お豆腐の和らい’12動画撮り放題狂言会

GWのある日、狂言師の茂山千三郎さんからお招きいただいて新宿紀伊国屋ホールにて狂言会を見てまいりました。
この茂山千五郎家は狂言界に新風を吹き込むようなユニークな試みを様々していることで有名ですが、これもそのひとつ。「お豆腐の和らい’12動画撮り放題狂言会」と銘打たれたタイトルの通り、観客が動画や写真を撮り放題してもいい、いや、むしろドンドンしてください、という会。

おもしろいもので、動画撮り放題というとグッとくだけた雰囲気になるものでして。隣の友人とちょっとしたところでヒソヒソ声をかけあったり出来て実に楽しいものです。その日の模様はネットでもリアルタイム配信をしていたそう。

曲目は「腰折」と「無布施経」、ダイジェスト狂言として「墨塗」と「呼声」「文山立」「佐渡狐」。
なかでも「文山立」は山賊ふたりが登場するのですが「一瞬なのでお見逃しなく」と解説の茂山逸平さんがおっしゃるとおり、「やれ、やれ」「やるまいぞ、やるまいぞ」と声を掛けながら登場した山賊はその調子で舞台を一周して、あっという間にそのまま袖に。
えええええええ、そこだけかよ!
これには会場も大爆笑。狂言で「アンコール」の拍手が起こったのを初めて見ました(笑)。

千三郎さん出演の「墨塗」では「いつもより多く塗ってしまいました」とばかりに笑いを誘います。それにしても昔から男女の営みや駆け引きは変わらないんだなと笑いの中の裏側にある人間模様には共感してしまいますねぇ。

そういえば、前回狂言を観たのは1月に新宿文化センターで行われた「新春名作狂言の会」。
この時は、茂山逸平さん野村萬斎さんのトークとともに、茂山千五郎さん逸平さんの「千鳥」、野村万作さんの「鬼瓦」萬斎さんの「弓矢太郎」を拝見しました。
こちらは東西トーク合戦(笑)、じゃなく、東西狂言合戦とでも申しましょうか。東の和泉流の野村家、西の大蔵流の茂山家合同の狂言会。
「千鳥」という一曲の和泉流と大蔵流の違いについて逸平さんと萬斎さんの語りが非常に興味深い会でございました。

逸平さんのお子さんはよく、萬斎さんの出演しているEテレの「にほんごであそぼ」を見ているそうで、千鳥の「ちりち~りや、ち~りちり」を謡うといつの間にか和泉流の節回しになっていて驚いちゃいました、と言うじゃありませんか。萬斎さんそれに対して「それは由々しき問題ですね(笑)」と返答するなど、ふたりのトークがめっぽう面白かった。

そして、いよいよ「千鳥」曲中の「宇治の晒」の小舞を2人が連れ舞で披露。歌詞は同じですが、流派の違いから節回しと動きが少しずつ違います。こういうところが、この狂言会の楽しいところですよねぇ。

実は、自分、桐朋学園の演劇専攻出身なので在学中は狂言を少し習う機会がありました。先生は大蔵流。残念ながら卒業後はそれきりになってしまいましたが、たまに「もう一度習ってみようかな」ということが頭をよぎったりすることがあります。でも、あの正座に果たして自分は耐えられるだろうかと考えるとひるんだりもするわけでございますよ。足についた贅肉のせいでしょうか、昔はあんなに平気だった正座が今は案外苦手。とほほ。

さて、この茂山千五郎家の狂言、動画録り放題という試みをしているだけあって結構YouTubeにも動画がアップされております。ご興味がある方は「茂山千五郎家」で検索して是非一度ご覧ください。

 

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