トム・ホランドが超絶かわいい。青春スパイディ楽しかった!リブートするたび「アースなんちゃら」と言われ、今度はMCUになるのだけど、要するにあれでしょ、ほら、黄飛鴻(ウォン・フェイホン)と同じようなことだよね?ネタバレ
古典的なコミックのヒーローというと運命に導かれた選ばれし者で、もとからその素質が備わってるというイメージが自分にはあるのだけど、このピーターはそうではないのがお気に入りです。ヒーローが活躍するのではなく、ヒーローになる過程の物語。そこには愛情や夢が一杯あり暖かい気持ちになれました。
映画だけでも何度かリブートされてるスパイダーマン。今度はMCU参加後のリリースとあって、アベンジャーズとの関連が強い。その影響で今回のピーター・パーカー像になったのなら、これはこれでヨシ。
ヒーローに憧れアベンジャーズに憧れる普通の高校生のピーターが、最初は失敗したりおばあちゃんに道を教えるところから始めるのが、すっごく微笑ましかったし、そこからの成長を見守れるのが嬉しい。超人ヒーロー映画とちょっと距離のある人間にも圧倒的に共感が持てて、めいっぱい応援しちゃった。
主人公がそんな具合だから、マイケル・キートン演じるヴィランも突然変異した超人じゃなく普通の人間で、使用するのがアべンジャーズと戦った地球外生命の残骸を利用した武器というのも、うまい。しかも悪の道へのきっかけは失業だったりするし、そもそもその失業の原因がトニー・スタークってのがもうね。
くわえて、そのヴィランが、好きな子の父親だった日には。
高校生ともなればスマホ持ちなので固定電話しかなかった昔ほどGFやBFの家族を意識することなんてないでしょうけど、それでも自分の好きな人にはほとんどの場合親がいる。関係が深くなればなるほど男にとって最大の敵は彼女の父親。このダブルミーニングがクスっとさせますな。
主役のトム・ホランドがとにかくキュートでよかった。彼を前にするとあのスタークさんが保護者みたいになるのも加点要素。
原作があるとはいいながら、コミック、小説、アニメ、TVドラマ(日本でも特撮でやったそうじゃないの)、映画と、幾度も設定やストーリーを変えて途絶えることなく製作されてきたスパイダーマン。アメコミの例にもれず、全く違う展開になっても「別アースだから」という一言で済むようになっており、今回はそれがMCUとなるわけです。
・・・それって、功夫映画で考えたら黄飛鴻(ウォン・フェイホン)と同じことなんじゃないですか?か?か?
香港映画史に燦然と輝くアイコン「黄飛鴻」。同じ題材で製作された映画の数として世界最多でギネスブックにも載ってるそうですが、TVシリーズも含めると数はもっと多くなる。
ざっと黄飛鴻を演じた俳優をあげてみても
・関徳興(クワン・タッヒン)1947~70年まで25本もの黄飛鴻シリーズ(他にTVシリーズや単発で3本の映画でも演じている、当代随一のフェイホン俳優)
・谷峰(クー・フェン)1973年 『黄飛鴻』
・劉家輝(リュー・チャーフィー)1976年『ワンス・アポン・ア・タイム 英雄少林拳』、1981年『ワンス・アポン・ア・タイム 英雄少林拳 武館激闘』
・成龍(ジャッキー・チェン)1978年『ドランク・モンキー 酔拳』、1994年『酔拳2』
・錢嘉楽(チン・ガーロッ)1990年『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地激震』
・石堅(シー・キエン)1991年『我係黄飛鴻』TVドラマ
・李連杰(ジェット・リー)1991~93年、97年『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』シリーズ、他にもセルフパロディ物にも出演。マスターピース。
・曾思敏(ツァン・シーマン)1993年『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝/アイアンモンキー』
・趙文卓(チウ・マンチェク)1993~94年『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』シリーズ、1995~96年『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』TVシリーズ
・釋小龍(シー・シャオロン)2003年『少年黄飛鴻 ヤング・ホァン・フェイホン・ストーリー』TVシリーズ
・晏彭于(エディ・ポン)2014年『ライズ・オブ・ザ・レジェンド ~炎虎乱舞~』
シリーズでも何でもない全くの別プロダクションなのに、邦題に「ワンス~」とついてるのが目立つのはジェット・リー版がヒットした後に日本でリリースしたせい。しかも、これがすべてではありません。
これこそ、「アース○○○」と数字を振らんといかん勢いですわ。しかも師傅の場合は、小説やコミック原作でなく実在する人ですからねぇ。若干設定にお約束はあるものの、ジャッキー版なんか医者どころか薬局を開く気配すらありません。ハイエナのような香港人の便乗商法、いやもとい、創作意欲の前には史実なんかハナから眼中にないのであります。
アメコミだけじゃない、いくつものパラレルワールドが存在する香港映画。最近だと『イップ・マン』も同じようなケースですね、これもアース番号振った方がいいのかも。