監督、脚本:爾冬陞(イー・トンシン)
撮影:北信康(『十三人の刺客』『新宿インシデント』のカメラマン)
動作設計:江道海(コン・タイホウ)董瑋(トン・ワイ)
出演:
梁朝偉(トニー・レオン)
周迅(ジョウ・シュン)
劉青雲(ラウチン・ワン)
昨年の旧正月にむこうで封切られた映画。
そういう意味ではお正月にふさわしい豪華で楽しい作品。
監督は爾冬陞(イー・トンシン)。香港の監督はジャンルにとらわれず様々なタイプの映画を撮ることで知られていますが、今作のトンシンさんはお正月らしい楽しくてキュートな作品を提供してくれました。
主演の梁朝偉(トニー・レオン)や周迅(ジョウ・シュン)は言うに及ばず、劉青雲(ラウチン・ワン)がもうね、なんというか造型もふくめ、ぐだぐだに可愛い。ラウチン好きは必見。
この芸達者な3人の主役がいて、しかも三者三様、みーんな素敵なキャラクターでとっても嬉しかった。で、主役だけじゃなく脇役にいたるまで衣装が豪華で美しい。
もうね、この衣装だけでも映画を見る甲斐があるってもんで。お色直しも皆バンバンするし。この時代を舞台にした映画は本当に楽しいなぁ。また着てる人達が美男美女なもんだからほんとうに目の保養になります。
に、してもトニーさんは色気がありますねぇ。ジョウ・シュンとの秘めた関係のやりとりも彼だからこその粋さが滲み出ていて見ごたえがありました。何をさせてもかっこいい、ほんと、ポーっと見惚れましたよ。そのうえ嬉しい彼のコスプレも満載。
インド人の格好をして登場するトニーを見てジェフ・ラウの『大英雄』を思い出した人も多いのでは。実は自分もそのひとり。
ちなみに『大英雄』とは、『楽園の瑕』を撮っていたウォン・カーワァイが例によって撮影を中断してしまい、集まっていた豪華キャスト(レオン・カーフェイ、トニー・レオン、レスリー・チャン、ブリジット・リン、マギー・チャン、カリーナ・ラウ、ジャッキー・チュン)が勿体ないと急遽その空いた時間を利用して制作総指揮を務めていたジェフ・ラウが監督としてやっつけで撮っちゃったというコメディ映画。93年の作品なんだなぁ。20年前か・・・そりゃこっちも老けますわ。
それを思い出してしまうほど久々観た気がするトニー・レオンの軽い映画。なんだかとっても新鮮です。そしてその彼の昔の恋人役のジョウ・シュンも本当に素敵。綺麗ってだけじゃないのよね、なんというか放つオーラが別格。たくさんの監督が彼女を使いたがるのもよく分る。
脇役も林雪(ラム・シュー)や閆妮(イェン・ニー)、方中信(アレックス・フォン)とかこれまた安定してるし。あと豪華なカメオ出演も見ごたえあり。徐克(ツイ・ハーク)、呉彦祖(ダニエル・ウー)、谷德昭(ビンセント・コク)、江道海(コン・タイホウ)、秦沛(チョン・プイ)、澤田謙也などなど、豪華で笑える。お、そういえば、トニーさんの友人というよりは、自分にとっては甄子丹の『精武門』で兄弟子役だった記憶が強い呉廷燁(ン・ティンイップ)さんのお姿も(彼の開脚はそりゃ見事なもんでした)。あ、それと香港武侠映画名物『ギロチン』もカメオ出演(?)してました。わはははは。
動作導演は江道海と董瑋(トン・ワイ)。コン・タイホウの出演は内トラ(スタッフの人をひょいと出演させること)だったのでしょう、どうせならトン・ワイも内トラで出演して欲しかったなぁ。
お話は1920年ごろの軍閥が跋扈する民国時代が舞台。トニーさんがマジシャンでコスプレいっぱいで、恋人のジュウ・シュンを巡ってちと頭の弱い将軍のラウチンと鞘当をする、で、そこに他の軍閥、その軍閥の転覆を図る革命軍やら清朝復活をもくろむ残党、そのうえ日本人組織などが入り乱れて最後はめでたし大団円。
とにかく、頭をカラにして楽しんだもん勝ちな香港映画の、セット衣装が豪華版ということで。
できたら広東語で観たかったけど(特にラウチン)おそらく、むこうの販売元の指定してきたバージョンが普通話だったのかなぁ。
そんなことも思いつつ、感想としては、お正月にこれ観られてよかったわ!