チャーリー・カウフマンの構成力のすごさよ。脚本と映像が非常にいい。観ている間中、色々考えたりした人も多いだろうなぁ。映画ってある意味そういうものでもあるよね、ネタバレ
監督
ミシェル・ゴンドリー
脚本
チャーリー・カウフマン
原案
チャーリー・カウフマン
ミシェル・ゴンドリー
ピエール・ビスマス
出演者
ジム・キャリー
ケイト・ウィンスレット
キルスティン・ダンスト
マーク・ラファロ
音楽
ジョン・ブライオン
撮影
エレン・クラス
まったく観る気はなかったのだけど、ネトフリのお勧めで出て来たので、誰が出てたんだっけ?と概要を読むつもりでクリック。なのにどうやら違うところを押したみたいで、いきなり始まってしまい、そのまま観てしまったという不思議な出会い。107分があっという間でした。
それにしても脚本のチャーリー・カウフマンの構成力のすごさよ。途中から、ああそういうことかと薄々分るのだけど、メアリーとハワード博士の事までは想定外でした。すばらしい。
そうなると、メアリーの話す引用が大きく意味を持って迫ってくる。パトリックの存在は、(パンツはひとまず置いとして)実は多くの人が陥り易い「好きな人に好かれたいためにそのようにふるまう」という恋のまた別の形。
ミシェル・ゴンドリー監督の映像はCGバリバリで作ってもおかしくないところ、案外ローバジェットだったんでしょうか、記憶のシーンをおもに照明美術というアナログ手法で上手に表現しており、とても面白く好感が持てました。もしVFXを多用していたら、これほどまで人の心を捉えなかったかもしれません。
正直、ジム・キャリーとケイト・ウィンスレットは苦手な俳優ですが、それを些細なことに感じさせるほどよかったし、そう思わせるだけの力がこの映画にはありました。
ふたりがもう一度めぐりあうことには驚かなかったけれど、記憶を消去する直前のカウンセリングのテープで、互いにどれほどうんざりしていたのか彼等が聞くことになるとは。このもうひと押しが凄い。
記憶を失くしても再び魅かれあっている事実がありながら、同じことを繰り返したくないとクレメンタインはジョエルの部屋を出ます。
「待ってくれ」と引き止めるジョエル。
「でもあなたは私を嫌いになるのよ。そして私はあなたに退屈して息苦しくなる。それがこれから起こることなのよ」
わかる、わかるよ、そう思うよね。
困惑の沈黙のあと、「いいさ」と微笑むジョエル。その言葉にとまどいながら「・・・だよね」と答えるクレメンタイン。
そしてラストソング、BeckのEverybody’s gotta learn sometimes
あのひと押しからこのラストは本当に素晴らしい。
誰しも消したい記憶のひとつやふたつあるでしょう。いや、必死で消さないと前に進めないそんなしこりが残っていることだってある。
かなり色々考えさせられました、ありがとう。