中国のセクシー番長、チアン・ウェン監督・主演PV誕生。シュウ・ケイことスー・チーは永遠の輝き。
本作を大陸公開後しばらくして中国のPPVで観ようと試みたのですが、冒頭の、文章(ウェン・ジャン)、姜文(チアン・ウェン)先生、葛優(グオ・ヨウ)の延々続く台詞のやり取りに、私ごときの中国語では理解不能でわずか5分で断念。これは日本語字幕がないとワケ分らんと、待ってたらいつの間にか日本公開されていたようで。
『ローグ・ワン』のベイズを観てから、思い出して検索したらすでにソフトになっており慌てて借りてきました。私が断念した部分を日本語字幕で観て、やっと何を話していたのかわかった次第。
文章君は、民国統帥(劉利年)の七男(ちなみに父親の方は本妻と6人の妾がおり、劇中ではロシアから来た第八夫人と結婚する)。冒頭から彼がイタリア人の女に屈辱的に振られた話を延々続ける。『ゴッドファーザー』のドン・コルレオーネよろしくウザギをなでながらその話を聞くのが姜文。侍従のように傍で控える葛優。
この七男の台詞で速攻、チアン先生の前の嫁(正確には元パートナー)がフランス人であったことを思い出す。海外留学したわけでもない中国に住む中国人で嫁がフランス人って知った時はぶっちゃけ凄いと思ったし、またその人と別れて年の離れた共演女優と結婚したというのも、ゲスな話ですが姜文というセクシーで魅力的な映画人に対しかなりの想像力を掻き立てる。そこへあの文章の恨みごとの台詞なので、「これは」と期待したのにそこは自然に霧散。とほ。
女を見返すためにオヤジの金をくすねてそれをマネーロンダリングしたいと言うドラ息子の願いを叶えるべく、チアン先生扮する主人公馬走日(マー・ゾウリー)は、でっちあげた美人コンテストを派手に開催、自らの幼馴染で娼婦の舒淇(スー・チー)を優勝させる。このショー場面がね、往年のハリウッドミュージカル仕立てでとても楽しいし、お約束のバズビー・バークリーもあるでよ。
ラウ・カーリョンの功夫映画にすらバズビー・バークリーを思い出す私がこれに喜ばないわけはない。おまけにミュージカルシーンがすべて舞台上の演出というあたりもトーキーになってから40年代までの往年のハリウッドミュージカルを意識したノリで、しかもそれを姜文が監督しているというのが、より一層興奮させました。おまけにチアン先生と葛優のステップつきっすよ。
ここで一段と光を放つのが優勝者となるスー・チー。『レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳』でもそうでしたが、本当にこのモダニズムファッションに身を包んだ彼女は素晴らしい、大好き。
このカラクリとその後の彼女のスターぶりは、好景気に狂乱する現代中国の芸能界と一部の特権階級の暗喩なのかなと思ったそばから、スーチーはマーに結婚しろと迫る。あら、男を踏み台にスターになりたい女でもないわけだ。純情じゃないですか。しかし彼女の求婚を断るマー。女は手にした銃の引き金を引くも弾切れでセーフ。大笑いした男女はアヘンをキメて月に向かってドライブ。
ぼんやり『華麗なるギャツビー』だとか、わざとおもちゃっぽく仕上げたCGとセットに『ワン・フロム・ザ・ハート』や『スウィーニー・トッド』を思い出しちゃったよ。
で朝気がついたら車は横倒しになり隣にいたはずの女が死んでいた。そしてそれを知ったマーは彼女を残したまま逃亡する。
と、ここからは知性のない自分には、ちょっと話と主人公マーのキャラクターが掴みづらくなってしまいました。時折、現代の官僚や大衆の欲求と拝金主義、法やマスコミなど、ふっと断片が浮かんでは消えてゆく。清を転覆させた国民革命の総括ととる評論もあるようですが、自分にはむしろそれになぞらえて現代中国を皮肉っているような感じがどうしてもしました。
チョウ・ユン(周韻、現・姜文夫人)演じる監督志望の統帥令嬢がマーに惚れ嫌疑を晴らそうとするところからまた迷子になりかけたのですが、最後彼女を殴ってまで自分のみで決着をつけようとしたところに、抗えない商業主義のなかにあって一縷の望みを芸術や映画に託したい希望が重ねられているのかと考えたりして。
が、それが正しいかどうかなんか分んない。とりあえずお召替えも多かったし相変わらずセクシーだったので、これはもう姜文PVでいいやと最終的には思ってしまったのでした。
そして一番強く残ったことは、相変わらず葛優にはドSだなぁということ。もともとドSで鬼畜な男姜文監督ですが、ほんと、葛優が好きなんだな。加えてこの人は奥さんが出るととたんに観念的なキャラにしてしまうということもわかった。
スー・チーは別人の吹き替えでしたね。
おまけ
チアン先生はとにかく声がセクシー、そこで彼の素敵なナレーション
大自然在说话:姜文 海洋|保护国际基金会(CI)
↑これが何かはここで