ジョニー・トーの傑作がよみがえった。すごい。
まずはこの映画を劇場でかけてくれてありがとうございました。
最初からオープニングクレジットの編劇(脚本)にセット・カムイェン(司徒錦源)の名を見つけてぐっとくる。
感想は・・・ジョニー・トーいい。なにがいいって台詞が少ないところがいい。最近、いかに説明しすぎる映画が多いかとこれを観ると余計に感じます。無駄なショットはひとつもなく、一瞬でその人物や状況を語らせたらピカ一で、なんら不足はありません。しかもそれは徹頭徹尾監督の作品には貫かれてる。
レオン・ライがかっこいい、自分の見たレオンさんのなかで一番。あまりの格好よさに口あんぐり開けながら眺めるしかありません。本当、トー監督は男を描くのがうまい。そしてラウ・チンワン。上手に言えないけれど、今のようにどんな役をやっても隙のない感じじゃないところが凄く新鮮でした。ファッションもいいよね、葉巻にテンガロンハット。しびれちゃった。
この2人の関係がまたいいんだな。敵対する組織の中核を担っていながら、心のどこかでは認め合ってる、そんな関係。会えば互いのワイングラスを割る勝負。ここは『ザ・ミッション 非情の掟』のサッカーシーンに比肩する名場面。その直前にバーの店先で車を正面からぶつけあうシークエンスがあるんですが、『レクイエム 最後の銃弾』のあのカーシーンの原点はここだったんだな、と。興奮したなぁ。しかもレクイエムより短いけど鮮烈。
さらにバーのマスターはこの作品で武術指導してるユン・ブン(元彬)さんじゃありませんか。てっきり内トラかと思ってたらものすごく重要な役で驚きました。さすが1998年、ラム・シュー(林雪)、ロー・ウィンチョン(羅永昌)とともにシュッと痩せてるし。彼がレオン・ライのメッセージを窓に張り付けるところは、その前の互いのメッセージを共通の知り合いが電話で伝言してたのが効いててやっぱジョニー・トー。余計なことはしない。
そういえばレオン・ライのボスがヤン・サイクン(任世官)。ワンチャイ天地黎明でジェット・リーと戦う武術家や『スウォーズマン 女神伝説の章』、『アイアンモンキー』でのラスボスとして自分にはお馴染み。こいつがまた占い師に頼りきってる情けないボスでして。「お前の部下にレオン・ライは勿体ないんじゃあああ!」と何度心の中で叫んだか。そのボスの頼る占い師がレオン・ライ、ラウ・チンワンに足を撃たれる場面は痛快。立ちションとともにちゃんと対になってる。
またここには男たちを支える女たちも登場します。この2人がまた泣けるんですよね。男を描くのが上手い監督は一杯いるけど同時に女も魅力的って、すごくいい。
特にラウチンの彼女が「彼の部屋に行く時は、わざと音を立てていくのよ。他の女と寝ててもその間に言い訳を考えられるようにね」と語り、事実すごく音のするサンダルを履いてるのには唸りました。彼女が登場する度、このサンダルの音が響いていて、しかも彼女がそれをそっと脱ぐのが意識不明のラウチンを見舞いに行く時だけ。もうたまりません、うまいなぁ。あああすばらしい。
そして物語は急転直下、何も知らずに観てまさかラウチンがそんなことになるとは想像もしなかった。この予測のつかない展開もジョニー・トー。最後は熱いものがこみあげてきて、感激したシネマートの帰りいつもするように40分近くかけて歩いて帰路につきました。当然のことながら、この映画のテーマソングである『上を向いて歩こう』をずっと口ずさみながら。
『ヒーロー・ネバー・ダイ』はHDリマスター版ブルーレイとして2015年1月9日発売です。
『ヒーロー・ネバー・ダイ』日本予告編
シネマトゥデイ『ヒーロー・ネバー・ダイ』
ユン・ブン(元彬)さんがどんな人かはこちらとこちら
セット・カムイェン(司徒錦源)がどんな人かはこちらとこちら
レクイエム最後の銃弾 日本語予告編
明けましておめでとうございます。
「ヒーロー・ネバー・ダイ」、私も年末に観ました!
「カッコイイとはこういうことさ」という言葉を贈りたい!
レオン・ライは「孫文の義士団」での鉄扇の若様もよかったですけれど、若いときもいいじゃないか〜と目からウロコ。
「天使の涙」での殺し屋も捨てがたいんですが、こちらのほうが熱くて好きだなと思っています。
今年もどうぞ、よろしくお願いいたします♪
今年もよろしくお願いいたします。
レオン・ライ、マジで格好良かったですね、『天使の涙』『ラヴソング』はじめ数々の名作に出演していますが、自分にとってはこれがマスターピース。