣きました。
一切のフラッシュバックも入れずここまで絞った勇気には感激、音楽を極力排した構成、サンドラ・ブロックの驚異的な演技、なにもかもが素晴らしかった。90分ちょいという時間もすごくよかったですね。
この映画の後、六本木ヒルズのスカイビューに行ったのですが、もうねなんともいえぬへっちゃら感(笑)。重力があるって素敵とさえ思ってしまいました

名探偵ゴッド・アイ(2013・香港)

今年の7月に中国香港で上映。多分最近の中華系では最速の日本公開。
今年観た中でもTOP5に入るおもしろさ。
アンディ・ラウとサミー・チェンのコンビに外れなし。ジョニー・トー先生さすがですよ。もうねずっとゲラゲラ笑いっぱなし。
アンディの放射するスターオーラは何もかもを凌駕しておりました。ゲロ吐こうがパクパク食べてようがもうね「アンディすてき!kawaii!」としか言いようがない。盲人用の杖があんなに雄弁だとは初めて知りました。
サミー・チェンも大好き。好き過ぎて言葉がないよ。あんまりかっこいいので彼女のレッド・カーペットの写真貼っときますよ。

捜査シュミレーションに突入するタイミングとか流れとか、本当にトー先生うまいです。そして雑な部分と繊細な部分があいまって何とも表現しがたいバランスに。ピンポン玉で部屋の広さを図るとか、細かい描写もイカしてる。
アンディの元同僚の郭涛(グオ・タオ)は絶対に『毒戰』にいたよなと思って調べたらいた。あの役でした。
スコートを履いた例の男、姜皓文(パトリック・キョン)は『逆戰』の汚職警官や『奪命金』にも出てました。2013年は6本の映画と4本のテレビドラマに出演した超売れっ子バイプレイヤー。

香港のとっちらかった変な映画は数あれど、それを最後にまとめてしまう力量はジョニー・トーが最高峰であることを、また再認識させていただきました。
とっても可愛くてとっても幸せな気持ちにさせてくれる映画、日本で見られてよかった!

コールド・ウォー香港警察 二つの正義(2012年・香港)

リョン・マクロン、サニー・ルク監督、第32回香港金像奨作品賞受賞作品。
最初から終盤までの緊張感がね。はぁぁぁ、なんども溜息ついた。よかったわー
特にファーストシークエンスの空撮が痺れた。
ここまでの大作でしっかり香港を舞台にしたのは最近そんなにないので、そこにも好感。とにかく初作品でこれほどの規模の映画になったというところが凄いし先見の明を持ってプロデュースしたのにも喝采を送りたい。
だからこそか、最後の最後はなんともはや香港映画で、ちょっとクスリとしてしまった。DNAのなせる業でしょうか。

ところでエディ・ポンって顎がやたらと長く細くて結構目が行ってしまうのだけど、この映画では出番がそれほど多くなかったにも関わらずそうでした。大阪で実兄と観た『かぐや姫の物語』の帝に匹敵する顎っす。
世の中にはしゃくれ、割れ、長いと顎フェチは結構いるので、そういうジャストド真ん中の人にはタマらんだろうな・・・・私も顎フェチならもっと楽しかったかも知れん。しかしこんなことでは新黄飛鴻とか激戦とか観たらどうなっちゃうのかな。
レオンとアーロンファンにはすごく楽しい作品。なにしろ見どころは2人の演技でもあります。

脇役もよかったなぁ~、高学歴でしかも自分のボスと敵対する側とで揺れるラム・カートンがいい。結構色んな人が出てたから「一体誰が裏切ったんだ?」とつい思いながらみるのは楽しかった。オヤジ好きにはスーツ着たオヤジがわんさか出てるだけで目の保養になるのかも。

自分としてはチン・ガーロッをやはり贔屓してしまいます。最近は本当にカメオ出演くらいしかなかったので、結構出番のあったこの内トラは美味しかった。
カースタントもそんなに多くないけど、非常に銭家班的。無線を聞いてチンさんがガツとハンドル切って逆走する一瞬のカットに萌え。

どうやらありそうなので続編にも期待、でもその前に赤戰とかいうのがあるんだよねこの2人の監督。そっちにまず期待でしょうか。にしてもアンディ・オンの扱いはちょっと不憫。人物もショットも最後バタバタとしてて(いや画面も相当派手で文字通りバタバタしてたけど)ちょっと分りにくかったかもしれません。

追記:
おおっと、もう一作追加。

人再囧途之泰囧(2012・中国)。2013夏のしたまちコメディ映画祭in台東や東京/沖縄・中国映画週間で上映時の邦題、ロスト・イン・タイランド

ポスターだけ見るとピンとこないのですが、こちらなんと、2012年末に公開され2013年の中国映画で最大のヒット、どころか12.64億元(日本円にして約220億以上)という中国大陸の歴代映画最高興収を記録した作品です。
監督は主演も務めるシュー・ジェン(徐崢)、共演はワン・バオチャン(王宝強)、ホアン・ボー(黄渤)

コメディ映画って、すごく好みが分れると思うんですよね。
ちょっと横道にそれますが、自分は『男はつらいよ(寅さん)』シリーズが子供の頃苦手でした。多分素直に物事を見ることが出来ないひねくれた子供だったことと、コメディの基本である善良で間抜けな人が酷い目にあうというシーンがとにかく嫌いだったという。(どれくらい嫌だったかと言うとコメディじゃないんだけど『ナポレオン・ソロ』でカーテンの陰に隠れたイリヤの靴がカーテンのすそから見えて捕まるというシーンとか信じられないくらい嫌でした。「MI6なのに???」)

けれど大人になってあらためて寅さんを見た時の感激は忘れられません。子供だった当時感じたものとはまったく違うキャラクターと、ものがたりがそこにはあり、しみじみ「大人になるっていいもんだなぁ」と感じさせてくれた初めての映画でもあります。とはいえ、今でも苦手なタイプのコメディ映画は結構あったりしますけど。

さて『人再囧途之泰囧』です。
舞台はタイトル通りタイ。世界中が驚くような特許をめぐってタイに住む大株主の許可を、それぞれ違う目的でもらいたい共同経営者の2人。そのひとりである主人公(徐崢)がトラブルに巻き込まれ道中やむなく一緒に行動する王宝強とのロードムービー、そして彼を追う利害の対立した共同経営者役が黄渤。
想像通りドタバタ喜劇なわけですが、その塩梅が自分にはちょうど良かったんだと思います。結構笑わせてもらいました。
なんというか中国が舞台でなかったところも新鮮で、異文化に放り込まれた異人さんという設定がとっつきやすかったのかもしれません。全編タイのバンコク、チェンマイでロケしたまさに低予算映画であります。それがこれだけの売り上げを記録したんですから、いやはやどんだけ儲かったんだって話。
これ1作だけ観ると「なんでこの映画がそこまでのヒットに?」と思うかもしれませんが、そこは公開時の中国映画事情や観客の気分も大いに関係したようで。詳しくはコチラのブログが参考になるのかも→今度はタイで囧!『人再囧途之泰囧』

主演監督の徐崢は飄々とした男ながらハンサムじゃない(しかもスキンヘッド)のが腹に一物ある人物ですが嫌われない得な役回り。本来は抜け目のないはずの彼をひっかきまわすのが、お約束「アホな田舎者」の王宝強。今回はビジュアルも金髪でファン・ビンビンの大ファンという設定が何ともいえず「ある」感じ。

この王宝強は大陸で今とても人気のある1人ですが、内地スターのほとんどが有名大学の映画科卒業のエリートというなかで、異色の経歴を持つ俳優であります。
生まれは河北省邢台市の農村。子供の頃に観たジェット・リー(リー・リンチェイ)の『少林寺』に憧れ両親の反対を押し切り俗家弟子として8歳の時に東嵩山少林寺に入門。厳しい修行の末に“恒志”という法号ももらっています。
近年同じような少林寺出身の俳優としてはシン・ユー(行宇)あらためシー・シンユー (釋行宇/カンフー・ハッスル、導火線Flash Pont、イップ・マン序章、掃毒、金剛王 死亡救贖など)がいますが彼が少林寺の海外公演などに出演した実力者として映画界に入ったことを思えば、映画やテレビのエキストラをしつつ建築現場などで働きながらスターを夢見ていたという苦労人であったというのは有名。
ちゃんとした役をもらったのはアクション映画ではなく2003年ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞した李楊監督の『盲井』(中国の社会問題を描いたとされるこの作品は内地では上映禁止)。同作で台湾金馬獎の最優秀新人賞に輝きました。その後TVドラマやフォン・シャオガン(馮小剛)監督の『イノセントワールド -天下無賊』や『戦場のレクイエム』に出演、着実に一歩ずつ俳優としての足場を固めてゆき2010年の『人在囧途』というコメディ映画のヒットで一躍人気者に。そしてこの『人再囧途之泰囧』で中国人の誰もが知るスターのひとりになりました。

そんな彼が今撮影しているのはドニー・イェンの『冰封 重生之門3D』と『冰封 永恒之門3D(原題)』という2部作。ユン・ピョウ主演の『タイム・ソルジャーズ ~愛は時空を超えて』(1989)のリメイクとされてるアレです、アレ。

少林寺出身ながらほとんど功夫アクションとは無縁であった宝強くんが満を持して出演するアクション映画です。誰もまだ観たことのない彼の武打星としてのシリアス功夫、非常に楽しみです。
「今までは殴られてばかりだったけど、今回はずっとやりたかったカッコいい高手の役、しかも丹哥と共演なんて夢みたい」と語っておられました、いい奴だ。

さて『人再囧途之泰囧』に話を戻すと、この映画2010年の『人在囧途』と同じキャスト似たタイトルということもあり続編的映画として宣伝されておりました。が、本当はこの2作、出品会社も監督も違う映画。それが歴代一位という成績を収めたものだから当然著作権侵害の訴訟を起こされてしまいました。その後、ニュースがないところを見ると現在も審議中なのだと思います。

 

カテゴリー: film, 甄子丹 | タグ: , , , , , , , | 5件のコメント

全日本フィギュア2013

シーズンのうち、いろんな試合がありますが、ここ10年くらいこれを観る度に思うのです。
「やっぱ全日本が最高!」そして「日本の女子のド根性はすごい!」
今回は男子シングルSPとエキジビションを見に行くことが出来ました。

高橋大輔選手の怪我は自分が想像していたよりずっと深刻だったようです。
思えばスケーターのほとんどが怪我と戦うアマチュア人生なのかもしれません。けれども、4年前と今年、このタイミングを思うとただのファンでしかない自分ですら、その運命の過酷さに愕然とするばかりです。
しかしその怪我も五輪までには回復するという判断だったようで、五輪代表に選ばれました。おめでとう!ファンとしては大変喜ばしいことですが、織田選手や小塚選手の分も五輪ではSP,FSの完成形を見ることができますように。

しかし日本女子のド根性には毎回感心することしきりです。
FSの最終グループは目が離せませんでした。村上選手もここに標準を合わせ見事に決め心底感心しました、なんという頼もしさ。
鈴木さんのFSには涙がこぼれてしまいましたよ。現役最後にして全日本チャンピオンとは。本当におめでとう。彼女の演技では過去何度も泣かせていただきましたが、今回もまたスゴイものを見せて頂きました。ありがとうございます、素晴らしかった!

安藤美姫選手は、これが現役最後のパフォーマンスとなりました。
FS後のキスクラで見せた涙は彼女のトライとそこまでの苦労を物語っているようで「お疲れ様でした」とつぶやいてしまいました。たくさんの素晴らしいプログラムと演技はこの先も忘れることはないでしょう。彼女のいないエキジビションはちょっと寂しかったけれど。
織田選手も今回で引退を決めたと最後のあいさつで知りました。
NHK杯初優勝の号泣を、観てたこっちは思わず微笑ましく笑ってしまったことが昨日の事みたいです。何年たっても結婚して子供が出来てもそのイメージは最後まで変わりませんでした。あの阪神タイガースのミニタオルはまだ持ってるのかなぁ。

リード姉弟も特にお姉さんがとってもよくなっていたのに感心。状態がいいのでしょうか、キレがとってもあったように見えました。
高橋成美、木原龍一ペアも成長していることを実感、五輪初出場おめでとうございます。

さて、いよいよ五輪ですよ。
みなさんの集大成の演技、本当に楽しみ。代表選手の実力があの場で発揮できることを心から願っています。

 

カテゴリー: skate | 全日本フィギュア2013 はコメントを受け付けていません

Season’s greeting on Merry Chistmas ! 2013

 

I wish you a joyful Christmas from the bottom of my heart.

今日サンタ仕様のおき太くんと写真を撮ってもらいました
かわいいなぁ
おは朝で昨日のフィギュアスケートの話になって、気がつけばなんかまるでフィギュア解説者みたいな事を言ってしまいました(汗)まずい・・・・
言いながら八木沼純子さんが降りてきちゃったよ、と思ったことは秘密

さて
先週行った六本木ヒルズの写真も一緒に
何しに行ったかというと、『ゼログラビティ』を観たのであります
あの映画の後だとヒルズの屋上もかわいいもんでしたわ

フィギュアスケートオタクは、これからさいたまスーパーアリーナですよ
我々にクリスマスなどない!あるのは素晴らしい選手のみなさんの素敵な演技と
いつもの面子でワイワイやるてっちりですわ~白子~
ひれ酒でツ黴€Salute!

カテゴリー: skate, 未分類 | Season’s greeting on Merry Chistmas ! 2013 はコメントを受け付けていません

ドニー・イェン 甄子丹 TOP10などを選んでみました

実は全日本フィギュアのことを書き綴っていたのだけれど、よく考えたら女子のFSも残ってるし五輪の代表選手も発表にはなってはいないのでした。で、ふと思い付いてドニーさんTOP10なぞ選んでみたわけです。順不同。

・捜査官X(2011)

とにかく溺愛している映画。
演技アクション配役カメラにロケ地美術音楽衣装、細部に至るまで全部愛してる。ドニーさんのキャラだけ言えば、ファミリーをセットにしても恐らくダントツに気に入ってます。
武侠(邦題:捜査官X)香港BDにて-ドニー・イェン 甄子丹

・SPL 狼よ静かに死ね(2005)
http://www.ckdvd.com/Player.asp?m=102&s=5&p=6&j=1
ウー・ジンとの特殊警棒対ナイフの一騎打ちはアクション映画の最高峰。
緩急をつけたリズムが際立っています。歩いて路地に入るところから決着までたった4分ほどなのに、あの濃密さといったら。早回しかと思っていたら実はリアルスピードで、しかもロングショットを多用したアクション監督ドニー・イェンのコレオグラフィーは文句なく神がかってる。

・イップ・マン序章(2008)

アクションシーンで人を泣かすことが出来るとは。カラテ道場「我要打10個!」は功夫映画の金字塔。一方ルイス・ファンとの闘いはユーモラスでその色合いの変化が素晴らしい。
どんな細かいこぶしの動き一つからも感情が伝わって来る驚くべき作品。ここまでのアクション映画はなかなかないと思います。
功夫シークエンス、キャラ、物語、ユーモアセンス、それとの落差、美術、カメラワーク、そして音楽。映画としての完成度は一番かと。さすが香港金像奨最優秀作品賞。
イップ・マン序章 香港DVD鑑賞のちに劇場で日本語字幕版―ドニー・イェン 甄子丹

・導火線(2007)

映画としては平凡なノワールものという評価で終わりそうなところ、この作品の人気が高いわけは、やはりアクションのクオリティの高さ。
ラストバトルは到底正気の沙汰とは思えない。
派手なスタントとはまた違う、ある意味地味な総合格闘技や柔術でここまで呆れさせてくれた男は、ドニーさんが初めてです。
この1作で世界中のアクションを変えてしまったと言ってもいいのでは。
導火線 / (邦題)導火線FLASH POINT 英国版 DVDのちに日本版DVD―ドニー・イェン 甄子丹

・ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝/アイアンモンキー(1993)

この黄麒英がリアル辮髪もあいまって可憐で萌え死にそう。
息子が牢獄で腹空かせてるだろうに、自分の食欲に忠実なあたりはかなり笑えました。
キャストがとんでもなくいい。悪役も含め全ての人物が魅力的という奇跡のような1本。
そのうえ本物の火の中であそこまでのアクションとか頭おかしいっすよ。ワイヤーや当時の常識早送りもあるんだけど、それが今観ても全然嫌じゃないのはリアルな動きとのマッチングやバランスがいいからでしょうか。
特殊効果はないものをあるように見せるものじゃなく、現実の動きを補佐し効果的にするためのもの、という矜持が気持ちいい。

・イップ・マン 葉問(2010)

相変わらず貧乏で人に助けてもらってばかりの師父。師父としては最高だけど夫としては生活力なさすぎでしょうが。自分的ハイライトは円卓勝負、サモハンとの「ババババ」は焦げそうなほど熱かったです。
弟子との稽古風景だけでご飯3杯は軽い。葉師父フォーエバー。
葉問2 / (邦題)イップ・マン 葉問 香港版DVDのちに劇場にて日本語字幕版―ドニー・イェン 甄子丹

・ドラゴン危機一発97(1997)

これを初めて観た時の衝撃はちょっと表現しがたい。
まったく先の読めないストーリー、ただでさえ速いのになお早回ししちゃうその価値観、で、やってることは信じられないほどの高スキル、そして滲み出る低予算とそれをカバーするマンパワー。
いうなれば狂気に取り憑かれた自主映画。むせかえるほどのオレ様臭にもあっけにとられること間違いなし。
正直最近のスマートな包装紙にくるまれた映画を観てると、一瞬この作品の熱が恋しくなることがあります。いや、ご本人はこの時代に戻りたくないでしょうけど。

・ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱(1992)

とにかくリンチェイが死ぬほどかっこいい。それに負けずにカッコいい悪役の納蘭元述!
この映画、現在なら間違いなくCG処理になるところを全て実写で撮影しているという技術の高さすさまじさに驚きです。
一番いい時のこの2人の闘いを残すことが出来ただけでも思えば奇跡的なこと。
そのうえくまきんが中ボスとは、なんという豪華で内容が濃い。一瞬たりとも目が離せない決して色あせることのない名作。
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ2天地大乱  長年にわたり自宅で様々なソフトで鑑賞、その後劇場のデジタル上映で ―ドニー・イェン 甄子丹

・タイガー・コネクション(1990)

映画の内容もさることながら、このポスターは一体なんでしょうか。
白いタンクトップを着て腕をテカテカにしたオトコ4人て。ちなみにこの兄貴ポスターと本編はまったく関連性はありません。つかせめてロザムンド・クアンを囲んだら・・・・・もっとシュールか。
本作はアクションのバリエーションが非常に豊富。見ていて飽きません。かなり頑張ってアイディアを出した感に胸熱。ドニー・イェン考案マイケル・ウッズとの両手を鎖で縛ったバトルはもはや経典。

・孫文の義士団(2009)

これは、まず映画として大変優れております。
オールスター映画をここまでまとめ、なおかつ傑作にするなんて。
ドニーさんのダメ男キャラが新鮮で、演技がよくて泣いた泣いた。もうね、嗚咽レベル。
あの素晴らしいオープンセットを活かしきったアクションも言うことなし。カン・リーのキレっぷりがまたよろしかったですね。
でも正直言うと一番泣いたのはニコラス・ツェーと息子を抱きしめる父親のシーン。こちらも金像奨最優秀作品賞に恥じない名作です。
十月圍城 / (邦題)孫文の義士団 香港DVD鑑賞、のちに劇場にて日本語字幕―ドニー・イェン 甄子丹

こうして並べてみると、結構コメディタッチの作品がありますね。
最近は正月喜劇映画に出演とか『特殊身分』のドラマ部分がコメディぽいと話題になったりしておりましたが、ドニーさん忘れたのかなかったことになってるのか「初めてコメディに挑戦するけどオレってコメディセンスあるからさ」 とか言っちゃってるし(笑)
あなた昔は親切な人の目を盗んでつまみ食いしたり美女にラーメンをぶちまけられたり立ちション失敗したりしてたじゃないっすか。

 

 

カテゴリー: 功夫映画, 甄子丹 | タグ: , , , , , , , , , , | 5件のコメント

特殊身分・西遊記之大鬧天宮-ドニー・イェン 甄子丹

現実逃避と悲報とひょっとしたら朗報

本当は、京都ヒストリカ国際映画祭でお話をうかがった徐浩峰(シュ・ハオフォン)監督の事とか、監督の素晴らしい2本の映画『ソード・アイデンティティー』『ジャッジ・アーチャー』のことなんかを早く書かないと忘れちゃうというのに、なんだか自分の文才のなさではまともに書けなくて、つい締め切りが迫った人みたいに関係ないことをブログに書いてしまう自分。(いや、実際に数本年末進行で実は締め切り前なんだけど)

と、いうわけで現実逃避として、猿です。

とーっても悪そうな顔をした猿

「げぇ~関羽!」というキャプションしか思い浮かばない猿

「私たちはカッコいいドニーさんを観に来たのよ!これなら日曜の自宅のリビングにもいるじゃない!」と世界中の奥様やお嬢様から抗議がきそうな猿

というわけで、来年の旧正月1月31日に公開される『西遊記之大鬧天宮』の孫悟空に扮しましたドニーさん。特殊メイクが過ぎちゃってこれじゃ誰だかわかんねーよ!

どうやら、今まで私達が観てきた孫悟空の中でも最も現実の「猿」に近いものになりそうな噂。なにしろ芝居中、ほとんど膝を曲げてパフォーマンスしたらしいですぜ。
そういえば谷垣さんが「どっから見てもエテ公!」と言ってましたな。共演のピーター・ホーさんからも「ドニーさんの孫悟空はすごく可愛くて単純でいたずらっ子」というお褒め(でいいんですよね?)の言葉を戴いております。
わはははは、すんごく楽しみになってまいりましたよ~

さて、これだけではなんなので。
ちょっと悲報と、悲観的な予測をば(いや、そんなオマケいらんから)
先日、フリーマン筒井氏とやり取りしていた時に「特殊身分、ぜんっぜん値段下がらないらしいよ」という話を聞きました。これが悲報。
んでふと思い出した。
そういえば、この12月に韓国で公開されるというポスターの下にEASTERNLIGHTのロゴが。


(ポチるとでっかくなる・・・はず)

さて、ここからが悲観的な予測。
Easternlightといえば、Arclight Filmsの関連会社で、ハリウッドとシドニーにオフィスがあるとこですな。韓国がここのを買ったということは、ひょっとして海外向けのセラーはこの会社とか?
うううううむ、アメリカの会社ってなかなか値段下げないんじゃなかったでしょうか。

\げぇ~マジかよ!!/

い、いや、私はまったくの部外者なので、日本のどんな配給会社がどこと交渉してるのかまったく知りません。なのでお断りしておきますが、これはただの憶測妄想でしかありません。ごめんなさい、怒らないで。

現実的に可能かどうかは分らないのですが、韓国だけがアメリカから買ってるという可能性もなきにしもあらず。
と、いうのも、ネットで知り合った韓国人のドニーファンが『捜査官X』について「韓国なんかオリジナルからカットしたものを公開したんだよおおおおお(涙)」と嘆いていたので、ひょっとしたら韓国はアメリカ、ワインスタイン社から購入したのかも。(聞くとどうもDRGONの編集ぽかった)

んで、仮にこのEasternlightから日本が買うことになった場合、音声は普通語オンリーになるのか、広東語と普通語のミックスになるのかという問題。

さっそく、ここが配給したNZの映画サイトを捜してみたら、Language: Cantonese and Mandarin とありました、タイムランも同じようです、セーフ。
もしここから買ってもとりあえず音声は広東語つきになる可能性は残されていそうです。

(追記:反対に香港ではなく大陸のセラーが窓口で、むしろ普通語オンリー版の販売しかなかったりすると、ほんのちょっとですがこの映画の広東語と普通語のやりとりの面白さが台無しになってしまう危険性も・・・・いや、無理すれば広東語のリクエストもできるのかもしれませんが、そうするとオプション扱いで別料金がかかるため難しいという仕組み)

と、そんな悲観的な妄想ばかりしていては面白くないので最後に朗報。
めでたく香港版のBD、DVD,VCDの発売日が12月20日に決まりました。待ちきれない人はyesasiaにGO!てか、香港版にも特典の記述がないんだけど・・・ま、まさか!?

猿かわいいよ猿
Donnie Yen THE MONKEY KING official Trailer
どうやらアメリカでもThe Monkey Kingとして公開されるらしく公式サイトが出来てました
The Monkey King Official Website
US予告
The Monkey King “The Legend Begins” Teaser/ US English Version

バクサカ関連テキスト
特殊身分 予告篇 ― ドニー・イェン 甄子丹
2013年10月18日『特殊身分』公開決定-ドニー・イェン 甄子丹
続々予告登場『特殊身分』 -ドニー・イェン 甄子丹
特殊身分(特殊身份:SPECIAL ID 2013年・中国)@香港 -€ドニー・イェン 甄子丹
・・・と、言ってるそばから特殊身分(特殊身份)
特殊身分(特殊身份)香港版が届いた。ネタバレ- ドニー・イェン 甄子丹
スペシャルID 特殊身分 日本公開決定 試写に行きました - ドニー・イェン 甄子丹
スペシャルID 特殊身分 初日舞台挨拶@新宿武蔵野館
 

カテゴリー: film, 功夫映画, 甄子丹 | タグ: , , , , , , | 5件のコメント

グランプリ・ファイナル2013@博多

なんかバタバタしていてちっとも更新できやしない。
先週はフィギュアスケートのグランプリファイナルを観に博多へ。途中、仕事しに半日中抜けとかしたんだけど、初日からエキシビジョンまで。

本当はこのチケットは男子シングルの高橋大輔選手を観るつもりで取りました。彼のアマチュア最後のシーズンですからね、なるべく見逃さないようにと気合をいれたつもりだったのですが、怪我のために欠場。
こればかりは仕方ありません。誰よりもご本人が一番苦しいでしょう。
万全の状態を目指して養生・・・とばかりはいかないのでしょうが、全日本で素晴らしい演技を見せてくださることを心から願っています。

さて、
いっつもいっつーも思うことですが、スケートってショートとフリー二本そろえるのが本当に難しい。
だからこそ、二本揃う人が優勝するんだけれど。
過去にマジでミスをしない(ミスをしない時期の)選手とかペアとかカップル、なんていう化け物がいたりして、その記憶が残っていたりすると「?」と思う人もいるのかもしれませんが、基本フィギュアスケートはミスするもの、どれだけそのミスを最小限にすることができるかが勝負ですよね。

なんて回りくどい事を書くのもメモを取らず、時間が経ってからこれを書いているからかも。とほほ。

いや、一言でいうと羽生くんのショート、びっくりするくらいよかった!
オーサーコーチの元へ行って以来、みるみる間にスケーティングが良くなったと思ってはいましたが、今回間近で見て本当によくて感激しました。正直言うと昨年このプログラムを観た時は「いまさらながらこの曲なのか」とかチラリと思ったりもしたのですが、2シーズンめに持ち越したことは正解だったのでしょうね。
同じなのにこなれて洗練され、今となっては名プログラムに感じるのが我ながら調子いい。
フリーはニーノ・ロータ版ロミジュリで、この年齢にしかできないプログラムを滑るという狙いは本当に素敵。あのパトリック・チャンに土壇場で勝ったというのは非常に大きいよ!優勝おめでとう、五輪、楽しみにしています。

一方で、グランプリシリーズとても調子の良かった町田選手は、この晴れの舞台で二本揃えることの困難さを体現してしまいました(涙)。彼もここ数年スケーティングがとても良くなったお一人。貴重な体験になったことと思います。
フリーは開き直れたのか、素晴らしかった。もちろん全力でスタオベですよ~。

反対にショートがよくフリーでうまくいかなかったのがジュニアの田中刑事選手。SPでは正直「台乗りきた!」と思ってしまいましたよ。でもこういう経験が次に活きるはずですもんね、全日本に期待です。そういえば、彼のEXナンバーはひょっとしてNHK時代劇の『猿飛三世』?
織田選手も非常に彼らしいプログラムでよかったなぁ。彼も今シーズンで引退なんですね、アマチュアでの演技を観ることももうあとわずか、そう考えると切ないです。この銅メダルはとっても嬉しかった、よかったです、おめでとうございました!

そしてもう一人、スケーティングが上手になったなぁと思わせてくれたのが浅田真央選手。うまくなりましたねぇ、この4年モチベーションを保つのは想像を絶するほど大変なことだったでしょう、でもそれもこれももうすぐ行われるソチにむけてですもんね、あと少し。
貫禄の金メダルおめでとうございました、五輪でも最高の演技を期待したいと思います。

そんななかSPで珍しくミスしてしまったパトリック・チャン選手。
FSはいい演技でした。彼はとにかくスケーティングがほんとうに素晴らしくって、生で見るのが本当に楽しみなお一人。今回も足!足!スゲー!とガン見しました。
ところで彼の選んだ曲、ビバルディの四季は本当に似合ってる。選手によってはベタなドラマチックな曲が似合う人もいますが、彼にはジャズが似合うようにどちらかというとドラマを演じたりしないほうがいいタイプかとお見受けします。五輪を前に非常にいい選曲なのかもしれません。

ところで・・・実は自分、ペアが大好きで。

今回もペア中心に・・・とホクホクしていたらなんと中抜けしなきゃならないのがペアのフリーだったという。なんという不幸な。
いやいや、そんなこと言ったらアカンのどすえ。

ショートはロシアのヴォロソザール・トランコフ組の仮面舞踏会がぶっちぎって最高でした、なんというかちょっと次元が違うと言うか。しっかしペアがアイスダンスみたいになってるというのは、もう随分前から言われておりますが、このペアはその申し子みたいなプログラム。あのリフトとかどーなっとるんやと、しかもトランコフのあの派手派手しい衣装はなんだどうした、しかも口には髭をたくわえ、いや~ん、自分大好きだったダンスのドムニナ&シャバリンのシャバリンみたいじゃないか!うほ、すんごくエロエロしいというか胡散臭い感じというか。そういえば最近のダンスの方は北米の選手がトップにいるせいか妙に爽やかなんだよねぇ。で、いて、あのたまげるほどたっかーいツイストとか、信じられないくらいの飛距離のあるスロージャンプとか!技術は申し分なし。

まぁ、私が今更言うのもなんですが、この二人、それぞれ別の相手と組んでる頃から見ているからか、なんというか感激もひとしおです。
よくまぁこんな奇跡みたいなマッチングができたもんだと。正直、前のペアではここまでの潜在能力は想像もつきませんでした。

なにしろタチヤナが、現コーチ、スタニスラフ・モロゾフさんと組んでいた時は、「課長(モロゾフさん)に子供の写真を何度も見せられ、そのたびに(かわいいですね!)と健気に応える性格のよろしすぎるOLさんみたいだ」とか思ってて誠に申し訳ありませんでした。な、わけですからトランコフの当時の印象たるや・・・(略
それだけに相性って大きいのだなぁとつくづく思います。(うまくまとめたつもり)

が、しかし。
見てなかったフリーではどうやらミスが連続したようで、「優勝間違いなし」と思ったショートから一転、僅差で2位に。

中抜けしてる間も一人で観ていたMちゃん曰く「絶対に優勝すると思ったのになぁ」
そうですね、だからこそ、二本そろえるのは難しいし、それをまた五輪というステージでやってのけるのは本当に想像を絶するほど難しいことなんだよねぇ。

優勝はドイツのサフチェンコ、ゾルコビー組。この2人も大好き。
今シーズン、SPは衣装も曲もプログラムも素晴らしい。白い衣装とっても素敵。
このペアもとってもゴージャスで個性的ですが、 特にゾルコビーが片手でリフトを下ろすのがとにかく萌えるんですわ。いや、他の選手もやってるんですが、彼のが一番好き(笑)。フリーは最後のポーズがとってもくるみ割り人形のパ・ド・ドゥです。

でも正直、この金銀ふた組ともフリーの曲がちょっと弱いのかもとチラリと思ったりして。五輪シーズンだからと勝手にドラマチックなものを期待してたのがいけなかったのでしょうか。ふた組とも過去にハマりすぎるほどのハマりプロがあってその印象が強烈すぎるのかなぁ、ちょっと薄味に感じてしまうんですよね。

3位はパン、トン組。SPはなんとなんと、あのベレズナヤ &シハルリドゼツ黴€のLady Caliphじゃあありませんの。この曲を使うなんてもぅ、この人達ったら~。でも、とっても似合ってた、衣装も落ち着いていてすんごく素敵。昔からスロージャンプがカッコいいのは言わずもがなですが、ここ数シーズンはなんといってもスピンが好き。同じようなポジションでも2人にしか出せない味みたいなものがあるんですよね。
ところで長い年月を経て、思うことはトンさんなんという男前になられたのでしょうか。これは数々の大会でメダルを獲った自信がそうさせるのか、はたまた愛の力か。正直、うんと昔、体操着に毛の生えたような衣装を着てガーっとスピードを出してドリャーーーー!っと、あの細っこいパンさんが叩きつけられて壊れるんじゃないかと心配するほどの勢いでスロージャンプを放り投げてた同じ人とは思えません。なんか、こう、ほんまに見とれてしまうほど男前でしたわ(笑)。

この上位3組のFSでは、パントンのレミゼが一番ベタでいい。さすがデヴィッド・ウィルソン、スロージャンプやリフトのタイミングが完璧。4年前のあの興奮を再び!ってノリがとにかく気持ちいい。

とにかく何が起こるかわからない五輪。
実はこのペア競技がそういう意味でも一番楽しみです。できたらみんなミスのない演技をしてもらいたいです。

とにかく選手皆さんの怪我のないことを祈っています。楽しみだなぁ五輪。

 

カテゴリー: skate | 2件のコメント

フライング・ギロチン(香港・中国、2012年)とアメリカン・ドリーム・イン・チャイナ(原題:中國合夥人・中国、2013)

ピーター・チャンが血滴子を描くとこういうことになりやした。で、かなうことなら『中國合夥人』と一緒に観ることをお勧め。

フライング・ギロチン

プロデューサー:
ピーター・チャン(陳可辛)
監督:
アンドリュー・ラウ(劉偉強)
動作設計:
リー・タッチウ(李達超)

出演:
ホアン・シャオミン(黄暁明)
イーサン・ルアン(阮經天)
ショーン・ユー(余文樂)
ジミー・ウォング(王羽)
クリス・リー(李宇春)
ウェン・チャン(文章)

うーむ、血滴子(けってきし)、ギロチンとくれば速攻ジミー・ウォングを思い出す人の方が日本じゃ多いだろうなぁ。

とりあえず血滴子映画のおさらいからしますか。
血滴子とは帽子のような形をした武器のことで、それを飛ばして敵の頭にかぶせると首の部分から歯が飛びだし、鎖を引くと首が切れてしまうという世にも恐ろしいもの。
血滴子とは武器の名前であり、それを使う部隊の名称でもあったりします。

そもそも映画でこの空想の武器、血滴子を登場させたのは1975年ショウブラ制作、チェン・クアンタイ主演の『空飛ぶギロチン(原題:血滴子)』が最初。
翌76年には、みんな大好き私も大好きジミーさんの『片腕ドラゴン対空飛ぶギロチン(原題:独臂拳王大破血滴子)』を香港第一影業機構が制作。動作設計は 劉家良、家榮兄弟。
それ以外にも、カーター・ワン主演『陰陽血滴子 (77)』、台湾映画の『盲坊主対空飛ぶギロチン(77)』、ティ・ロン主演『続・空飛ぶギロチン~戦慄のダブル・ギロチン(78)』、オリジナルと同じ監督であるホー・メンファ(何夢華)の『血芙蓉(78)』などがあり、それ以降も武器として空飛ぶギロチンを使用した映画はワンサカあったりします。

で、この2012年版ですが、まず最初に感じたのは、ピーター・チャンってすんごくショウブラを愛していて、しかもこの初代『血滴子』が異常に好きなのかもしれないということ。の証拠に、こちらの映画はジミーさんのギロチンではなくて初代のチェン・クアンタイのリメイクと一応言われているようです(あくまでも「ようです」)。

オリジナル『空飛ぶギロチン』の脚本を担当したのはのちに香港でもっとも有名な作家となる倪匡(ニー・クアン)。
ここでは血滴子と言う武器が生まれた瞬間から、改良、そしてそれを使いこなす訓練までを実に丁寧に描写してあり、これさえ見ればその威力を実感できるようになってるのがまずスゴイ。
その部隊の一番の遣い手である主人公が、やがて血滴子という組織に疑問を持ちそこから逃げて追われるというストーリー。その間にいきがかりで助けてもらった女と所帯を持ち子供ももうける、が、執拗な組織はとうとう彼を捜しあて最後はギロチン対ギロチンという凄惨な戦いの火ぶたが切って落とされると言うブラボーな展開でした。

ほうら、これを読んでピーターと言えば、なんとなく想像する映画がもう一本あるでしょ?
そう、あのドニー・イェン金城武主演の『捜査官X』ですよ奥さん。つまり彼はこのショウブラ『空飛ぶギロチン』へのリスペクトを『フライング・ギロチン』と『捜査官X』 という2本に渡ってやってしまったようです。

しかし、そこはピーター・チャン。
チャン・チェ監督の『ブラッド・ブラザース 刺馬』がジェット・リー、アンディ・ラウ、金城武の『ウォー・ロード』になってしまったように、この作品も『ウォー・ロード』化しアクション成分は結構少なめで、全編にわたってギロチンが飛びまくることを期待すると肩透かしをくらうかもしれません。(今となって思えば捜査官Xはアクション監督をドニー・イェンがバリバリにやったのでウォーロード化を避けられた、むしろ稀有な例なのかも)
ジミーさんの破天荒なギロチン勝負を期待すると困ってしまうでしょうが、そこはピーター・チャンだから仕方ないと諦めてください。(の、割にはいきなり十三太保名物の五馬分屍とか出てきて面喰ったりもするけど)

その代わり、ウォーロードでも味わった抗えない時代の流れに翻弄される人間の姿と無常感はたっぷりと堪能できます。ゲスト出演しているあのジミー・ウォングですら無念の人となってしまうのですから筋金入り。

そこで、10月に映画祭で観ることが出来たピーター・チャンの新作『アメリカン・ドリーム・イン・チャイナ』(原題: 中國合夥人、2013)を、ふと思い出した自分。
_______________-02-300x150

監督:
ピーター・チャン

出演:
ホァン・シャオミン
ダン・チャオ
トン・ダーウェイ

音楽:
ピーター・カム

主演である二枚目のホアン・シャオミンが冴えない田舎者の大学生を演じるということと、そのダサいビジュアルが話題を呼び、近年なかなかヒットに恵まれなかった監督にとっては起死回生の5億元を超える人気作となりました。

80年代終わりに大学生として青春を送った3人の若者が挫折を経て小さな英語の私塾を始め、やがて中国大陸で一大教育企業として成長させるという実話を元にしたストーリー。
実はこの映画、すんごく面白かったのですが、自分にとってはひとつ気になることがあって評価をしずらい作品でもあったのです。

それは80年代から90年にかけての中国にとって最も大きな出来事、「天安門事件」はやはり絶対に触れないんだな、ということ。
現在の内地において「天安門事件」というのは、当局によってまったく「なかったこと」にされています。当然学校では教わりませんし、報道関係の記録として登場することもなく、ネット規制のされている中国大陸では「天安門事件」というワードで検索しても何も出てきません。

いくらその時代を舞台にしても、天安門事件を描くどころかその言葉を言わせることすら「検閲」という制度を抱える中国では不可能なことなのです。
なのに何故ピーター・チャンがあえて、それを体験しただろう「大学生」を描くことにしたのか、特に前半で描かれる彼らの自由への憧れや息吹が生き生きとすればするほど、「知らぬ存ぜぬ」では他の監督ならいざしらず、少々複雑な気分になってしまったのです。

が、その後、よく拝見しているブログ『マダム・チャンの日記』の2013年11月3日のエントリー「ピーター・チャンは只者じゃない」を読んでいて合点がいきました。なるほど、あの場面にはそういう意味が込められていたのかと。正直、恥ずかしながら自分は気がつきませんでした。とほほ。

このブログを読んで、再び今度は『フライング・ギロチン』を思い起こすと、銃器に淘汰され捨てられる血滴子という秘密部隊の哀れさが意味するものを想像してしまいます。
舞台は清朝、弾圧されているのは漢人であり、その歴史がのちの辛亥革命に繋がるわけですが、額面通りに受け取ってしまうのもつまらない。
まさしく『ウォー・ロード』がそうだったように、恐らく彼はここでも、淘汰する側、されゆく血滴子やあえて預言者として死んでゆく天狼という人物に、現代中国とそれによる軋轢をなぞらえたかったのかもしれません、てか、そう考えでもしなきゃ勿体ないお化けがでますね、多分。

ところで、この『フライング・ギロチン』を私がお手伝いした「京都ヒストリカ国際映画祭」で上映した際、『ソード・アイデンティティー』や『ジャッジ・アーチャー(原題:箭客柳白猿)』を撮った中国の徐浩峰(シュ・ハオフォン)監督とトークショーをする機会に恵まれました。

この作品の資料にと自分なりに「血滴子」のことを調べていたら、うんと昔、それこそ明代に遡るほどの昔の武侠小説に、ギロチンのように空を飛び人を襲う武器が登場するという一文を読みました。そこで、武侠小説家でもある監督にご存知かどうかを尋ねたところ、「血滴子」というのは実在したというお話を聞いたのです。

実は、雍正帝の時代、当時子供だった乾隆帝は近習たちと宮中でよく蝉取りをして遊んだそうです。蝉を取るための道具は長い棒の先に練った米をつけた「とりもち」。当時の宮中では赤米を食べていたので、その棒についた赤い餅を「血滴子」と呼び、いつしか近習たちの呼称になったのだとか。

監督曰く、その血滴子という言葉から宮中を知らぬ庶民が想像したのが今の血滴子という空想の武器や部隊に繋がったのかもしれない、ということでした。しかし、この血滴子、なかにはその後乾隆帝の特務となった者もいたそうで、そう思うとこのピーター・チャン監制、アンドリュー・ラウ監督の『フライング・ギロチン』なかなかいい着眼点を持ってると言えるのかもしれません。

なお蛇足ですが、この映画に登場する雍正帝は、監督アンドリュー・ラウの内トラ(笑)。味をしめたのか最近結構出てますね。しかも古装率高し。

寰亞電影《血滴子》終極預告片 2012.12.27 戰新天
《中国合伙人》终极预告
↓チェン・クアンタイ主演のはこちら、こっちの方が血滴子という武器の感じがわかるかと。
The Flying Guillotine (1974) Shaw Brothers **Official Trailer** 血滴子

カテゴリー: film, アクション映画 | タグ: , , , , , , , | 5件のコメント

逃出生天:邦題 インフェルノ 大火災脱出(2013・香港中国)

ラウ・チンワン(劉青雲)とルイス・クー(古天楽)共演、パン・ブラザーズ(彭氏兄弟、彭順と彭發)監督の『逃出生天3D』。
ドニーさんの新作『特殊身分(特殊身份)』のため香港に行った際に同じ映画館で観るチャンスがありました。
香港では2000万HKドル以上を売り上げた作品です。

なんといっても『特殊身分』のほうは全員の台詞が早口すぎて何度観てもまったく字幕についていけなかった自分。が、かえってそれが大リーグ養成ギブスになったのか、こちらは1回で大まかには理解できるほど落ち着いて喋ってくれてました。字幕少しは読めたよありがとう、ラウチンにルイス。
広東省広州の消防士であるラウチンとルイスは現場の行動について何かと意見のくい違う上司と部下。ある日の救助活動をきっかけにルイスは職を辞し数年後防災コンサルタントとして華々しい成功を収めていました。(追記:さっき資料を読んだら2人は腹違いの兄弟らしい。ひゃ~シラナカッタヨ!)
一方ラウチンが奥さんのために退職を願い出た同じ日、ルイスのビジネスが大きく躍進した記念パーティが行われている超高層ビルの機械室では、ほんの小さな火種がみるみるうちに大きな炎となって・・・。

もうね、ここまで読んだ人が想像した通りの映画ですよ。パニック映画の王道。
だから結構な数の俳優陣が登場します。そして定石ですが登場する人物にことごとくフラグが立ちまくり。
が、予算の関係かそれとも狙ったのか、よくあるオールスター映画というわけではありません。どちらかというと大陸香港の中堅どころの俳優を使っているようでホイ・シウホン(許紹雄)と チョン・シウファイ(張兆輝)くらいしか知ってる人がいなかった。
けれどその分ストーリーが散漫になりすぎず、ラウチンとルイスの活躍に大きく比重が置かれていたのが功を奏したようです。滅法おもしろかったよ。

とにかく火が生きてました、CGでしょうがほんとう魔物のように動き回ってた。
「おい、このビルにその窓かよ!」とか「それは冷静に考えて全員死亡」など、かなーりツッコミどころは多いのですがそれでも作品の勢いが勝りました、文字通り手に汗握っちゃった。映画観てこんな手に汗かいたのはすごく久しぶりかも。

昼間14時の回だったので、ものすごーく大きな3Dシアターに客は自分入れて6人くらいだったでしょうか。だけどHKの客はノリがいいから、自分も気にせず「おお!」とか「やばい!」とか口に出しながら観た。気持ちいい。

に、してもルイス顔がいつもきれいすぎ(笑)。女優は途中から顔どころか何もかも煤だらけなのに、同じ状況でなんでアンタだけそんな綺麗な顔なワケ(笑)。かっこよく活躍してるハズなのに、どことなくドンくささが垣間見えるルイスの動きには、もう微笑ましささえ感じてしまいます。

日本でも公開して欲しいけど・・・・3Dじゃ無理なんだろうなぁ、2Dだとどんな風に見えるんですかね。痺れるほど頼りがいのあるラウチンの雄姿をファンのみなさんには是非観て頂きたいのですが。

そういえば最後にセット・カムイェン(司徒錦源)への悼辞(とうじ)がクレジットされていました。思えば、これが多分本当の遺作だったはず。

世の中には消防服フェチってのも結構いるんすよね、そこでこのサービスショット。


逃出生天3D (全新原裝預告) Out of Inferno 3D (Original Trailer)
正直この予告の10倍以上はおもしろかった

そういえば今年の年末12月25日に€デレク・クォック(郭子健)監督、ニコラス・ツェー(謝霆鋒)、ショーン・ユー(余文樂)、サイモン・ヤム(任達華)、フー・ジュン(胡軍)で『救火英雄』という消防士ものが公開になるんすよね。にわかに流行ってる?
どうやらこちらのほうが、オールスター映画っぽい感じ?
《救火英雄》Filmart 2013 預告

 

カテゴリー: film, アクション映画 | タグ: , , , , , , , , , | 2件のコメント