こけしでも有名な宮城県大崎市、鳴子温泉。
ここで今、温泉街ならではの名物料理があります。
それをいただいたのは昭和の佇まいも懐かしい店構えの「たかはし亭」。
このお店、昔から地元の人達に親しまれてきた自宅兼診療所を新たに店舗として再利用したもの。
入った瞬間、スタッフのひとりがまず「懐かしいなぁ~、うちの実家にそっくり!」と声をあげました。
そう、誰しもが感じる昭和の香りが残った空間は、訪れた人を和ませる雰囲気を持っています。
代表の髙橋絢子さんにお話をうかがったら、このお店、地元の主婦10人で運営しているのだとか。
「私たちはみんな、子供の頃からこちらの髙橋医院にお世話になっていました。ここの先生が亡くなられて、しばらくして別の土地でやはりお医者様をなさってるお嬢さんがこの家を取り壊すという話を聞いて・・・なんとか、この診療所とお家を残せないかと。そこで思い付いたのが、これでした」
出していただいたのは鳴子の新名物「温卵カレー」。
カレーの上にとろりとろける温泉卵が乗っています。
もともとは家庭や温泉旅館などで「まかない」として食べられていたものが、あまりの評判の良さに地元の飲食店などで出すようになったのだそう。
食べることが大好きな私は、お仕事などでもさまざまなお店で食事する機会があります。
実は好きなタイプのお店のひとつが、プロっぽすぎない、すんごく料理上手な奥さんが作ったみたいな味。
そういう意味では、ここはまさに普通の奥さん達が作るだけあって非常に理想的!
そのうえ、温卵がのってますからねぇ。どのタイミングでこの卵を割るのか、こう、考えるだけで食べつつワクワクしてしまいます(笑)。
お皿の載った御膳も塗りのしっかりしたもの。
「この御膳も、床の間に飾った甲冑も、すべてこちらの御宅に昔からあったものをそのまま使わせて頂いてます、ひな祭りの時などは、それはそれは立派なお雛様を飾ることができるんですよ」
建物だけじゃなかったのですね。
みてください、この立派な1本でできた梁。
そしてこの窓。
「実家に帰ったみたい」
と言われるのが一番嬉しいと、髙橋さん。
(まさにうちのスタッフがそう言いましたよ!)
今はまだなかなか難しいそうですが、将来、自分達のあと若い人たちがここで働けるよう、今後はこの建物とお店を引き継いていけるようにするのが目標なのだとか。
文化を守る、そういうととても壮大で大上段に構えた様な響きがしますが、本当はこういう自分の身近な「想い出」を守ることが原点なんですよね。
その皆さんの目標が是非、達成されますように。
仙台放送 とうほく食文化応援団
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