今、NHK第一ラジオで「渋谷スポーツカフェ」(毎火曜20時05分~20時55分)という番組を持っています。
先日もお客様にITの伝道師と異名をとる東大名誉教授、月尾嘉男さんをお迎えし楽しいおしゃべりをしました。
まもなく70歳を迎えるという月尾さん、若いころからアウトドアスポーツに親しんで50歳でチャレンジしたのがカヌー。
で、60歳の還暦祝いに南アメリカ最南端のホーン岬を20日間かけてカヌーで廻って来たというのだから驚きです。
私はよく知らなかったのですが、このホーン岬と言うのは非常に自然環境が厳しく「海のチョモランマ」と例えられるくらいの難所中の難所として有名なんだそうですね。
帆船時代から現在までその海域で難破したり沈没したりする船は数限りなく、ここを廻って来たと言えば、どんな海の男に対してだって威張ったり自慢したりできる権利があるんだそうな。
20日間といっても、天候があまりにも変わりやすいためにそのうちの8日間くらいはテントに籠り回復するのを待つだけの日々も含まれるのだとか。
いやはや冒険野郎にもほどがある。
「奥さまはよくその計画に賛成されましたね」と感心すると
「いや、世界中で1社だけそういう冒険に出る人間向けの保険がありまして。それに入りましたので、むしろ生きて帰ってガッカリしたかもしれません」と笑っておっしゃる。
いやいや、そういうことじゃなくて(笑)。
そこまでしてカヌーをする楽しさって何ですか?と伺ったら
「普段見ることのできない目線で海や自然を眺めることが出来るから」というお答え。
ああ、わかる気がする!
実はこの私も20年ほど前に一瞬だけですが、カヌーをしていたことがあります。
インストラクターや同じクループの皆さんの足手まといになるくらいのチョボチョボ初心者にとっても、あの川面すれすれの場所から眺める景観はほかでは味わえない醍醐味だったということはよく覚えています。
お話を聞きながら、何故私はカヌーから遠のいてしまったのだろうとふと考えたら、ひとつの理由に思い当りました。
カヌーって川でも海でも水に出た場所と流れにのって到着する場所がまったく違う。
だから当然、水に出た地点で陸に残した荷物やらを到着地点まで運ぶ車が必要。
またカヌーに乗るための道具類や船などとにかく装備が大きいので、私たちと同じように楽しむわけでもないのに、それらをお手伝いしてくださる第三者が不可欠であります。
つまり気軽にひとりでさくっと楽しみ、さくっと終わるわけにはいかないスポーツなわけですね。
ああ、これが性に合わなかったんだと思い出した次第。
でも話をしたら、あの爽快感が蘇ってきてカヌーが少し恋しくなっちゃいました。