燃えよデブゴン/カエル拳対カニ拳(1978年・香港)

この間、「燃えよデブゴン/正義への招待拳」に小刀会序曲が使われていることを唐突に思い出し、それを確認するためにびっくりするくらい久しぶりに観てみたらこれが存外面白くて、自分の中でなんとなくデブゴンシリーズが再燃してしまいました。

以前観たはずの映画も記憶があまりに古すぎるうえ、色々知ったりした今では、同じものでも印象が全然違う。
サモハン、やっぱりすごいわ。感激。

監督
麥嘉(カール・マック)

出演
洪金寶(サモ・ハンキンポー)
劉家榮(ラウ・カーウィン)
石天(ディーン・セキ)
白彪(ペイ・ピャオ)
李海生(リー・ホイサン)

武術指導
洪金寶(サモ・ハンキンポー)
劉家榮(ラウ・カーウィン)

ご存知サモハンのデブゴンシリーズとして日本でリリース。
しかし実態は大人気を博した「燃えよ!デブゴン」とは1ミリも関連のない映画。
今作ではサモハンとともに、劉家良の実弟、お気に入りの劉家榮(ラウ・カーウィン)がもう1人の主役。いやっほう。

劉家良の弟ながら、目立つ役でのヒット作はあまりなく、むしろ動作指導の作品のほうが多いかも。日本でも有名な作品としては成龍の「サンダーアーム」やリンチェイのワンチャイ1である「天地黎明」などに名を連ねています。

ショウブラでの役者、劉家榮はなんだかんだと老け役や悪役、師父役の印象が強く、自分も若くてはつらつとした彼を観る機会はそれほど多くありません。

ほかの兄弟と違い、垣根なく色んな制作会社の映画に出演していたりするのですが、残念ながら、そういった会社が作った彼主演の映画は日本未公開であるうえに、買いたくてもすでに市場に出回ってないものばかり。

そう言う意味でも、デブゴンシリーズでの劉家榮は貴重だし、年相応で抜け目ないこのタイガーというキャラクターはとっても素敵です。

冒頭の登場シーンのクローズアップに「おおおおおお家榮おっとこまえ!」と、つい声が漏れてしまいました。

常に微笑みを絶やさぬ(たとえチンピラの役でも)隠しても隠しきれない不思議な品の良さが彼のいいところ。(照れたような口をとがらせてご満悦な表情は兄、劉家良とそっくり)

お話は、このタイガーとデブゴンが互いを出しぬこうとしつつも、共通の利益のためには手を結んだり反目しあったり、そう、一種のバディものですね。

ところで、作中ちょっとでしたが杜少明(トウ・シウミン)の登場する毒のくだりにはマジで大声出して笑ってしまいました。
こんなにベタな功夫コメディで心底笑ったのは「プロジェクトA」の自転車シーンと「燃えよ!デブゴン」の教授の回想シーンと「搏命箪刀奪命槍」の弟子を取るために酷い事をするサモハン師父以来かも(デブゴンばっかだ!)。

アクションの方は、サモハン単体の時と劉家榮単体の時ではやはり少し見せ方の差があるのは感じます。劉家榮が動くと急にショウブラ臭が漂うのはいたしかたないところ。しかしこうして時間を経てしまえば、それはそれ、これはこれ。

終盤の白眉和尚(演じるのは李海生/リー・ホイサン)とサモハン+劉家榮の闘い、そしてラストバトルのサモハンvs劉家榮は、ほんっっとむちゃくちゃ見ごたえがありました。特に、2人の三節棍勝負には大コーフン。はぁ幸せだ。

復讐功夫ものに飽きた頃合いに観ると、ものすごく新鮮な一作です。

 

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