とうほく食文化応援団 第7回は岩沼とんちゃん。
大阪下町育ちの自分なのに大きくなるまで、なぜかいわゆる韓国焼肉を食べる機会がありませんでした。
初めて食べたのは忘れもしない、東京で住むようになった学生の頃、急病になった友人がバイトするスナックに急遽ヘルプにと誘われ別の友人と一緒に、1晩だけお店に立った日。そこのオーナーがまかないにと、特別に焼き肉をご馳走してくれたのでした。
(今振り返るとものすごくバブルな匂いのするエピソードだなぁ)
だから当然ホルモン焼きというものも、そのまたずっと後、うんと大人になってから食べました。
正直、大人になってから食べてよかったとその時に思ったことはよく覚えています。あれ、子供の自分じゃ食べきれなかったかも。
しかし、そんなホルモン焼きを、子供の頃から食べつけているという地域は結構あるし、そういうところでは、すんごくおいしいホルモン焼き屋さんがたくさんあったりします。
日本三大稲荷と称される竹駒神社のある宮城県岩沼市もそんな地域のひとつ。
ここではホルモンのことは「とんちゃん」というかわいらしい名前で子供から年配の方にまで親しまれています。
とんちゃんと言うからには当然、ここでのホルモンとは豚の内臓のこと。
「元気ないわぬま発信委員会」代表の國井隆平さんに連れられて訪ねたのは、数あるその岩沼とんちゃんのお店のひとつ「なごみ」さん。
ホルモンと言うと七輪で網焼きというイメージがありますが、ここ岩沼の特徴はジンギスカン鍋で焼く。
まずは、熱くなった鍋に一皿まるごと豪快にとんちゃんを放りこむ。
「じゅじゅ~~~~」という景気のいい音はそれだけで食欲をそそる。
ううううう、た ま ら ん !
こちらでは生のとんちゃんを焼いてから自家製のタレにつけて食す方式。
お店のご主人が毎日2時間かけてご自分で内臓をばらして、綺麗に水洗いするのだそうです。
「都会などでは、最初から洗った内臓を使う場合が多いようですが、うちはずっとお父さんが自分で洗ってます。時間はかかるけど、その方が新鮮な物をお出しできるし、うんとおいしいし、なにしろ厚みが違うでしょ」と、お母さん。
ほんとだ、なんかいつも食べてるのと少し違うかも。
「業者が洗うと機械で一気にやっちゃうから、どうしても薄くなっちゃうみたいですよ」
國井さんは、近頃少なくなってきたとんちゃん屋を心配した仲間とともに、このとんちゃんをなんとか町の名物として広くたくさんの人達に知ってもらい、また町おこしに繋げたいと発信委員会を発足したのだそう。
「とんちゃんマップを作ったり、イベントを催したり、様々な活動をしています」。
活動を始めて3年、他の地域からもお客様は来るようになったのでしょうか。
「ありがたいことに最近は、わざわざ遠くからこのとんちゃんを食べに来て下さる方も随分増えました」とのこと。
おお、浸透してきてるのですね、よかったね!國井さん。
しかし、奥さんが小声で言うには「遠くの方はマイカーで来る方が多くてお酒を飲んでくださらないんですよね・・・」
そう、このとんちゃん、なんといっても値段のお安さも魅力のひとつ。
もちろん飲酒運転なんてもってのほかですが、近隣の方ならよかったらお帰りは運転代行を頼んであげてください、とこっそり私からもお願い。
そこで、最初の話に戻ります。
なぜ、子供の自分がこのホルモンを食べたらキツかっただろうな、と思ったか。
ズバリ、それは子供だとビールが飲めないから!
とんちゃんとビール。
もう、このゴールデンコンビは揺るぎようがないでしょう!
先日はありがとうございました。お陰様でOA後たくさんの反響を頂いています。小さな町の中での小さな活動もこうしてメディアで取り上げていただくことでたくさんの人に注目してもらえることは大変嬉しいことです。ただ一つ悔いていることが・・・取材の日は仕事中ということもあり車で行ってしまったためメインのビールをおいしく飲む姿をお見せできなかったこと(笑)家族からも「ビールをごくごくおいしそうに飲まなくちゃ意味ないでしょう~」と突っ込まれました。どうぞまた宮城にお越しの際は、ぜひいわぬまとんちゃんを!ますますのご活躍をお祈りしております。
こちらこそ大変お世話になりました!
反響があったというお話、私もとても嬉しいです。
お一人でも多くの方がとんちゃんの魅力に触れることが出来ることを
願っております。
岩沼とんちゃん、また戴きたいですね~。本当に美味しかったです。
なごみのご夫妻にも、どうかよろしくお伝えくださいませ。