ネタバレなし。殺破狼2というタイトルを聞いた時は「こりゃまた難しい事をわざわざ」と正直思ったものですが、前作と同じく経典になるかもというのが今の率直な感想。この高いハードルに決して躓くことなく作り上げた監督スタッフ俳優に心からの拍手を!
ドラマもハード。細かいことはいいんだよとなぜか威張りたくなるエネルギー。アクションがここまで釣瓶打ちでキャラクターが立ってれば、何の文句がありましょうか!傑作。
登場人物は多いです。ここまで多いと勿体ない人が出るけれど上手くまとまっている。そこに動機づけと見せ場がしっかりあって、アクションだけでなく主な出演者全ていい役というのが嬉しいじゃありませんか。
当然アクションシーンが最大の売りなわけですが、自分としてはこのキャラクター付けに大いなる賛辞を送りたいです。ソイ・チェン監督の本領発揮かな?素晴らしい。
ウー・ジンはもちろんトニー・ジャー、マックス・チャン、ルイス・クー、それぞれが新境地の役どころ。そしてサイモン・ヤムやロー・ワイコンも見せ場たっぷり。一方、林嘉華(ラム・カーワー)、姜皓文(キョン・ヒウマン)と羅永昌(ロー・ウィンチョン)はお馴染みの安定感。
ウー・ジンとトニー・ジャーのファンは涙でスクリーンが見えなくなるかもしれません。
ややもすればアクション俳優の場合、動きはすごいのに役が物足りないことも多かったりするんですが、本作は2人の演技力を新たに引き出していてそこだけでもう満点つけちゃう。ウー・ジンは年齢とともに非常にいい面構えになってきており、今回はその良さを十二分に発揮する機会を得ました。
トニー・ジャーも(象だけでなく)娘を必死に守ろうとする姿が人間味を醸し出していて身近に感じる役。
監督、本当に本当にありがとう。
香港ノワールに不可欠な男同士の友情はもちろん、そこに幾層もの血の織りなす劇的な展開と命への執念。この命への執念は今までのノワールにあまりなかった視点な気がするのでとても新鮮でした。トニー・ジャーと可愛い娘、そしてサイモン・ヤムのあるシークエンスとそれを見るウー・ジンの表情なんか本当に泣けた。
そのうえ、肉弾戦たっぷりのアクション映画で狂喜乱舞。特にお気に入りは刑務所の長回しの乱闘。スマホ電波状況とシンクロしていやぁ興奮した!
アクション監督は大ベテラン李忠志(ニッキー・リー)。スタントコーディネーターには黄偉亮(ジャック・ウォン)とロー・ワイコン。設計は俳優の個性や当たり役キャラを活かした動きをベースにブラッシュアップ。
アクションシーンが多いので、ステゴロ、ムエタイ、ガンアクションカーアクション、スラッシャー、CGにリアルヒッティングありと、かなりロケーションやシチュ、カメラワークVFXなど場面によって変化があって楽しい。よもや鉄籠に入れられたサイモン・ヤムを見ようとは。途中韓国映画っぽいなと思ってたらその後本当に韓国人が出てきて無茶しまくってたのには笑いました。
ニッキー・リーはウ-・ジンくんとはもう何作もガッツリ組んでいるのでここはさすがのコンビネーション、どころかトニー・ジャーのムエタイ膝蹴りとワイヤーが相性よくて驚いた。むしろマックス・チャンの方がワイヤーとの相性よろしくなかったかも。彼に関しては他の現代アクションでもちらりと感じたりしていたので、線が細すぎてワイヤーつきキックとかちょっぴり武侠の匂いというか軽功ちっくに見えてしまうのかもしれません。実は彼の動きが一番功夫ぽかった気がするので、ひょっとしたらわざとそうしたのでしょうか。
とはいえ、どんなに動いても乱れない髪とスーツとその美形ぶりにただ唖然。なんという美しさ。すっかり虜です。
タイの刑務所長としてタイ語を話しておられましたがセリフのために勉強したのだとか。
彼らのラストファイトにはもうひとつ大きなオマージュが隠されていますが、それは絶対に書かない。多分戦いの途中から「え、それって!」と思うところでしょうから結末はどうなるかはお楽しみに。
その中で目を引いた新星、ルイス・クーの用心棒まゆなしは新鮮!まるでウィルソン・イップ版SPLのジェット(ウー・ジン)を彷彿とさせる冷血な殺し屋。おまけに彼と10年後役を変えたウー・ジンとの闘いではある衝撃も。
このナイフ使いを演じたのは、張馳(チャン・チー)。
1991年北京生まれの24歳、7歳から武術を習い、『インビジブル・ターゲット』ではニコラス・ツェーの危険なシーンのスタントダブルに。16歳の時でした。その後『血戦 (FATAL MOVE)』、『コネクテッド』、『狼牙 ライジング・フィスト』においてスタントと出演。『エクスペンダブルズ2』にもスタントマンとして参加したそうです。
記憶に残るところでは『イップ・マン 誕生』での葉問と一緒に祭りで暴れる同門の子、『インフェルノ 大火災脱出』は同僚の消防隊員、フルーツ・チャンの『ミッド・ナイト・アフター(那夜凌晨,我坐上了旺角開往大埔的紅VAN)』では大学生の1人赤いパーカーを着た子で『屍城(原題)』じゃアンディ・オンとともにゾンビと戦う隊員だったりもする。うっわーなんだ全部見てたんじゃん!
普段の彼はいかにも朗らかそうなお人なんですが、言うまでもなく今回かなりおっかなくて結びつくわけがない。
鮮烈な印象を残しましたもんね、これからの活躍が期待される若きアクション俳優です。もう忘れないぞっ。
タイムランは120分と少々長めですが、香港タイと場所と時間がいったりきたりする冒頭部分を乗り越えれば息もつかせぬバイオレンスの美学が待っております。
中国、香港でもヒットしたようで、特に中国大陸ではこのタイプの作品としては異例の超超超大ヒット。ウー・ジンはこの直前に公開された『戰狼(原題)』とあわせ見事ブレイクスルーを果たしました、やった!
そしてなによりこれをきっかけにどんどんバイオレンス映画が製作され大陸でも公開され注目を集めるようになってくれれば、ファンとしてこんな嬉しいことはありません。本当によかった!うぉ~誰でもいいからすぐ続いてくれ~!そして香港バイオレンスの確固たる復権を!
《殺破狼Ⅱ》預告片
【號外】《殺破狼Ⅱ》特別介紹 - 張馳 好打得!
意味もなく、那夜凌晨,我坐上了旺角開往大埔的紅VANの予告、いやほんとこのDボウイのかかるシーンはシビレるから
こんにちわ!はじめまして。「殺破狼Ⅱ」素晴らしかったですね。現時点で私の今年のベストです(^_^)。ナイフ使いの殺し屋は張馳なんですね。よろしければこの情報私のブログに転載させて下さい。何時も飯星さんのドニー兄貴への情熱には感嘆しております。ブログ更新楽しみにしています!
ご返事遅くなりました、大変申し訳ありません。
龍熱さんって・・・・あの知野二郎さんでよろしいでしょうか?
もしそうなら、こんな辺境の地までありがとうございます!感激です。
どうぞどうぞ、この情報でよかったらどうぞ。ブログよく拝見しております。勉強になります!
こんにちわ!はい、知野二郎です。ブログへの情報転載のお許しありがとうございます。健治監督からも張馳の情報を貰ったので同じく表記させて頂きました。飯星さんはショウ・ブラザース作品もお好きなんですね。素晴らしいです!
最近はfacebookでもドニー兄貴の話題で盛り上がっています。お時間のある時にご覧になってみて下さい。https://www.facebook.com/chino.jiro
今後ともよろしくお願いします(^_^)。
うわわわわ、本当に知野さんでしたか、わざわざ転載許可まで取って頂き、お知らせくださって恐縮です。自分の今後の参考にいたします、さすがです。
なかなか書ききれていませんがショウブラ大好きです。どっかで見かけると色々買ったりしております。傅聲大好きです。命日になると必ず知野さんの記事を読みに行くのが毎年の恒例になりました。色々教えて頂いております。
facebookですが…やっていないために残念ながら見るとこがかなわず。申し訳ありません。今後ともこちらのほうこそよろしくお願いいたします。
最近、スター・ウォーズのスピンオフにドニーさん出るって発表されましたね〜。もちろん、ママさんも知ってるかと。
し、か、も!チャンウェンさんや『ハンニバル』のマッツミケルセンまでも…!スター・ウォーズにそんなに興味ない僕も期待しちゃいます。
ね!楽しみですね『ローグ・ワン』。まさか本当に出演するとは。そしてトルーパーのヘルメットの写真をつい漏洩してしまったドニーさんの能天気さに笑ってしまいました。すごく豪華な共演者にもワクワク。さて、このメンバーのなかで一体どんな立ち位置なのやら、それも含めてドキドキであります。