小笠原諸島がユネスコの自然遺産に登録決定というニュース。
そのニュースを聞いて、そういえば、今から25年以上前にロケで小笠原に行ったっけ、と思い出しました。
それはフランス人シェフを連れて小笠原の父島に行ってそこのカタツムリを使って料理するという、ただそれだけの番組(笑)。
この記事を読むと小笠原にはカタツムリなどの陸産貝類106種の100種もいるらしいじゃありませんか(全種の94%に相当)。ちっとも知らなかった。私たちが料理したのはあれ、普通のカタツムリだった・・・よね?ひょっとしたら珍しいものも含まれていたのかなぁ。
実はこの小笠原諸島ロケ、素晴らしい自然よりおいしい料理より何よりも一番の記憶はその旅程。
東京から父島までは客船で行ったのですが(それが唯一の手段)、それがなんと片道1000キロ、26時間半もかかるのです。
私は乗船してすぐにひどい船酔いになり、食事時に生存確認のためにスタッフの前に顔を出した以外はず―――――――っと船室のベッドに寝ていました(笑)。
今から考えれば、「酔い止め」の薬を飲んでおけばよかったのよね。
当時はお仕事を始めたばかりのペーペーで自分が船に強いか弱いかどうかなどと考えたこともなく、また、仮に分らなくても用心のためにそういう準備をしておくべき、という発想すらまるでありませんでした。
そんな感じで始まった父島ロケですが、正直どこに行って何をしたか、あまり覚えていない。
覚えていることといったらその島の早朝の道路が見事なくらいびっしりとカタツムリで覆い尽くされていたことのみ。
一緒に行ったフランス人シェフは「おおジビエだジビエ(みたいなこと)」と言って大喜び。普通に仕入れると結構お高いんだそうな。だからこういう高級食材が道端にウヨウヨしてるのを見て興奮したらしい(笑)。
でもロケ地に向かうには車に乗って移動しなくちゃいけません。
当然、走る限りは道を覆い尽くしたカタツムリをタイヤで踏みつけていくわけです。
「ああああ」
シェフは「勿体ない」私は「うひゃぁ~勘弁して」という意味の溜息をふたりして思いっきり吐いておりました。
で、ロケ地でシェフが作ってくれたエスカルゴ、気持ち悪くて食べられなかったと普通は思うでしょ?これがめちゃおいしかったんだわ。てか、こういう時に口に入れられずに嫌がるようでは仕事になりません(笑)。
最近はしませんが、そういえば以前は時々冷凍エスカルゴをオーブンで焼いて食べたりもしてたなぁ。簡単な割に自宅では珍しいからお客さんが来た時なんかアントレ(前菜)に重宝しました。
そう、その器として鉄製のタコ焼き器を代用してましたっけ。大きさも殻を置く丸みもちょうどピッタリだし、オーブンにも入れられて、そのまま食卓にも出せる。
これを発見した時は自分で自分を天才じゃないかと(笑)。
あれから何度も(むろん本場フランスでも)エスカルゴを食べましたが、実はあのとき父島で食べたエスカルゴが一番立派で美味しかったかも。今も勝手に食べても怒られないのかなぁ、てか本当は野生のカタツムリって寄生虫一杯いそうだよねぇ。
当時は何も気にしなかったけど、そういえばスタッフの何人かはお腹を壊していたような・・・さすがは私の胃袋だ。