もう何年前になるでしょうか。恥ずかしながらゲームというゲームを、なにひとっつもやったことのない私がタイトルを覚えたひとつのゲームがあります。その名も『アサシン クリード』。
なぜそうなったかというと、たまたまネットでこのゲームのプロモーション動画を見たからであります。様々な映画でパルクールが身近であったところへ、この見事なプロモ映像を観て「すげー!」と唸ったのが始まりでした。
Assassin’s Creed Unity Meets Parkour in Real Life
調べてみると、この『アサシン クリード ユニティ』はすでに大人気のゲームアサシン クリードシリーズの8作目ということでございました。で、すぐに見つかったこのユニティのトレーラーに一発で惚れてしまったわけです。
Assassin’s Creed Unity E3 2014 World Premiere Cinematic Trailer [US]
物語の舞台はフランス革命中のパリ。ベルばらで少女時代を過ごした自分にとってはこれ以上ない魅力的な設定。しかも映像のクオリティの高さに驚愕した上に、音楽がTears For Fearsの80年代ヒットEverybody Wants To Rule The Worldのカヴァーじゃありませんか!なんというセンス。
この頃は、すでに映画が最高峰ではなく、ゲームクリエイターから映画業界に請われて進出という具合にその流れが変化していると言われ始めた時期でありました。そしてそれを裏付けるかのようなこの映像を観てほんとうに心からしびれちゃったわけですね。
色々調べた結果このゲームは、アサシン教団が世界を征服しようとするテンプル騎士団に対し様々な時代で、そのキーとなる「エデンの果実」の争奪を繰り広げながら、闘うというお話であることを理解しました。
そこで普通なら、即ゲームを買っていざその世界へ、となりそうなところ、私はいかに熱しやすい人間かという自覚があるために「これやり始めたら絶対に廃人になる・・・」という恐怖から、全シリーズを調べまくったけれど結局やらなかったのであります。なんというヘタレ。
そんな数年後、これが実写映画化されたというニュースを知りました。しかも主人公はマイケル・ファスベンダー。いつか誰かがやると思っていたので「待ってました!」という心持でありました。
自分はゲーム自体はやってないので、当然代わりにとyoutubeにアップされているゲームプレイ動画なんぞをチマチマ眺めて実写映画に臨んだのであります。とりあえずお約束があるのなら知っとかないとね。
さて、やっと映画の話です。
かなり気に入りました。第一回目のアニムス体験による鷹が舞う空撮のスペインの俯瞰には鳥肌が立ちました。全編にわたってゲームの約束事やシュチュがあって、やっぱパルクールは見事。とくに舞台が15世紀のスペインとくればもう、その背景や彼等が縦横無尽に駆け抜ける美術セットもあいまって素晴らしい。大好物。
しかもこの時代のスペインと言えば、悪評高いスペイン異端審問の行われた頃ではないか。当然、それを再現する場面も登場し、しかもなぜかおまけにモンティパイソンの超有名スケッチ「スペイン宗教裁判」も同時に思い出してかなり楽しかった。
“Spanish Inquisition”という単語を覚えたのは、まさにこのモンティパイソンのお陰でした。ジャーーーーーン!!「まさかの時のスペイン宗教裁判!!」
話を戻します。
中世スペインの街並みが俯瞰で映るたび、あの塔のてっぺんからイーグルダイブやるんだよね?ね?ね?と期待は膨らむ。そしていよいよ待ちに待ったイーグルダイブ。
本来ならそのあと降りるお約束の藁を積んだ荷台への着地は、主人公にやられた敵が突っ込んでいたりしておりました。
そして実写版のよかった点として、DNAをさかのぼることにより過去の先祖の記憶を追体験するヴァーチャル・リアリティ装置「アニムス」の造型。
ゲームでは椅子に座り装置をつけるだけったのが、本作ではアームのついた巨大な装置になり、主人公の見ているビジュアルを身体を動かすことによって第三者が体験を理解できる設定にかなり盛り上がりました。ここは映像もかっこよかった。
難をいえば、やはり現代パートがちょっとたるいというか、「もっと!見たい場面を!見せて!くれ!」と我が魂が叫んだところでしょうか。映画って難しい。ここは、科学者役がマリオン・コティヤールでなければ相当つらかったと思うのでキャスティングは大成功だったとも言えるのでは。彼女本当に素敵です。
ストーリーに関してはまったく期待してなかったので、とにかく実写でアサシン クリードを観たのだと言う事には満足しています。中世スペインの街並みをパルクールで疾走する、あの快感にお金を払う価値が私にはありました。ちょっぴり肉弾アクションがリハーサルの存在を感じさせたのがアレですが、それでも、あのシュチュのパルクールの魅力の前には些細なことです。
残念なのは、これはなんとしてもIMAX3Dで観ておくべきでした。そしたらもっと評価が上がった様な気がしてなりません。