治ったから言いますが、実は私、少し前に四十肩に苦しんでおりまして(涙)。
もともと肩は凝るほうで、自覚したのは何と小学校の高学年。
その頃、私はバレエを習っていました。
バレエというととっても健康によさそうなのに、しかも元気いっぱいの小学生がなぜ?と思いますよね。
私にもなぜだかわかりません。
教室でも実力は下のクラス、変な所に力が入っていたのか、それとも骨盤でも思いっきり歪んでいたか。
毎年季節になるとバレエ教室では発表会なるものが行われます。
たいていは様々なグランド・バレエ(物語のある何幕かで構成されたバレエ)から色々な有名な踊りを脈絡もなく披露するガラ形式がほとんどですが、ある年、先生が客演を招いて本格的に「白鳥の湖」をやると発表しました。
チャイコフスキー作曲の白鳥の湖が初演されたのは1877年。バレエを見たことがないという方でも、うっすらと想像できるはず。
白い衣装をまとったオデット姫を中心にたくさんの白鳥が登場し幻想的な舞台セットでずらりと並んだポーズを思い出してください、あれです、あれ。
当然私はコール・ド・バレエ(群舞)を担う大勢の白鳥の一羽であります。
さっそくレッスンが始まりました。が、大勢の白鳥は踊るというより後ろでポーズをとっている時間が結構長い。
主役のオデット姫と王子がパ・ド・ドゥを踊っている間など、ポーズを取って数分静止し、今度はポーズ変えてまた数分停止、という具合。
もちろんポーズはポーズであって休憩ではありません、一見やさしく見える格好でも案外色んな場所に力は入っているもので、これが肩こり持ちには厳しい。
特に四幕、裏切られて嘆くオデット姫とその後許しを請う王子のシーンに繰り出されるポーズのしんどいことったら(笑)。
この作品の大切な要素のひとつは間違いなくコール・ド・バレエの同調性、優雅さです。「腕をもっと伸ばして!」先生は厳しくレッスンしますが1時間もすると肩がジンジンしてきて「早く悪魔をやっつけちゃってぇぇぇ」と連日脂汗。
帰宅するとあまりの肩こりのひどさに母親に肩を揉ませていたというツワモノ。発表会が終わって一番ホッとしたのは誰でもない私の母だったでしょう。
で、冒頭の四十肩ですが、そんなに気にしてなかったのです、正直なところ。半年くらいジャケットを着るときに違和感のあった左肩が、ある日気がついたら治っていた。
そこでやっと気がついたのです、あれは四十肩だったのだと(笑)。ネットで調べてみると、肩こりや運動習慣の有無はあまり関係ないのだとか。
と、いうことは今もどこかで四十肩に耐えながらコール・ド・バレエのポーズをとってるダンサーがいないとも限りません。
想像すると、脂汗がたらりと流れそうな、そんな気分です。