映画 ラスト・ソルジャー(2010年・香港中国)


監督
丁 晟(ディン・シェン)

出演
成龍(ジャッキー・チェン)
王力宏(ワン・ホーリン)
ユ・スンジュン
于榮光 (ユー・ロングァン)

動作監督
成龍(ジャッキー・チェン)

いやぁ、観ながら何度も泣きましたわ。いい映画だった!
昨年2010年に公開された時は新聞小説の締め切りに追われ、とてもじゃないけど映画に行く気持ちの余裕なんかなかったので日本ソフト発売を待っての鑑賞。ああ劇場に行けばよかった、とやっぱり後悔。

この作品のことを初めて知ったのは記事でも予告でもなく、成龍の歌うテーマソング「油菜花」のMV。ものすごく牧歌的な歌と歌詞に半ばあきれてどんな映画なんかと調べたことがきっかけ。

本編を観るとこの歌が凄く効果的に歌われていて、アカペラのほうがうんといい曲なんですね。そしてなにより、あらためて彼の歌声は素晴らしいなぁと感心することしきり。

とにかく素晴らしい作品だったので、鑑賞後にうれしくて評判を読みに行ったら、なぜかお気に召さない人の評ばかりに当たってしまい、心の底から驚いてしまいました。
いや、別にそういう人がいてもいいんですけど、自分としては、てっきり大絶賛の嵐とばかり信じてたもんで(笑)。

映画を観る前は、「構想20年とかまたまたフカシちゃって~」と内心思っていたのですが、観た後はあながち嘘じゃないのかもと頷かせるほどの熱を感じました。
反戦をこんなに(決してブラック方向でなく)ユーモアたっぷりに、そしてさわやかに描いてしまえる映画人はそういまい。ロベルト・ロニーニくらいか?

ややもすれば陳腐に片寄りそうなところを、ギリギリ踏みとどまっていられるのは、やはり成龍のアクションセンスとキャラクターのお陰です。
子供を宿したウサギを逃がすかと思えば、将軍の傷口をぐりっと押す、その両方を嘘くさくなく、しかも好感度を失わず演じられる俳優はそう多くない。あらためて彼が世界でもどれほど稀有な存在であることかを実感できて、ほんと心から感激しました。

しかし、出てくる人間みんな汚かったなぁ(笑)。でも、むしろそこが自分には心地よかったんだけど。だって、そのほうが説得力あるもん。
戦国時代だよ、戦争だよ、想像を絶する貧困と疲弊と弱肉強食の世界にいて兵士じゃなくとも生きるか死ぬか紙一重だよ、汚くて当り前、まだ歯がボロボロの奴が出てこなくてよかった、てなもんで。
あの泥まみれ埃まみれの世界だからこそ、後半に主人公が妄想する菜の花畑の黄色が泣けてくるほど素晴らしく美しいのです。

正直、彼が動けるとか動けないとか、わざわざ思わせるような映画なんか無理して作らなくていいよ。類まれな才能を持った唯一の存在であることさえ感じさせてくれるものを、こうして時折撮ってくれれば。

そう言う意味でも、今現在の姿が良く活かされていて、自分にとってはここ15年くらいで一番好きな成龍作品になりました。
彼の映画でこれほどの満足感は本当に久しぶりだったので、とても嬉しいです。

ラスト・ソルジャー公式サイト
大兵小将オフィシャルサイト(簡体中文)

 

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