・桃さんのしあわせ
監督:アン・ホイ、出演:ディニー・イップ、アンディ・ラウ
2011年のヴェネチア映画祭での主演女優賞をはじめ、台湾香港などで主要な賞を獲得。アジア各国でヒットした話題作。
香港で60年間同じ家に仕えてきたメイドのタオさんが迎える人生の終い支度をシンプルに描いています。身寄りのない彼女の最後を看取るのは赤ん坊の時から面倒を見てもらった映画プロデューサーのロジャー。彼女が元気な時は実用最小限の会話しかなかった当り前の生活が、どれほどかけがえがなかったか、彼女が倒れてから気がつき、施設探しに奔走するというお話。
映画では料理のシーンや食事のシーンがいくつか登場します。今時のメイドさんなら決してしないだろう丁寧な仕事ぶりや、まったく違う施設での夕食。そしてロジャーが仕事仲間とつつく中国らしい食堂でのご飯。そのどれもからあの独特の香りが漂ってくる気がします。劇中、施設にいるタオさんにロジャーの級友が揃って電話で彼女に話しかけるセリフがいい。「タオさんの作った鴨の詰め物が恋しいよ」「僕の一番の好物は牛スジだった」人の記憶に味覚や嗅覚がどれほど大切なことか。
このタオさんを演じるのはかつての人気歌手でもあるディニー・イップ。11年ぶりのスクリーン復帰となった本作での演技は見事。特に脳卒中で倒れたあとの杖をついた姿はリアルで、各国で主演女優賞を獲りまくったのも納得です。この映画だけ観ていては映画祭などで見せたセクシードレス姿などは想像がつかないでしょうね、さすが往年の大スター。そのギャップがたまりません。
なお仕事仲間として登場するのはツイ・ハークとサモ・ハン、当然本人役で。彼らが大陸の出資者から追加金を出させるシーンは、なんだかすごくリアルで観ていてドキドキしてしまいました。
↑『ナチスが月から攻めて来た!』というキャッチコピーとポスターの写真だけで観にいった作品。
よくぞ作りました、と心から感心する設定とストーリー。インターネットで世界中の一般人からの資金とカンパを募って出来上がったとかいう話を聞くと映画作りのシステムに新たな手法が出来たのかもと期待が膨らみます。
実際、おもしろかったですもん!インディペンデントにしか描けないことは多いけど、資金の問題や宣伝の仕方、公開の規模などでなかなか目に触れることは少ないし、従来の方法ではここまでの大作にはなれなかったでしょう。
久々アメリカをここまでこき下ろしたものを観てすごく痛快でした。単純なおバカ映画でないことは確かです。かといって真面目に論議するものでもありませんが。所々でお目見えする有名作品のパロディーもおもしろい。キャスティングが素晴らしくよかった。フィンランド人の監督ティモ・ブオレンソラはまだ32歳。次回作にも大いに期待します。
・ザ・レイド
監督:ギャレス・エバンス、出演:イコ・ウワイス、ヤヤン・ルヒアン、ジョー・タスリム
噂を聞いて観てきました。いや、おもしろかったわ~、大興奮。一緒に行った友人は「疲れた・・・」とぐったりしていましたが、私の方はもうね鼻息荒く元気いっぱい。お腹すいてすいて、いや、まずはビール飲ませてくれ!のどがカラカラだ!みたいな感じ。
同じ監督、同じ出演者のタイガーキッドも「お」と思わせるものがありましたが、こちらはより洗練された仕上がり。格闘のみに特化してここまでやり切られると、それだけでエコヒイキしたくなっちゃう。
この熱量は久しぶりですよ~、それだけでとにかくワクワクさせてくれます。一瞬たりとも飽きることなくエンドソングまで存分に楽しみました。
難を言えば綿密にアクションを作りすぎたからか、肉弾戦になると少し「作り込み感」が垣間見えたくらいでしょうか。いや、そんなことを言っちゃいかんね、とにかく清々しい位の「死亡遊戯」的作風にすっかりやられました。敵役も知らない人ばっかりで新鮮だったわー、にしてもなんというファンタジーなマンションだい。
数日はマイク・シノダのRazors Outをヘビロテしまくり。
アクション映画のMADにリンキン率が高いのは前から知っていましたが、親和性が高いのか。
日本版のソフトが出る前に、メイキングや特典映像、インドネシアバージョンの音楽も別トラで収録されているというアメリカ版のBDを買いそうな勢いです。
つか、早いとこUSAmazon行ってポチってこい!自分。
続編の撮影も決まってるそうなので、すんごくすんごく期待しています。早く観たいなぁ。