奪命金(2011年・香港)

奪命金、試写行って来ました。
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映画によってジョニー・トー監督の作風の違いには慣れてる人は多いでしょうが、それにしてもこれはまた少し毛色が違うような。
う~む、株で実際に損した事がある人にとっては観てるの正直キツイと思います。ああ、ど、動悸が・・・(笑)。

に、してもキャストがよいですねぇ。
劉青雲(ラウ・チンワン)ほんといいキャラでした。
彼はこれで台湾の金馬奨で主演男優賞を獲りましたが、さもありなん。実直だけど頭の少し弱い感じのチンピラ役、最高です。サンダルぺたぺたいわして走る後ろ姿とか絶品。張兆輝(チョン・シウファイ)が保釈されたと思ったらあっという間に・・・のタイミングは笑いました。保釈金をかき集めるべく奔走するラウチンと金を出す人達のやり取りがまたいいんだ。

一方、香港金像奨のほうで助演女優賞に輝いた蘇杏璇(ソー・ハンシュン)は、地味に暮らす普通のおばさんでありながらもリスクの高いファンドを買ってしまうその姿が、実に香港の人らしい内に秘めた金儲けしたい感が出てて非常にリアル。ああ、いいの?ほんとにいいの?観客はみんな心の中で彼女に問いかけたはず。

そしてなんといっても鮮烈な印象を残したのが、同じく金像奨で助演男優賞を獲得した盧海鵬(ロー・ホイパン)。すごいわーーー、あのヘアスタイルといい、うすら笑いを浮べながらもちょっと半眼気味な目の奥が絶対に笑ってない表情といい、絶対にいる、ああいう人。
普段のご本人は、もっとダンディなお方。

蘇杏迺№ニ同じくおもにTVで主に活躍している御歳70歳の盧海鵬さんは、文革後中国大陸から海を泳いで香港に密入国したひとり。1973年無綫電視(TVB)の養成所に入りますが、実は当時は年齢制限があったそうな。しかしTVBは彼のためにその年齢制限を解除。
同期には周潤發(チョウ・ユンファ)呉孟達(ン・マンタ)がおります。やがて長寿バラエティ番組『歡樂今宵』でお茶の間の人気者に。
なので、映画というよりはずっとTV出演の方が多い。映画ではジョニー・トー監督作品の出演が目立ちます。実はこれが初ノミネート初受賞。
TVではコメディリリーフだそうで、写真を検索してたら、
こんなのとか

こんなのとか(これ葉問らしい)

こんなのが出てきました。

す・・・すばらしい!

今年の金像奨でノミネートがで揃った時から、これじゃ50歳以下の人間は受賞できないんじゃないかと噂されていて事実下馬評通りになりましたが、この作品を観ればわかる。これは仕方ないわ。

とにかく、出てくるキャスト全員の人物描写と芝居が素晴らしい。さすがトー先生のキャスティング。
最後に流れてくるテーマソングも非常に良かった。『水漫金山』というタイトルのこの曲、歌うのは香港のシンガーソングライター岳薇(ユエ・ウェイ)、すごく印象に残りました。

最後にジョニー・トー監督と言えば、次回作の『毒戦』は初めて大陸を舞台に正面から薬物問題を取り上げた作品だそうで。香港の俳優はルイス・クーただひとりなんだとか。あのジョニー・トーが香港ではなく大陸を描くということで、ものすごーーーく興味があります。

きっと面白いに違いないしすでに予告編も公開されていますが、公安が登場するこの作品、大陸で果たして香港版と同じ内容できちんと問題なく公開されるでしょうか。検閲に関しては、こちとらまったく信用してないので少し心配といえば心配です。

だってこの奪命金ですら、大陸で無事カットなどなく公開されたものの最後の最後に字幕が新たに加えられたんですぜ
“警方发出通缉令,三脚豹及银行职员特丽莎便立刻自首,并交代了所有案情,最终法庭从轻判决……”
つまり、ラウチン演じるパンサーとデニス・ホー演じる銀行員のテレサは警察に自首。で、ふたりとも事件のいきさつを素直に話したので判決は軽かった、だって。 なんじゃああああ、そりゃ。
夢オチよかひどい。

 

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